49話 乾杯
「「かんぱーい!!」」
「...乾杯」
試合後、一度家に戻ってシャワーを浴びてから夏未の家に真琴はいる。
テーブルの上には様々な料理が並べられている。
「とりあえず2回戦も勝てて良かったね!」
「ほんと真琴さん上手でしたよ!」
「...どーも」
「そうね、バスケ部には入らないの?」
「バイトとかもありますし、今のところは...」
「もっと真琴君のバスケ観てみたいけど、残念ね。ささっ、どうぞどうぞ」
「あ、ども」
もちろん真琴のコップに注いでいるのはジュースだ。
夏未母と父はビールを飲んでいる。
「明日も試合なんだよね?」
「今日と同じで明日も二試合続くな」
「あ、明日もその...観に行っていい?雀ちゃんと一緒に」
「別に自由にして良いと思うけど...」
真琴の言葉で夏未はぱあっと笑顔になった。
横にいる三波はニヤニヤしているが...
「お姉ちゃん、試合中凄い凄い!ってうるさかったんですよー?」
「そうなのか?」
「み、三波!」
「えーいいじゃん、本当にかっこよかったんだし!」
「まぁ...か、かっこよかったけど...」
「...明日、か」
「え?」
「いや、最初の試合に勝てば東条高校ってところと試合するんだけどな...正直今の俺じゃ不安だ」
「東条高校って毎年優勝とかしてる強豪校ですよね?たまにインタビューとかされてるのみたことあります」
「結構有名なのか?」
「私はバスケの事あんまり知らないですけど、畑ヶ田って2年の人が有名って聞きますね...イケメンでバスケ上手いって」
「畑ヶ田...」
「でも、私あの人なんか嫌いだなー...なんかこう、性格が凄い悪そうだし...」
「奇遇だな、俺も嫌いだ」
食事が終わると、真琴の携帯に1通のメールが送られてきた。
烏山からだ。
(...″真琴、明日も頑張ろうぜ!...東条高校は何度か戦ったことあるけど全敗...でも、郷田先輩の為に俺達も精一杯頑張るからさ、その...勝とう!!″)
そのメールを返信する。
(...″もちろんだ″)
ただそれだけの文章だったが、きっと烏山には伝わるだろう。
真琴がとても楽しみにしていると。
「烏山君?」
「ん、夏未か。烏山から頑張ろうってさ」
「ふふ、それじゃ私達もいっぱい応援しなきゃね!」
「...ああ」
(こんなにバスケするのが楽しみに感じるのは中学生ぶりだな...それに、誰かに応援されるのも悪くないな)
真琴は元々、勝ち負けよりも楽しさを求めてバスケをしていた。
好きで続けていたバスケだが、練習や試合をしていくにつれて周りよりも上手くなった。
そして、期待の星...最強のエースなどと雑誌に取り上げられていった。
もちろん最初の内は嫌じゃなかった。
でも大きな影響を周囲に与えてしまったのだ。
(...どれだけ周囲が頑張っても、俺しか注目を浴びなかった。...チームの奴らはそれを知って、ほぼ俺任せになってしまったんだ)
結果はついてきた。
だが、バスケがつまらなく感じていたのだ。
そういった理由で、真琴はバスケ部を辞めた。
結果″消えた天才″と言われ始めたのだ。




