第十三話「旦那様」
楽しんで頂ければ幸いです。
うぅ……何だこの人達は……。俺を辱めてどうしようっていうんだ! 全く。顔が熱いよぉ。
「さて、坊主」
おじさんが真面目な顔になった。と、同時に周りのガヤも散っていった。
「昨日の事が有って、もう大丈夫だと思うが、念の為に聞くぞ。「覚悟」は出来たか?」
「……はい。出来ています」
「そうか。なら今日も昨日と同じ依頼だ。結局昨日達成出来てないからな。期限はまだあるが、坊主の覚悟を見せてくれ」
「分かりました」
――グギャ、ニンゲンダ!
そんな訳で森だ。目の前にゴブリンも居る。
大丈夫だ……怖くない、怖くない……!
両頬を叩き、ゴブリンを見据える。
ゴブリンは様子を伺っているようだ。こっちから行くぞ……!
「やああぁ!」
ゴブリンに向かって剣を振り下ろすと、多少動かれ位置をずらされたが、深い位置まで刺さった。致命傷だろう。やったか……?
「グギッ……ググゥ…………」
やったようだ。
「良し。上出来だ坊主。あと二、三匹狩ってギルドに帰るぞ」
「はい」
「――依頼はこれで達成です。報酬は九万円です」
「ありがとうございます」
「とうとう坊主も一人前だな。おめでとう」
「ガルドさんのお陰です。とても感謝しています。本当にありがとうございました」
「言いってことよ。ほんじゃ、行くぞ」
「えと、何処へですか?」
「飯を奢るって約束しただろ。ほら、さっさと行くぞ」
あぁ、そう言えばそうだった。すっかり忘れてた。楽しみだ。
「おら、もっと食え」
「も、もう無理ですぅ」
「だらしないな。そんなんじゃ筋肉がつかないぞ。ほら。」
「勘弁して下さい……」
そんな感じで食事は終わり、宿まで帰ってきた。おじさんに連れてって貰った店の料理はとても美味しかった。また来よう。
「ふぅ、今日も疲れたなぁ」
もう寝ようかと考えていると、
コン、コン
ノックの音が聞こえた。
「今、良いかしら」
この声は……彼女のようだ。そんなに眠くないし出迎える。
「こんばんは。どうしました?」
「ちょっと付き合って」
そう言って彼女は俺を宿から連れ出した。
「どうしたんですか? こんな時間に」
「こ、こんな時間だからよ。あの、「貴方一緒に居てください」って私に言ったじゃない? そ、それって、そういうことよね?」
あ――、そんなこと言ったなぁ。と、言っても看病の必要は無くなった訳だけれども。
「そういやそんなこと言いましたね」
すると彼女は少し顔を赤く染め、
「そう、これからよろしくね? 旦那様?」
ヒロインの導入が終わったと言ったな?
あ れ は 嘘 だ
すみません。もう一話あります。
次回の更新は明日の夜です。




