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第二十二話「不合格と合格と」

 ちょっと長くなっちゃいました……切りどころが見つからなかったです……。

 楽しんで頂ければ幸いです。

 さて、早速やってみよう。黒板を見やる。

 

 詠唱 

 精霊よ[一人称]に力を。[具現化させたい属性]よ。

 

 なるほど、分かった。そういやシルフィードも同じような詠唱してたしな。属性は何にしよう……。火でいいか。シルフィードも火を使ってたし色々教えて貰えそうだ。

 

 「精霊よ、俺に力を。火よ」

 

 おおお、段々、段々、手が熱く……ならないな。失敗みたいだ。いや、よく考えたら成功しても手が熱くなる訳ないか。火傷するわ。

 

 ……仕方ない。出来ないしシルフィードにコツを教わろう。シルフィードはもう先生に魔法を見せて合格しているだろうし。

 

 俺はシルフィードを見た。

 

 そこに居たのは涙目になりながら先生に必死に魔法を見せようとしているシルフィードだった。

 

 「ゆっくり……やればいいのよ?」

 

 「違うんです! 出来るんです! いつも使ってるんです! 何で出来ないのぉ!」

 

 え、えぇ……。シルフィードも出来てないのか。俺に向けて魔法撃ってたじゃないか……。仕方ない。シルフィードに教わるのは諦めよう。合格している奴は居るかな?

 

 ……お、居た。

 

 あれは確か……そうそう。サードス・カルトだ。最後に自己紹介してた、髪が長くて顔がよく見えなかった奴だな。早速話しかけよう。

 

 「合格したんですね。すみませんがコツ教えて下さい。お願いします」

 

 そう言うとサードス・カルトはゆっくりこっちを向き……

 

 「……何の属性を具現化させたいんだ」

 

 と。具現化させたい属性は火なので火です、と答えた。

 

 「……一度、やってみせてくれ」

 

 そう言われたのでやってみる。

 

 「精霊よ、俺に力を。火よ」

 

 やっぱり火は出ない。失敗だ。

 

 「……詠唱の最後を強く発音してみろ。黒板には「よ。」と書かれているが、魔法に慣れてない奴は「よ!」の方がやりやすい。もう一度やってみろ」

 

 「精霊よ、俺に力を。火よ!」

 

 ポウッ

 

 俺の掌の上に電球程の火球が出現した。成功だ。

 

 「おおお! ありがとうございます! 成功しました! 先生に見せてきますね!」

 

 「……別に構わん。緊張して失敗するなよ」

 

 「はい!」

 

 いやぁ嬉しい! あの散々夢見た魔法を使うときが来るなんて! さっさと先生に見せて色々やってみよう!

 

 先生を探して辺りを見回す……と、居た。

 

 「先生! 出来ました! 見て下さい!」

 

 「あらあら、嬉しそうね。ええと、桐山……風人君ね。魔法は初めてかしら?」

 

 「はい! 嬉しくって仕方ないです!」

 

 「教えてくれた子に感謝するのよ」

 

 「はい!」

 

 ……あれ? 俺、先生に誰かに教わったって言ったっけ? まぁいいか。

 

 「それじゃ、いきます。精霊よ、俺に力を。火よ!」

 主人公は魔法を発動出来るんでしょうか……

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