58話 オールコートマンツー
「ハァ・・・ハァ・・・」
ブザーが鳴った。
得点盤に表示されているのはもちろん得点だ。
64:56
3クォーター目が終わったのだ。
「真琴、大丈夫か?」
「・・・あぁ、なんとかな」
「あっちのエースを抑えてくれてるおかげで、まだ俺達も頑張れる・・・まじでありがとな」
「いや・・・気にするな」
真琴はチームメンバーの表情を伺う。
(疲れたは見れるが・・・まだ大丈夫そうだな。・・・問題は・・・)
その後にチラリと自分の脚をみた。
(久々の運動で結構やばいってことだな・・・)
真琴は運動をしなくなってから時間が経っている。
その為、自分の体がついていかない感覚を覚えていたのだ。
「・・・真琴、本当に大丈夫か?」
「ああ、あと少し・・・次のクォーターが終われば俺達の勝ちだ」
「・・・分かった!だけど俺達がいるのを忘れるなよ!」
「もちろんだ」
―東条高校ベンチサイド
「くそっ!」
「畑ヶ田、落ち着け・・・確かに今は負けているが、お前も徐々に得点をとれている・・・それにあいつの体力もそろそろ尽きかけている様だしな」
「キャプテン・・・だけど、あいつが体力切れでギブアップするような奴じゃないすから・・・」
「・・・お前・・・」
「気に食わないすけど、あいつは俺よりも強い・・・だからお願いっす!俺に力を貸して下さい!!」
畑ヶ田の言葉に越智田は薄く笑う。
「・・・よしっ!!全員畑ヶ田をフォローしていくぞ!!」
「「「おう!!!」」」
他のメンバーも同意し、コートへと戻っていった。
そして、4クォーター目開始のブザーが鳴った。
「・・・っ!?」
「・・・負けねぇ」
真琴のマークにつく畑ヶ田の目をみると、それは野獣の様な鋭い眼光だった。
(こいつ・・・)
「後ろだ!!真琴!!!」
「何っ!?」
目の前にいる畑ヶ田に気を取られていた真琴は、後ろから来ていた東条高校のメンバーにボールをカットされてしまった。
「速攻!!!」
その言葉と共に全員が思い切り走りだした。
「くそっ!戻れ!!」
しかし時は既に遅く、得点を決められてしまう。
「ハァハァ・・・悪い」
「気にしないでくれ・・・だけど・・・」
「ああ、さっきとはまた違う。・・・あいつらのチームプレイのレベルが上がってる気がする」
気を取り直して、ボールを真琴はもらう。
「おいおい・・・まじか」
真琴がみた光景は、オールコートで一人に一人ずつマークする陣形・・・オールコートマンツーだ。
もちろん真琴には畑ヶ田がついている。
(ここにきてオールコートとはな・・・さすがは強豪校と言われるだけの体力だ・・・)
不安が広がる最後のクォーターが進んでいく。




