25話 いざ、デパートへ
「デート?」
「はい、デートです」
「...えーと」
「こんなに可愛い後輩が誘ってるんですよ?」
「いや、自分で言うなよ」
「それで、いつにしますか?」
「それじゃ、球技大会が終わった後の土日でもいいか?」
「はい!」
こうして凛ともデートをすることが決定した。
家に着き、少しだけ考える。
(今月は少し忙しくなりそうだな...夏未の家や叔父さんの所にも行かないと...)
「...まぁ、良いか」
真琴は考えるのをやめた。
なるようになれ、だ。
―そして迎えた日曜日
真琴は約束の時間10分前に駅前にいた。
少しでも遅刻すると、きっと文句を言われるだろうと思ったからだ。
(少し暑いな...もう6月、か)
天候にも恵まれ、晴天だ。
「ん?」
前方から小走りでやってくるのは月野だ。
「はぁはぁ...ごめんなさい、遅れました...」
「いや、いいよ」
月野の私服は、学校での厳しさとは違って女の子らしい、可愛い服装をしている。
「...何?」
「いや、意外とそういう服も似合ってると思ってな」
「な、なに言ってるのよ!ほら、行くわよ!!」
(褒めてるのに怒られた...)
ただの照れ隠しである。
「それで、映画の上映時間は何時なんだ?」
「16時よ」
「...大分早くないか?」
「....」
あと3時間はある。
さすがにこの気温の中、外にいるのは嫌なので二人は喫茶店に入ることにした。
「この店でいいか?」
「そういえば、あなたのバイト先も喫茶店だったっけ?」
「ん?そうだけど」
「行ってみたいわ」
「残念ながら土日は休みだ、我慢してくれ」
「...分かったわ、嘘だったら怒るからね」
「本当だよ...」
店に入り、注文する。
真琴はアイスコーヒー、月野はオレンジジュースだ。
「東仙寺君はコーヒー飲めるのね」
「まだちょっとブラックは苦手だから砂糖は少しいれるけどな」
「ふふ」
「あれ、何かおかしい事言ったか?」
「いいえ、こうやって話をしてみると意外と普通の人だったんだなって思っただけよ」
「...」
「最初はクラスに不良生徒がいたら空気が悪くなるから、どうにかしようと思ってたけど...どうやら私がバカみたいだったわね」
「別に間違ってはないよ、喧嘩したのは事実だし」
割と二人の雰囲気は良い。
今までのようなピリピリしたものがここには無いのだ。
「ああ、それと」
「ん?」
「たまに結城さんと話しているのをみるけど、仲は良いの?」
「まぁ...あいつの家で食事をご馳走になったりするからな」
「えっ!?」
「ちょっと前に、スーパーであいつの家族と会ってな...俺の食生活を見られて、それからって感じかな」
「一人暮らしだったわよね?普段は何食べてるの?」
「コンビニの弁当とカップ麺」
「え?」
「インスタント食品」
「ずっと?」
「一人暮らししてからずっとだな...最初は自分でっていうのも思ってたけど、才能が無いみたいで」
「...たしかにそれは心配するかも」
月野はボソリ、と静かに呟く。
「何か言ったか?」
「い、いえ、何も」
小一時間程話しただろうか。
二人のグラスは空になった。
「あ、そうだ...ちょっと友達の誕生日に何か買ってあげたいから付き合ってもらっていい?」
「まだ時間あるようだし、全然良いぞ」
こうして二人は喫茶店を出て、この街で一番大きなデパートへと向かった。
街の住人ならばここには絶対来るだろう。
このデパートなら大体の品が手に入るからだ。




