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終わらない青春の中で  作者: 白月 海
28/61

28話 球技大会に向けて

次の日、本格的に球技大会の練習が始まる。

全ての学年の生徒達は、それぞれの種目に向け練習をしている。

教師陣の中では既に試合は始まっているらしいが...


―職員室


「あら、これはこれはゆいちゃん先生」


「...轟先生、おはようございます」


「そちらのクラスの生徒達は最近球技大会に向けて、とても頑張っている様子ですわね?」


「ええそれはもちろん。三組には負けない様に練習をしていますよ?」


「ふふ、それでは楽しみに待っていますわ...ただ私のクラスの生徒達はみんな運動神経が良いので、勝っちゃうと思いますが」


「...ふふ、またまたご冗談を」


「うふふふ...」


バチバチと二人の間に火花が散る。

周りの職員達も、勝つ気ではいるのだが引いている。

この轟は2年3組の担任で、ゆいちゃん先生といつも競い合っている。

同い年で、同じ学校...この学校の教師になってからの話では無いのだ。


その頃、真琴達の教室では試合のフォーメーションなどの作戦を立てていた。


「得点は俺に任せてくれ!絶対に優勝してやる!」


バスケ部のエースである烏山はかなり張り切っている。

もちろん他の種目の生徒も同じだ。


「あ、真琴君おはよう」


「夏未か、おはよう」


真琴が席に着き、周りを見渡す。

最近はクラスの生徒達から白い目で見られたりする事も減ってきた。

実際に夏未や烏山と話をしているのを聞いていたりして、警戒心が薄れているのだ。


「おはよう」


そんな真琴の席に近づいてきて、挨拶をしてくれる人物が一人増えた。

月野 鏡花だ。


「ああ、昨日はありがとな」


「ええ、私も楽しかったわ」


「...ん?それって」


少し恥ずかしそうに、自身の鞄を真琴に見せる。

その鞄には真琴がプレゼントした熊のキーホルダーが付けられていた。


「これ、大事にするからね」


「...」


そんな月野を見て、真琴は小さく笑う。


(こいつって、意外と可愛い面もあるんだな)


「何よその顔」


「はは...別に何でもないよ」


笑いながら言われると説得力が無い。

そして、真琴の隣の席でそんな光景を見ている夏未はというと...


(...なんか二人とも仲良さそうだなぁ...ちょっと複雑な気持ち...)


と思っている事は真琴は知らない。


それから球技大会に向けて、学校中は慌ただしくなっていった。

練習量もそれなりに増えていく。

強制ではないが、自主的に放課後に残って練習をしている連中も多いみたいだ。


「真琴、練習していかないか?」


しかし真琴にはバイトもありそんな時間は無い。


「いや、今日バイトだ。悪いな」


「そっか...残念だけど仕方ない!まぁ俺に任せてくれ!」


「...」


烏山の一言に真琴は違和感を覚えるも、深くは考えなかった。


(それにしても球技大会か...一応外でランニングくらいはしておくか)


喫茶店″ルージュ″に着き、仕事を開始する。

今日は暇で今の時間は珍しくお客も来なかった。


「真琴君、今日はこんな状態だし上がってもいいよ。たしか球技大会も近いんでしょ?」


「あ、村上さん。用事はもう終わったんですか?」


「先程終わったよ」


「それじゃ、お言葉に甘えて今日は先に上がらせてもらいますね」


「うんうん、お疲れ様」


「はい、お疲れ様です」


真琴の言葉に満足げにする。


(あの真琴君が″お言葉に甘えて″か...嬉しいねぇ。これもあの子達のおかげかな?)


人に甘えようとしなかった真琴にとって、大きな変化であった。

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