57話 活躍
ブザーがなり、後半戦が始まる。
ボールは春桜高校からだ。
(休憩が入って周りの奴らの体力も少しは戻ったな)
しかし、それは東条高校の選手達も同じだ。
そして向こうには控えメンバーも多く存在する。
「真琴、こっちだ!」
ゴール下で烏山はボールを貰おうと手を挙げた。
後ろには越智田もいる。
真琴の前には畑ヶ田だ。
烏山の声によって、ほんの少しだけ後ろに下がった。
「っ!」
その距離を真琴は見逃さない。
3ポイントシュートを放った。
ザシュ
(よし...!出来るだけ俺で得点を稼いで、最後のクォーターまであいつらを温存してやらないとな)
真琴はチラリとベンチを見る。
(あの先輩を出す訳にもいかないからな)
その視線の先には郷田がいる。
だが、その目には迷いが無いように感じられた。
(...仲間、ね)
薄く笑い、先程自分が言った言葉を思い出していた。
″仲間を信じろ″
少し前の自分だったら、まず出てこなかったであろう言葉。
「ナァーイス!」
「さすがです!」
自分のコートに戻っていた時に烏山に背中を叩かれ、他のメンバーからも労いの言葉を貰った。
...仲間達からの言葉だ。
「いてて...」
「真琴にボール集めた方がいいか?」
「ああ、そうしてもらえると助かるけど...良いのか?」
「もちろんだ!だけどきつくなったら俺達に頼ってくれ」
「きたぞ!」
「俺にくれ!」
ボールが越智田へと渡っていく。
ディフェンスにつくのは烏山だ。
フェイントをかけ、ドリブルをするもそれに付いていく。
「このっ!」
「俺だってやられっぱなしは嫌なんだよ!」
しつこく越智田をマークする。
「キャプテン!」
そこに走り込んできていた畑ヶ田に直接ボールが渡された。
そのままレイアップだ。
「しまっ..」
烏山の反応が一歩遅れる。
...しかし
「させるか!!」
畑ヶ田の後ろから走ってきていた真琴は、そのボールを弾いた。
ライン外に出た為東条高校からのボールにはなるが、得点を防いだのだ。
「お前っ!?」
ニヤリと笑みを浮かべ、畑ヶ田に一言。
「お前に活躍されちゃ、困るんでな」
「....」
―観客席
「...真琴君」
呟くのは夏未だ。
その隣で、五十嵐 雀は言った。
「さらに惚れた?」
「...うん」
まだボーッとしている為か、つい出てしまった言葉だ。
(あちゃ~、これは重症ね)
「夏未」
「...うん、うん?」
「何ボケーッとしてるのよ?」
「え!い、いやこれはその...」
「ついつい魅入っちゃったって訳ね」
「だって...」
口ごもる夏未に五十嵐は続ける。
「そうね。たしかに東仙寺君目立ってるしね」
会場を見渡す。
他校の生徒達も真琴の活躍を観ているのだ。




