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転生~半年前(0歳~16歳)

◇転生


「どーせなら、『鮮血のジェムリア』に転生したかったのに、何で『ピース オブ レペンス』のほうに転生しちゃってるの」


 『鮮血のジェムリア』は、一つの国の内乱を描いた戦争物乙女ゲーム。短い命を散らす彼らを影ながらささえ、時には危険に晒されながら彼らと共に戦う。


 『ピース オブ レペンス』は数百年後の世界である。一度は分裂した国は既に元に戻っていて、レペンス王国に統一されている。

 前作キャラに良く似た(というかそっくりの)キャラとの恋愛を楽しむ平和な学園物である。


 もう一つ、二つほど気に入らないことがある。


 私は今年で六歳になるのだが、去年、この国に引っ越してきたときに、ここがピースオブレペンスの舞台レペンス王国だと知った。

 『ゲーム世界転生』とぬか喜びしたのもつかの間、自分がヒロインだと信じていたのに、ナビゲーター役である頼れる姉ナイラ・タルジェに転生していたのだ。


 ライラとかナイラとかややこしいのよ。ビジュアルも同じだし。


 まあ、この際だから贅沢は言っていられない。

 せっかくだから一度しかない(?)人生楽しまなければ。


 一番お気に入りのキャラクターは『鮮血のジェムリア』のカル=レペンス。敵キャラクターで隠しルートキャラクターだ。今作では第二王子がそれに相当する。

 この『ピースオブレペンス』では、最初から攻略できるのだが、その肝心の第二王子がいない。


 私より三つも年が離れている第一王子や年下の第一王女の話は耳に入ってくるのに、第二王子の噂が耳に全く入ってこないのだ。


 おい第二王子どこ消えた!


 幼い私は無邪気に父に第二王子は?と尋ねたのだが……


 父は困った顔できょときょと周りを確認し声を潜めて言ったのだ。


「第二王子はお前が生まれた頃、お亡くなりになられたよ」


 って、おい。

 大本命がいないじゃんよ。


 それに、なぜ声を潜める? 今のそんなにやばい質問だったの?



◇半年前 計画


 十六歳になった。


 もうそろそろ父が妹に転入を切り出す時期だが、全く妹に切り出す気配はない。

 泣く泣く学園に転入する妹の代わりにハーレむ……じゃなかった勉学のため、辛い学園生活を送るつもりだったのに……。


 私は諦めずに父に掛け合ってみた。


「つまり、学園に入りたい、と?」

「出来れば寮に」


 が、超問題なのが父がやけに消極的だったことである。

 ため息を漏らされた。 


「うまみがなあ。それに校則が厳しいと聞くし。 ここではお嬢様でも、レペンス学園ではただの庶民扱いだぞ。大体そんなところに入らんでも家庭教師をつけているだろう 」


 ゲームの中では、ライラが学園に行くことになったのは父が貴族とよしみを結びたかったからで、ほとんど強制的に彼女を学園に送り込んでいたはずなのに。


「少々厳しくても大丈夫です」


 日本の学校なんて、髪色やスカートの丈、化粧禁止、ネイル禁止、スマホ鳴ったら即没収とか細かく決められていた。一番意味不明なのは校外でも制服って、今思っても理不尽な校則である。


「でも、レペンス学園は貴族の方々が多いと聞きます。よしみを結ぶことは今後の商売の幅を広げることにもきっと役に立ちます」


 そう言って、お父様は娘を送り出したのよ。


 タルジェ家は王家ご用達を目指している。が、元外国人ということがネックになっているのか、なかなかそこまで辿りつけていない。


「確かに多くの貴族の子息、令嬢はレペンス学園に入学する。

 だが、一年真面目に通って二年目、三年目は比較的自由の利く別の学校に留学ということが多い」


 つまり、同年代を狙うなら今はすでに時遅しってこと?

 ライラが学園に入るのは二年の一学期からの予定のはずなのに。 


「ディアス様は? ルチル様やラインハルトは? マリー様は?」

「ん?」


「……ルルナは?」


 始まる前から歯車が大きく狂っているどころか、すでに全く別の歯車に入れ代わっていたことをこの時の私は知らなかった。


ナイラ・タルジェ……主人公。決してヒロインではない。

 ライラという妹がいる。 他国出身。


レペンス王国……一時期西と東に分かれていたが、数百年前に一つの国に戻り、その後もゆっくりと勢力を拡大している。


『ピースオブレペンス』……ナイラが前世で遊んでいたゲーム。


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