第十八話「入学式」
楽しんで頂ければ幸いです。
――席が全て埋まったので、これにて試験を終了とします。現在席に着いていない者は、十分以内に立ち去って下さい。現在席に着いている者は十五分後に担当の教師が教室へ行くので待機していて下さい。教室の中であれば立ち歩いても構いません。
おっ、終わったようだ。十五分後か。結構あるな。シルフィードと話でもしとこうかな。……と考えていたのだが。
「てめぇ! 何しやがる!」
「うるせぇ! 譲れっつってんだろ!」
……喧嘩のようだ。これは、チャンスかな? これを期にこの学校の友人が出来たらいいんだけどな……。
「シルフィード」
「何?」
「ちょっと仲裁してくる」
「放っておけばいいのに。どうせ不合格の奴が合格者に席を譲れって言って喧嘩してるのよ」
「いや、まぁ、暇だし」
「……そうね。行ってらっしゃい」
さて、先ずは話を聞きに行くか。上手く仲裁出来ると良いな。
「どうしたんですか?」
「うるせぇ外野は黙ってろ(やがれ)!」
あっ、はい。まぁ、なんとなく分かってました。シルフィードの所に帰ろう。この人達はお話出来ない系の人種だ。
「ぷっ……くっ……フフ……も、もう帰って……来たの」
笑いながらシルフィードが言ってくる。こ、こいつ……。
「無理でした」
と、言ったところでシルフィードが思いっきり笑い出した。腹を抱えて足をバタバタさせながら笑う辺り残念美人っぷりが滲み出ている。
なんか疲れたしもう座っていよう。はぁ……。
デカいため息を吐きながら、十五分適当に時間を潰した。
ガラッ!
お、先生がやっと来たみたいだ。うおぉ、美人……て言うより可愛い先生だ! 強面の先生じゃなくて良かった……。
「えっと、これから入学式を行うので今から黒板に書く順番に従って列を作ってついて来て下さい」
数分後、教室を出て移動し、入学式が始まった。教員や学校の校訓等を紹介していく。右耳から左耳へと受け流していたのだが、ある言葉が耳に止まった。
――それぞれの組の担任の教師の発表。担任を務める教員は前へ並んで下さい。
え? さっき教室に来た教師じゃないのか……? 並んでいる教師を見てみる。うわぁ……クマみたいな大男やゴリラみたいなガチムチしか居ないんだが……。酷い。これが現実か……。
「――ねぇ、ほら、行くわよ」
現実の厳しさに絶望しているとシルフィードから声を掛けられた。いつの間にか式が終わっていたようだ。出口に向かって人がゾロゾロと出ていくのが見える。俺とシルフィードも教室へと帰ることにした。
さて、入学も済みました。学園ラブコメが始まりますよ!
……まぁ、メインヒロインはもう決まってるんですけどね。
次回の更新は明日の夜です。




