51話 勝利宣言
「...郷田」
「越智田」
「久しぶりだな、それで...その怪我のせいで試合に出られないのか?」
「そういうことだ」
「お前とは戦いたかったんだが、残念だ」
「....」
今、広いロビーで春桜高校と東条高校が向かい合っている。
この大会では東条高校は優勝候補の一角だ。
「せんぱーい、こんな奴らどうせ俺達に勝てっこないんすから放っておきましょうよ!」
「畑ヶ田、お前な...」
「勝つよ」
越智田の言葉を最後まで言わさず、割って入る。
それは烏山だ。
「誰か分からないけど、無理っすよ?」
「いいや、俺達が勝つさ」
「はぁ~...君達の試合ちょこっと観たけど、大したことなかったじゃん」
「このっ!」
畑ヶ田の言葉に仁井が詰め寄ろうとする。
「っ!?」
だが、それを止めたのは郷田だった。
「仁井、気持ちは分かるがそれは試合で分からせろ」
「キャプテン...」
「来ないの?君」
「っく!」
「...いい加減にしろ畑ヶ田」
「あーあ、先輩にまで怒られちゃったよ」
「悪かったな郷田、うちの問題児が」
「いや、気にするな」
「だが...」
「ん?」
「勝つのは俺達だ、それを証明してやる。だから...最初の試合は落とすなよ」
「当たり前だ」
その言葉を最後に、2つの高校は戻っていく。
しかし真琴は、畑ヶ田を引き留めた。
「真琴?」
烏山がそれに反応する。
「なに?」
「...お前のマークは俺だ、この意味が分かるな?」
「それがどうしたっていうのさ」
「まともなプレーができると思うなよ」
「....」
「それだけだ、引き留めて悪かったな」
それだけ言うと、満足した表情で歩を進めていった。
(昨日は様子が少しおかしかったから、少し心配したけど...あの表情ならもう心配はないな)
...昨日
トイレから戻った真琴の様子が普段と違っていたのをいち早く感じ取っていた郷田。
そして、その後の畑ヶ田への執着心。
それが気にかかっていた。
だが、今のやりとりをみて郷田は安心していた。
(あれは、早くバスケをしたいって奴の顔だ。それに...他の部員も大丈夫そうだな)
そして時は進み、今真琴達は食事を取っている。
凛と一緒にだ。
「先輩、お疲れ様です」
「ん、ああ」
「いやー、こんな時にまでお弁当を作ってきてくれる真琴が羨ましいぜ!」
「烏山、からかうなよ」
「だってよ...普通そこまでしてくれないぞ?マジで付き合ってないのか?」
「まぁな」
「しかもさっきの試合だって、真琴が他の学校の女子に騒がれてたぞ」
「....」
真琴も確かに感じていた。
なぜか他校の女子生徒からも応援があったのだ。
「まぁ、それを言うなら烏山...お前もだろ」
「えー、そうかな!?」
「ああ」
そんな会話をしていると、横にいる凛が真琴の腕を引っ張ってきた。
「ん?」
「...本当にモテモテですね」
「....」
また凛の背後からドス黒いオーラが溢れている。
見間違いだろうか...
「凛」
「何ですか」
「弁当、ありがとな。今日も美味かった」
「...誤魔化そうとしてませんか?」
「....」
ジトーッとした凛の目から逸らし、今までにない程の圧力を感じたのを真琴はこれから先忘れないだろう。




