48話 やる気上昇
「さて、あともう少ししたら試合が始まるな」
「そっすね。そろそろ向かいましすか」
「ああ」
春桜高校はコートの近くへと向かう事にした。
が、真琴は一人トイレに行く。
「ん、トイレか?」
「ああ」
「それじゃ先行ってるな!」
トイレに到着し用を足す。
後から3人程誰かが入ってきた。
(あのユニフォーム...さっき烏山が言ってたところか)
「ふー、まぁ順調だな」
「余裕っすよ!俺がいれば!」
「畑ヶ田...油断は禁物だぞ」
「えーでも、この大会観てる限りじゃ雑魚しかいないじゃないっすか!」
「他の奴らだって頑張って練習してるんだ、そんな事言うな」
「それに先輩が言ってた春桜高校だって、大した事じゃないじゃないすか!」
(...あの野郎...)
あまりの苛立ちに、ささっと済ましてトイレを出ようとした。
「ん?君ってたしか春桜高校の奴だったよな?」
しかし、呼び止められる。
この男は東条高校のキャプテンだろう。
番号が4番だ。
「そうだけど、何か?」
「郷田はなぜ試合に出ていないんだ?楽しみにしてるのだが...」
「....」
真琴が口ごもると、畑ヶ田が割って入ってくる。
「きっと先輩に腰抜かして辞退してるんすよ、だってこいつらの高校は雑魚だし」
「...畑ヶ田、言い過ぎだ。それと郷田は雑魚なんかでは無いぞ、俺のライバルであり友人だ。悪いな、こいつはいつもこうなんでな...俺は東条高校のキャプテン、越智田だ。よろしくな」
「ああ」
畑ヶ田と違ってこの越智田は話が分かり、常識もあるようだ。
「それじゃ、呼び止めてすまんな」
「...俺からも一つ謝る事がある」
「何だ?」
「悪いがあんたらは俺達に負ける」
「ぶっ!あははははは!!!何言ってんのこいつ!試合ちょっと観てたけどお前パスがうまいだけじゃん!!」
「...それだけだ、じゃあな」
こうして真琴は二人と別れ、烏山達が待っているコートへと戻っていった。
その胸の中には決意があった。
(あの畑ヶ田って野郎、心底むかつく奴だな...)
その思いは表情にも出ていた。
仲間と合流すると、烏山が心配そうに話しかけてきた。
「おかえりー...ってあれ?真琴、なんか不機嫌じゃね?」
「ちょっとな...俺もやる気が出てきたところだ」
「何があったか分からないけど、大丈夫か?」
「少し東条高校の奴らと会ってな、嫌味を言われたんだ。あの畑ヶ田って野郎に...だけど、そのおかげで俺もやる気が出た。久々にあいつらとは本気でバスケが出来そうだ」
「おー!真琴の本気、楽しみにしてるぜ!」
「...東仙寺、今はこの試合が一番だぞ?」
「ああ」
真琴は小さな笑みを浮かべる。
郷田はその小さな変化を見逃さなかった。
(東仙寺のあの表情...苛立ちもあるだろうが、早くバスケをしたいって気持ちがこっちにも伝わってくるな...これは俺も楽しみになってきた)
そして試合は、春桜高校の勝利だった。
46点差という...まさに圧勝だ。
今回の試合には真琴自ら得点を取りにいく場面も多々あったのだ。
もちろんメンバーへのパスも欠かさずに。




