33話 凛の耳打ち
「はぁ...」
郷田との会話が終わり、真琴はコートを去っていく。
「真琴ぉぉぉぉ!!!」
そんな真琴に元気よく飛び込んできたのが烏山だ。
「おっと」
しかし、見事に避ける。
烏山はそのまま壁に撃墜した。
「いでっ!」
「いきなり何しようとしてたんだ?」
「いてて...いや、お前にはまじ助けられたからさ、そのお礼だ」
「男の抱擁はいらない」
「っく...そういえばさっき郷田先輩と何を話してたんだ?」
「...別に何も」
「ふーん、ああそういえば...五十嵐からの伝言だ。これからバレーの試合があるから応援しにこいだってさ。」
「ああ、分かった」
真琴はバレーの試合が行われるコートへと行き、試合を応援する事にした。
こっちは2年3組との試合みたいだ。
「夏未、こっち」
順調に得点を決めている様子。
あの五十嵐は運動神経が良く、結構な得点を決めている。
「う、うん!」
夏未も連数のおかげか、上手くトスを上げられたみたいだ。
「よっと!!」
やや身長が足りないが、スパイクっぽい何かを決めている。
(へぇ、結構やるな)
そんな呑気な事を考えていると、予め用意されていていた椅子に腰かける。
大体コートごとに15席程観戦用として設けられているのだ。
もちろん、上の階にある観客席も使って良い。
(...ん?)
何だか少し真琴の横が騒がしい。
多分後輩だろうか、元気そうな子達もこの試合を見ていた。
「ねぇねぇあの人ってさっき凄い活躍してた...」
「転校生の先輩だよね?」
コソコソと話しているつもりだが、凄い聞こえる。
「...近くで見ると結構カッコいいね...」
「うんうん!」
嬉しい気持ちにはなるが、恥ずかしい。
「モテモテですね、先輩」
その声は隣から聞こえた。
「...凛、いたのか」
「先程から。むしろ良く気付きませんでしたね、眼中にありませんでしたか?」
「い、いやそんな訳じゃ...」
「それにしてもあのバスケの試合でせ、先輩さらに話題になりましたよ」
「え?そうなのか?」
「カッコいいとか、女子にきゃきゃー言われてました」
「....そうなのか、まぁ悪くはないけど...」
「この浮気者」
「うっ」
凛から、脇腹を小突かれた。
思ったよりも強烈な威力だ。
「あれ、鈴海さんって東仙寺先輩と知り合いだったの!?」
「...まぁ、一応」
「ええー!そうなんだ!あ、先輩!試合みてました、とってもカッコよかったです!!」
凛の近くにいた、多分クラスメートであろう女子達が話しかけてきた。
適当に礼を言っておく。
それからというもの、少なくない人数に囲まれてしまった。
(ちょっと居づらい...別の場所で応援するか)
そう思ってそそくさと逃げていこうとする。
「あ、先輩」
「悪いな凛、ちょっと場所を変える!」
すると凛が顔を近づけてきて、耳打ちをした。
「デート、忘れないで下さいよ?」
「ん?ああ、分かってる」
その答えを聞いて満足した凛は軽く手を振ってくれた。




