準備~半年前(16歳)
タルジェ商店は王都のそこそこ大きい商家だ。情報を集めるのは難しいことじゃない。
レペンス学園について調べさせたら、本当にうまみが無かった。
「宰相のご子息のディアス様と右大臣令嬢マリー様はレペンス学園に在籍確認。 ルチル・ベリルシュタイン様とラインハルト・レイス様はそもそも在籍していませんね。ラインハルト様には妹君はいませんし」
ルチルというのは、宝山王ベリルシュタイン家の長男で、ラインハルトは有名な学者を輩出しているレイス家の傍系。 ルルナはラインハルトの義理の妹。
マリーは第二王子の婚約者でいわゆる悪役令嬢だ。通称ドリル。
「在籍していない? 留学ではなく?」
さて、レペンス学園に入るべきか、入らざるべきか、どうしよう。
攻略対象の二人(王子も合わせると三人)がいない。
でも、ゲームだと妹の余りものだし、このまま妹の入学の話さえなかったら、そこらの商家のつまらない二代目と結婚しなければならなくなるかもしれない。
◇
結局、私は悩んだ末、父にレペンス学園への編入学を願い出ることにした。
「わざわざそんな面倒なことしなくても父さんがいい縁談を見つけてやるよ」
とは言われたけれど、いくらそれなりに大きな商家だからって、そうそう貴族や王族との結婚なんて転がっているわけがない。
学園に入学したら、最低でも男爵令息なのだ。
攻略対象が少ないのはつまらないけれど仕方がない。最終目標は公爵令息にするかな。
二話に分けるんじゃなかった。……短い。