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第十一話「名誉の傷」

 楽しんで頂ければ幸いです。

 ――よ

 

 なんだよ。

 

 ――きてよ

 

 寝てるんだから邪魔しないでくれよ

 

 ――起きてよ!

 

 !!

 

 俺が目を覚ますと、そこにはポロポロと涙を流している彼女が居た。後ろにはガルドさんも見える。

 

 「……どう、なりましたか」

 

 「坊主が気を失った後、俺がやっと追い付いたんでウルフガンドを倒した。すまねぇ、坊主。怪我をさせないって言ったのに、嘘になっちまったな」

 

 「気にしないで下さい。俺が勝手に起こした行動でこうなったんですから。自業自得ですよ」

 

 無くなった腕の方を見る。なんらかの処置で血は止まっている様だがやはり腕は見当たらない。

 

 「なんで……なんで私なんかの為に……」

 

 泣きながら彼女はそう言う。

 

 「気にしないで下さい」

 

 「気にするわよ! 何で私なんて庇ったのよ! 私なんてそのままウルフガンドに噛み殺されれば良かったのに!」

 

 「駄目ですよ。貴方には付き纏われて少しウザかったと思ったときもありましたけど、大人しくしてたら可愛いんですから。ほら、笑って下さい」

 

 「……こんな状況で、笑える筈が無いじゃない」

 

 「それに俺は結構貴方が気に入ってたんですよ? 流石に決闘とか言われたときはこれっきりにして下さいって言っちゃいましたけど」

 

 「そうね、だから関わらない様にしていたわ」

 

 「貴方は勘違いしてます。僕がいつた「これっきり」ってのは決闘のことです。もう俺に関わるな、という意味では無いです。貴方と居る時間は、多少ウザかったですけど楽しかったんですよ?」

 

 「いやっ、でも……」

 

 「とにかく、もうこの事は気にしないで下さい。どうしてもと言うなら……そうですね……一緒に居てくれませんか。片腕無いと不便ですし」

 

 「ふぇ!? えっ、そ、それってえっ」

 

 「おーい、二人共おアツなところすまんがまだ森の中なんだ。とっとと帰るぞ」

 

 「そんなんじゃないです!」

 

 否定する俺。

 

 「…………」

 

 赤い顔で黙り込む彼女。

 

 そんなこんなで街に帰りギルドに報告してから宿に帰った。

 

 「今日は、疲れたなぁ。はは、本当に腕が無い。まあ女を庇って失ったんなら名誉の傷だよな。あーあ。何やってんだ俺。」

 

 腕が無くなって残念だが、でも嫌じゃない気がする。彼女を守り通せたからだろうか。まぁ、魔物自体はおじさんが倒してるので半分以上がおじさんの手柄な気もするが。まぁ、気にしないようにしよう。明日から大変だなぁ。片腕の無い生活ってどのくらい不便なんだろ。まぁ、そのうち慣れるよな。今日はもう寝よう。おやすみ。

 現在のアルターちゃん:ヒロイン

 さて、ヒロインの導入も済んだしそろそろ物語を動かしていきたいですね!

 次回の更新は明日の夜です。

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