47話 夏未一家
「へい!」
その後も順調に進んでいき、20点リードであっという間に試合の半分が終わっていく。
そして今はハーフタイム...休憩時間だ。
「ふぅー...」
「烏山、この後も試合があるんだ。バテるなよ」
「ああ、分かってる。でもこうやって公式試合で真琴と一緒に出来て俺は嬉しいんだ。気合い入るのも仕方ないさ」
「今度は空回りしなければいいな」
「ま、真琴...それはあんまり言わないでほしいな...」
真琴の言葉に烏山が落ち込む。
球技大会の事を思い出すのだ。
「そ、それにしてもお前達もいつもより頑張ってんじゃないか」
「烏山先輩のやる気がこっちにも伝わってきますからね!それに真琴先輩のパス、重いけどピンポイントで飛んでくるから面白いんすよ!」
「まぁ、確かに欲しいところにボールが来るから凄いよな」
「だよな!」
選手が思い思い話している。
練習のおかげで真琴のパスに対応できるようになったのが余程嬉しい様子だ。
「....」
そんな状況を一人、無言で見ている選手がいた。
郷田だ。
「ん、先輩どうしたんですか?」
「いや...やっぱりウズウズしてな。お前らが楽しそうにしていると、俺も出たくなってきたんだ」
「まずはその怪我治してからっすよ!」
「まぁそうなんだが...それと、最後まで気を抜くなよ」
「もちろんです。今のところ順調ですけど、相手も中々粘ってきますからね...」
そして真琴達は最後まで自身らのペースで相手を押し、得点を30点差で勝利を掴み取った。
誰一人最後まで手を抜かずバスケを楽しんだ。
「やりました!!」
「やった!!」
その光景を見ていた女子部員達も大喜びだ。
今までの心配そうな表情が嘘のように笑顔になっている。
(やったね...信二!)
もちろんマネージャーの宮下も同じくだ。
次の試合まで昼を挟み、時間にも余裕がある為観客席へと戻る事にした。
みんな昼はここで取るようだ。
「ま、真琴君!」
そんな中、真琴に声をかける数人の人物が現れる。
妹を含めた夏未一家だ。
「ん、夏未。来てたのか」
「うん!」
「真琴君、こんにちわ」
「みんな勢ぞろいで...こんにちわ」
「真琴さんってこんなバスケ上手だったんですね!」
「三波ちゃんまで...」
「もうお姉ちゃんったら、きゃーきゃーうるさかったんですよ!」
「ちょ、三波!」
「あ、いたたた!!お、お姉ちゃんんんん!!!」
相変わらず仲の良い姉妹だ。
「真琴君、この後も試合あるの?」
「はい、ありますね...久々の試合でちょっと疲れましたけど」
「ふふ...それじゃそんな真琴君に差し入れよ。あ、他のみんなにもね!」
夏未母が真琴に渡したのは部員分の飲み物だ。
もちろんスポーツドリンクだ。
「え!いいんすか!?」
「いいのよー、みんな頑張ってるしね」
「あざっす!!」
「おい仁井!...あ、あの、よろしいんですか?」
「えーっとあなたはキャプテンの人だったかしら。もちろんよ、私達は午後の試合観れないけど応援してるわ」
「はい!」
そうして夏未一家は帰っていった。
帰り際に、夏未が真琴に耳打ちをする。
「真琴君、が...頑張ってね!」
「ん?ああ」
「そ、それと...この試合が終わったら、うちに来れる?お、お母さんがご飯食べに来なさいだって」
「いいのか?」
「うん!」
今日も美味しい食事にありつける事になった。




