17話 お弁当
時間は平和に過ぎていき、ここは学校。
もう少しで球技大会だ。
「真琴ー」
「ん?烏山か」
「大地でいいって」
昼休みなると、烏山が真琴の席の近くへとやってきた
「何だ?」
「やっぱり真琴って、バスケ部に所属してたのか?」
「ああ」
「そっか!なぁ、バスケ部に入るつもりはないか!?」
「...お誘い有り難いけど、バイトもあるし遠慮するよ」
「そうか...ん?」
「?」
話していると、ドアの向こうに誰かを探している女子生徒の姿が見えた。
「...あ」
思い出したかのように、真琴はその生徒を見る。
以前屋上で一緒に食事をした鈴海 凛だ。
真琴を見かけると、手招きをした。
「先輩、こんにちわ」
「よう鈴海、どうしたんだ?」
「...これ」
鈴海は真琴に対して何かを差し出した。
「...まさか、弁当か?」
「はい、多分まだ昼食とってないんですよね?朝に作りすぎてしまって」
「まぁ...食べてないけど」
「これから、その...一緒に食べませんか?」
ちらりと教室に視線を戻す。
物凄い視線を感じたからだ。
一際それが痛いのは、委員長である月野だったが...
(うわー...これ、絶対後で何か言われそう...。まぁ、断るのもなんだし...)
「分かった、ありがとな」
それだけ言うと、二人は50周年ホールの屋上へと向かっていった。
教室では各々話し合っている。
「あ、あれって後輩だよね...何か弱みでも...」
「あんな大人しそうな子に手を出すとか、まじかよ」
「もしかしてあれって、彼女...とか?」
最後の言葉に一人、焦る人物がいた。
結城 夏未だ。
(ええ~!?か、彼女?ま、真琴君の彼女!?)
そう考えていると、夏未の元に一人の女子生徒が近づいてくる。
親友である五十嵐 雀である。
「っよ、夏未」
「ふえっ!?」
急に話しかけられて、変な声が出てる。
「もしかしてー、あの子が東仙寺君の彼女なのかなー?」
ニヤニヤしながら質問してくる。
実は察しているのだ、あの二人は付き合って無いだろうと。
「...か、彼女...なの...かな...?」
かなり落ち込んでいる。
さすがにからかうのを止めて、話す。
「多分あれは彼女じゃ無いわ、これは女の勘だけども...それで、良いのかしら?」
「えっ、違うの!?それで...良いって何が?」
「先を越された、って事よ...お弁当なんて、大人しそうな子に見えるけど随分と積極的ね」
「お弁当...」
「あの子に取られちゃうわよ、真琴君。まぁ、結構鈍いタイプだと思うけど...それでもあんな積極的な事されたら意識しちゃうわ」
「...ど、どうすれば...」
「あなたもお弁当作ってやればいいじゃない」
その言葉に、夏未は想像する。
(私の作ったお弁当を真琴君が食べて、美味しいって言ってくれる...そ、それでまた作ってって言われて...休日に公園で二人でランチ...そ、それで夕飯は私もお母さんと一緒に作って...)
間抜けな顔をしながらそんな事を思う夏未に、五十嵐はチョップを入れる。
「いたっ」
「なーに間抜けな顔してるのよ」
「ま、間抜けって...」
「あいつ、目つき悪いけどそこそこ顔は整ってるからね...今はまだ″不良″のレッテル貼られて周りから避けられてるけど、夏未の話聞く限りじゃ性格は優しいらしいし...もう少ししたら色んな女から攻められるかもね」
「...」
「実際に見たでしょ?女の子からあいつにお弁当を渡すって行動を...気付いたらあいつの周りは女の子だらけ、夏未は取り残される...っていう状況もあり得てくるわ」
五十嵐の言葉に、さらに焦る夏未であった。




