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終わらない青春の中で  作者: 白月 海
27/61

27話 不機嫌から上機嫌へ

「さて、それじゃそろそろ映画館に向かうか」


「そうね」


二人がデパートの出口へと向かっていると、後ろから名前を呼ぶ声が聞こえた。


「...東仙寺君?それに月野さん?」


振り向くとそこには夏未と、その友達もいた。


「夏未と、えーっと...」


真琴が名前を頭の中で探していると、その友達は自己紹介をした。


「私は五十嵐いがらし すずめよ。あなたの事は夏未から色々と聞いてるわ」


「そうなのか?...って夏未?」


「...」


なぜか真琴と月野を交互にみてるようで目を激しく動かしている。


「夏未?」


もう一度名前を呼ぶと、やっと反応をしてくれた。


「ふえっ!?ま、真琴君!ここ、こんにちわ...」


「今日はお二人でデート?」


「す、雀ちゃん!?」


「いや、月野から映画のチケットを貰ってな...まぁ色々事情はあるんだけど。今はこいつの買い物に付き合ってたところだ」


「ふーん...二人はカップル?」


「カップルって...ちょっと前にも店員に間違えられたが、別にそんな関係じゃないぞ?」


「へー!」


五十嵐は表情を変え、真琴から視線を反らして月野を見た途端にニヤニヤする。

何か悪い事でも考えている感じだ。

夏未に至ってはどこかホッとしたような表情をしている。


「五十嵐さん、奇遇ね」


「月野さんこんにちわ、なんだか私達が歩いている前方に素敵なカップルがいるなぁと思ったら東仙寺君と月野さんだったとわねー」


「...東仙寺君が言った通り、別に付き合ってる訳ではないわ。少し前に東仙寺君を怒らせてしまったから、その謝罪よ」


「その割にはお互い楽しそうにしてた感じだったけど?」


相変わらずニヤニヤとした顔つきを変えずに、話をしている。

...どこか険悪な雰囲気になっているが。


(なんだ、この空気は...)


この空気を察してか、夏未はどこか焦っている。

オロオロしているのだ。


「ま、いいか!それじゃね、東仙寺君に月野さん」


「...ええ、また学校で」


そう言って別れた。

それから映画館まで、月野は不機嫌そうな表情をしている。

どうした?と聞くも、「何でもないわ」と答えるだけだ。


映画館に着いて、飲み物を買う。

席に座り映画が始まっていくが月野の機嫌は直らなかった。


上映が終了し、空もオレンジ色になり始めた頃...二人は公園のベンチにいた。


「何か月野、怒ってないか?」


「...別に怒ってないわよ」


「さっきから不機嫌そうな顔してるの分かるぞ?」


「...」


「俺が何か怒らすような事をしたなら謝る、このままだと俺が納得できない」


「.....の」


「?」


「何も即答することないじゃないの!!」


「え?何の事だ?」


「...もういいわ」


そう言って、月野はベンチから立った。

どうやら帰るつもりだ。


「月野」


「何よ」


真琴は、ポケットの中から小さな袋を取り出した。


「...理由は分からないけど、悪かった」


「...」


「これで機嫌を直して欲しいって言ってる訳じゃないんだけど...その、俺は今日楽しかった。だから...これはそのお礼だ」


月野は袋を真琴から貰い、恐る恐る開けていくと目を見開く。

そのまま少し俯いた。


「これ...」


「あの時、内緒で買っておいたんだ。これをお前が手に取ったとき、嬉しそうにしてたし...」


それは雑貨屋で、月野が手に取っていた熊のキーホルダーだった。

月野がプレゼントを探している最中にこっそりと購入していた。


「...ずるいわ」


「え?」


「ずるいのよ、東仙寺君は」


月野は顔を上げると、今までの表情が嘘のように...笑顔になっていた

それは、オレンジ色に染まった空と相まって...とても綺麗だった。

少し瞳は水分を帯びているも、それが加わり余計に綺麗に見えた。


「ふふ...ありがとうね。これ、大事にするわ」


「...」


「私も楽しかったわ!また、一緒に出掛けましょう!それじゃまた学校でね、真琴君?」


少しだけ悪戯な笑みを見せて、帰っていった。

その後ろ姿はどこか嬉しそうであった。



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