14話 屋上での食事
「よっと」
内側にある窓をよじ登っていき、外に地面がある事を確認すると降りていった。
「お、ここは良いな」
周りを見てみると、花壇があり見晴らしも良かった。
屋上と言ってもここの屋上はやっぱり小さいし、何より真琴ともう一人しかここにはいなかった。
(...もう一人?)
そう、真琴の他に一人だけ女子生徒がいたのだ。
その生徒は真琴の方を驚いた顔をしてみている。
「...」
「...」
二人の視線が絡み合い、気まずい空気が流れる。
「...だ、誰ですか?」
沈黙を破り、先に声をかけたのは女子生徒の方だ。
外見からみれば大人しそうで、クラスの端っこで本を読んでいる...そんな感じの子だ。
「いきなり悪い、ただ昼飯を食べるところを探していたらここの行き着いたんだ」
「...鍵かかってるから窓から侵入して、ですか?」
「うっ」
「...しかも不良と名高い噂の転校生さんですか?」
「うっ」
反論できない。
「...私は一年の鈴海 凛です。園芸愛好会に所属しています...部員は私だけですが」
「俺は東仙寺 真琴...ここは愛好会の活動場所だったのか」
「はい」
「でも普通部活は授業とか終わってからだろ?」
「教室は少し騒がしくて、人が来ない場所を選んでたら結局ここに...念の為に鍵をかけてたんですけど...」
「...わ、悪いな...邪魔した」
そう言ってまた窓から戻ろうとするが、鈴海に呼ばれた」
「ん?」
「別に、良いですよ」
「何がだ?」
「ここでご飯食べても...何か話よりも悪そうな先輩じゃなさそうですし...」
「...ついでにどんな話を聞いてたんだ?」
「...」
ちらりと真琴を見て、意を決したように話始めた
「転校初日に喧嘩、上級生複数をボコボコにして停学。喫煙、飲酒は当たり前で手当たり次第に手を出して暴力で支配する...とかでしょうか...」
「初日の喧嘩は大体合ってる、だが他はしてないぞ...」
人の噂というのは怖いものだ。
無い事もあった事になる。
「ああ、それと...」
赤面し、言いにくそうにする。
「まだあるのかよ...で、何だ?」
「女性を見ると襲い掛かって卑猥な」
「それは無えよ」
すぐに反論。
最後まで予想できたから言わせない。
「...」
「...」
こうして二人は屋上で食事を取ることになった。
もっとも、鈴海の方は半分程食べ終わっていたところだが...
あっという間に真琴は購入したパンを食べ終わり、ジュースへと手をかける。
「あれ?それだけですか?」
「ん、ああ。今日はたまたまお腹が空いて買い食いだ、いつもは食べてないしな」
「そうなんですか?」
じーっと真琴が食べ終わったパンの袋を見る。
「...これ」
「ん?」
すると鈴海が自分の弁当を真琴へと差し出した。
「食べて良いですよ、それだけじゃきっと持ちません」
「いや、でもいつもは食べてないし悪いよ」
「ダメです」
「意外と頑固なんだな...お前。なら、少しだけもらうな」
弁当に入っていた卵焼きを箸でつかみ、口の中に運ぶ。
「...んんっ!!?」
ほのかな甘みが口を支配する。
そして、卵本来の味わいも伝わってくる。
「ど、どうですか?」
「こ、これは美味い!もしかして自分で作ったのか!?」
「...い、一応」
「お前凄いぞ!これは店に出せるレベルだ!!」
「な、なにもそこまで...」
「いやまじで!お前料理の才能あるって!」
真琴の褒め言葉に思わず顔を真っ赤にする。
「ってもうこんな時間か!そろそろ戻ったほうがいいな」
「あ、そうですね。結構のんびりしてました」
「それじゃな」
「せ、先輩」
「ん?」
「いや...何でもないです」
「?」
最後に何を言いたかったのか分からなかったが、真琴は気にしない事にする。
多分大した事ではないだろう。
鈴海は、真琴が先に帰ったのを確認して箸を見る。
すると、また顔を赤くなるのだった。




