19話 第二回盗賊会合
【まったり】クロスストーリーズオンライン本スレ349【異世界生活】
94: 名無しの視聴者 : ID:eg621s7dq
マジで!? シャロットちゃん出てきたの!?
……でもさ、前作から20年経ってるんだよな、たしか
当時、14だから……
136: 名無しの視聴者 : ID:sfWl7ddty
34歳とか誰得? 完全にBBAじゃん
164: 名無しの視聴者 : ID:32xY0lmC4
シャロットさんじゅうよんさいwww
199: 名無しの視聴者 : ID:9Xi4wL57t
あ、僕にはルリハたんがいるので結構です
ルリハたんかわゆすぎ
あの宿に泊まりたい。そしてペロペロしたい
211: 名無しの視聴者 : ID:i4w82hLEp
だよな! 献身的にイロイロとお世話してもらいたい
BBAなどいらん
223: 名無しの視聴者 : ID:9NhDjC0er
誰だ患者を隔離病棟から出した奴は!
さっさと専用スレに隔離しろ!
つ 【天使は】ルリハちゃんを見守るスレ246【実在した】
228: 名無しの視聴者 : ID:yj6Jk1aU1
ソイツらはまだ軽症者だ。ほっておけ
238: 名無しの視聴者 : ID:Ld94rw0oy
ルリハちゃんスレ伸びすぎw
このロリコンどもめ!
279: 名無しの視聴者 : ID:5rAWw1ksc
オマエら、シャロットさんのキャプチャを見てもそんなこと言ってられるかな?
つ 【画像】
301: 名無しの視聴者 : ID:Oaflwux4d
う、美しい……
307: 名無しの視聴者 : ID:6hR48aAi2
おお、若くて目茶苦茶美人じゃん
313: 名無しの視聴者 : ID: i4w82hLEp
BBA、俺だ、結婚してくれ!
317: 名無しの視聴者 : ID:js2orHijd
ちょwww
見た目若すぎw どう見ても20代前半じゃねーかw
360: 名無しの視聴者 : ID:hs3jAiIT4
大人の事情かw
シャロットは人気キャラだったから、BBAには出来なかったんだろうな
473: 名無しの視聴者 : ID:sjU2qKm8e
専スレ立ったからシャロットさんの話題はそっちでやれ
【シャロットさん】天馬騎士団飛来イベント関連スレ1【じゅうよんさい】
675: 名無しの視聴者 : ID:3dSKoal9m
天馬騎士達はみんなかわいいな
そういや、結局なんであの街に来たんだ?
675: 名無しの視聴者 : ID:xJkw4fhri
まだしっかりと接触出来てないから詳細は不明
部下の天馬騎士達を数十人は引き連れてイートゥスに飛んで来たんだが、今は草原でモンスター駆除を手伝っているらしい
だから、草原にモンスターが溢れるイベントに関連してるんじゃないかって予想されてる
799: 名無しの視聴者 : ID:3dSKoal9m
え? でも、火事イベントって今日起きたことだよな
あのリアルな世界観で当日中に他所から援軍を呼べるもんなのか?
964: 名無しの視聴者 : ID: xJkw4fhri
だから詳細は不明だと……
掲示板の様子を確認した真也は、溜め息を吐きたい気持ちを抑え、食事を再開する。
シャロット・シルフィスは前作におけるパーティーキャラの一人で、その可憐な容姿と真面目で何事にも一生懸命頑張る健気な姿が多くのプレイヤーに支持された人気キャラだ。
ペガサスに騎乗する天馬騎士見習いの下級貴族で、わりと序盤で仲間になる。
余り強いとは言えないキャラではあるが、そのキャラクター性に引かれ、愛故に使い続けるプレイヤーは多かったらしい。
そんな彼女も今では立派に騎士団を率いているようだ。
真面目で正義感の強いシャロットなら、さぞやいい団長になっていることだろう。
普通の人にとっては。
だが、真也は盗賊である。
真面目で正義感の強い騎士など迷惑でしかない。
そして、シャロットは盗賊にとっては都合の悪すぎる設定を抱えている厄介な存在でもあった。
また、彼女がどういう理由で〈港湾都市イートゥス〉を訪れたのか現段階では判断出来ないのも対応に困る。
最悪の可能性は、〈白夢の森〉の火災の原因を探りに来た、ということだ。
