36話 おはよう
「すー...すー...」
すぐに眠りに落ちた真琴。
静かな寝息をたてている。
(寝るの早っ!)
夏未はすぐさま心の中でツッコミをいれた。
起こす時間まであと2時間ほどあるので、今のうちに夏未は真琴の部屋の探索を開始した。
(まずは冷蔵庫...飲み物とか勝手に飲んでても良いって、い...言ってたもんね?)
もちろんこの残っている時間を何も飲まずというのはつらいだろう。
仕方のないことだ。
(お茶に炭酸...食材とか全然入ってないんだなあ...)
真琴は料理はしない。
基本買い食いの為、食材は購入しないのだ。
夏未はお茶を取り出し、コップを棚から出した。
(って、勝手にやっちゃってるけど本当に良いのかな...し、しかもこれって多分真琴君が使ってたり...)
コップをじーっと見つめる。
真琴が使用してた場面を思い浮かべると、また顔を赤くする。
(で、でも仕方ないよね。このままペットボトルに直接ってさすがに失礼だもんね!)
自分に言い聞かせる。
小さなテーブルに座り、落ち着かせようとする。
(そういえば、男の子の部屋に...こういう場合は家かな、来るの初めて...)
夏未はそのウブな性格から、男子と一緒に遊んだりする事は今まで無かった。
顔も性格も良いのにもったいない!と五十嵐からよく言われているが...
そもそも部活にも入ってなくて接点が無いのだ。
しかし、クラスの男子からは影でモテているようなタイプだ。
大体部屋の中を見終わった夏未は、本を読む事にした。
そして、本棚にある1冊の本を手に取る。
小説だ。
(あ、この作者さん知ってる。ちょっと切ない系の物語、だったっけな?)
それから夏未は起こす時間まで、本を読んだ。
「真琴君、時間だよ」
いつの間にか顔を動かしていた真琴の寝顔を見つめながら、夏未は優しい声で起こす。
「んー...」
しかし、真琴は中々起きない。
それから何度も声をかけてみるも、起きる気配がしない。
(...本当に中々起きない...ふ、触れてみようかな...)
緊張しながらも、恐る恐る真琴の顔に手を触れる。
温かくて、もっと触っていたいと思う。
手をずらしていき、真琴の髪の毛へと手をやる。
(あ...髪の毛、サラサラしてる)
そんな事を考えていると、真琴の目がゆっくりと開いていく。
「...ん」
「...お、おはよう、真琴君」
素早くサッと手を引っ込める。
「ああ...もう時間か。ふわぁ...」
あくびをしながら体を起こしていく。
「う、うん。あ、お茶頂きました...コップ勝手に使っちゃったけど...」
「好きに使って構わないよ、わざわざこうして起こしてくれた訳だし」
「ふふ、でも真琴君って本当に中々起きないんだね」
「まぁな...前から朝とか弱いし、大変だ」
それから寝癖をちょっと直してから、夏未の家へと向かうのであった。




