60話 解散!
「お」
コートを出ると、そこにはクラスメートである夏未や凛達がいた。
「お疲れ様、先輩」
「ま、真琴君・・・お疲れ様」
「ああ」
「久しぶりだね、東仙寺君」
「・・・あなたはたしか・・・」
夏未達の後ろには記者の中年男性がいた。
「また君の試合を観られるとは思っても無かったよ」
「たしか、記者の武田さん・・・でしたっけ」
「都大会、全中の時に何度かお話しさせてもらったね」
「・・・それで、俺に何の用でしょうか」
「そう警戒しなくてもいいよ、君の事はこの子達から少し聞いてね」
「夏未達から?」
「メンバーではなく、″助っ人″としての出場・・・正式な部員では無いようだから記事には出来ないしそれに・・・」
ここで真琴は溜め息をつく。
「・・・″消えた天才″なんて大袈裟な事を書かれてしまいましたからね。これ以上は勘弁してほしいですね」
その言葉に武田も苦笑いをする。
「まぁ、そういう事だ。君の試合を観れただけで私としても十分だよ」
ニッコリと笑い武田はその場を去っていった。
(全く・・・はぁ、それにしても疲れたな・・・)
「東仙寺」
「・・・先輩」
郷田は真琴に対して、頭を下げた。
「え、ちょっ」
「・・・ありがとう・・・そして、すまなかった」
「・・・」
「そしてお前らも・・・本当にありがとう」
郷田のその言葉に他のメンバー達は満足そうに笑った。
「それじゃ、今から先輩の家で打ち上げっすね!!」
「・・・は?」
「たしか先輩の家ってもんじゃ屋さんですよね?俺腹減っちゃって・・・」
「烏山、お前・・・」
「肉たっぷりの豚玉天、楽しみにしてますよ」
「・・・ふっ・・・はっはっは!!いっぱい食わしてやる!!」
「っしゃ!!」
こうして、打ち上げは郷田の家で行う事が決定した。
「・・・それじゃ、俺はこれで」
それから帰り支度などを済まして、真琴はその場を去ろうとする。
「え?真琴は行かないのか?」
「ああ、久々の運動で体も痛いし、かなり眠い」
「・・・真琴」
「ん?」
「ありがとな、お前がいなかったらきっと・・・」
「今度学校で飲み物でも奢ってくれればいい」
「そ、それだけでいいのか!?」
「なんなら購買に売ってあるパンを何個か買ってきてもらってもいいぞ」
真琴の言葉に烏山はにやりとする。
そして、視線は真琴の後ろに注がれていた。
「いーや、そんな事してると誰かさん達に怒られそうだからな。ジュースだけにしておくよ」
「・・・そうか」
ムッーとした表情をしている凛と夏未が後ろにいたのだ。
ちなみに五十嵐は真琴達が勝利した同時に用事があると言って帰ってしまった。
(・・・ま、楽しかったな)
みんなと別れ、道中で一人そんな事を思う真琴であった。