掲示板に書かれていた通り、森林火災が原因にしては、対応が早すぎる。
しかし、それで自分が標的ではないと安心するのはまだ早いだろう。
相手は機動力の高い天馬騎士だ。
情報の伝達などを考えると当日中の派遣は厳しそうであるが、不可能ではないのかもしれない。
どこに駐留していたのかも不明であるし、たまたま近くに来ていたので、災害の調査協力に来た、という可能性だって否めない。
最悪の事態は常に考えておくべきだろう。
とにかく、シャロット達に事件の真相を知られる訳にはいかない。
リーサ達に迷惑が掛かってしまうし、天馬騎士の機動力で追い回されたら、ちょっと離れた街に逃げるくらいでは意味はないだろう。
彼女達から逃げ切るのが至難の業だということは想像に難くないなら、追われる状況だけは回避しなくてはならない。
幸い、その為の布石は打ってある。
とりあえず少し天馬騎士団の動向に探りを入れてみるか、と考えていたところでスマホが着信を知らせる。
それはSNSのメッセージで、相手の名前は日村拓未。
そろそろ来るのではないかと思っていた頃合いだ。
『今夜の9時に集合しよう。緊急事態だから欠席は許せない』
なんでお前の許しが必要なんだよ、と思いつつも了承の返事を打った。
午後9時、宿泊しているビジネスホテルの貸し会議室。
広さは学校の教室程であり、中央には長机4つが四角形に並べられていて、側にはパイプ椅子が備え付けられている。
ここは日村の指定した、ホテルの貸し会議室の中でも奥まった場所にある目立ちにくい一室だ。
「皆集まったみたいだな」
机を囲むようにしてパイプ椅子に座っている、自分以外に7人いる盗賊プレイヤー達を見回して、日村が言った。
盗賊プレイヤー達の表情は2種類に別れている。
神妙な顔をしている者と、何故緊急で集まったのか分かっていないといった疑問顔の者だ。
天馬騎士団の情報を得ている者達と、そうでない者達だろう。
「おい、緊急事態ってなんの話だ? 草原の異変のことか?」
「はあ~、天馬騎士団が〈港湾都市イートゥス〉に来たんだよ」
疑問顔の一人が質問し、日村が心底馬鹿にしたような溜め息を吐きつつ答える。
「そしてその団長が、シャロット・シルフィスだ」
「げっ!? あのマジメちゃんかよ」
疑問顔の連中は眉をひそめ、神妙な顔付きの者達の仲間入りを果たす。
「知っての通り、ヤツは出自こそ貴族だが、傲慢さの欠片も無い良識的なキャラで、庶民の嘆願を良く聞くことで有名だった」
それは皆が知っている筈の情報の確認だろう。
そして皆が予想出しているだろうことも確認していく。
「例えば、もし80人近い冒険者が、シャロットに盗賊集団の被害を訴えたら、ヤツはきっと討伐に乗り出すだろう」
皆、嫌そうな表情で頷く。
シャロットのキャラクター性考えたら、十分に考えられる話だ。
「なにしろ、ヤツは幼い頃、盗賊に実の妹を殺されてるんだ。そんな盗賊を恨んでいるヤツが、盗賊、それも集団になってる連中を見逃す筈がねえ」
その設定は、盗賊プレイヤーにとって非常に厄介なものであった。
「そんなキャラがこんなタイミングで現れたんだ。〈白夢の森〉の火事で天馬騎士団が飛来したことは、運営の仕組んだイベントだろう」
そんなことを自信満々と断言した日村。
あ、わりぃ、火事の部分は俺のせいだわ、とは言えない空気で、笑いを堪える真也。
「つまり、天馬騎士団の連中は、運営の配置した断罪者だということだ」
盗賊狩りが起きたとき、盗賊以外のプレイヤー達への助っ人キャラとして天馬騎士団が来た、という解釈を日村はしているようだ。
そのことは真也も考えていたし、可能性は高いと思っている。
だが、このゲームのNPCは単なる運営の操り人形ではない。
自我を持ち、その行動には必ず動機がある。
なので、騎士団が来たことには、何か彼女達なりの理由があるのだろうと真也は予想している。
彼女達の理由はともかく、真也には、森林火災と船上の盗賊騒ぎの2つの理由で追われる可能性があるのだ。
とりあえずはそれを回避しなくては不味い。
そんなことを考えていたら、日村が口を開いた。
「この状況を打開する為に、一つ、提案がある」
そんなことを、ニヤリとした悪巧みをするような顔で言ったのだった。




