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第四回

翠『ドリムちゃんドリムちゃん』


舞『どうしたんですか、ミドリムラジオの精さん』


翠『この入り方マンネリじゃないかな?』


舞『まだ三回目ですし、大丈夫じゃないですか?』


翠『マンネリじゃなくて、定番とかお約束とかの方向でもって来ればいいのにね』


舞『えっと、翠さんですか?』


翠『ううん。ミドリムラジオの精の中の人の心の声だよ。ドリムちゃん』


舞『では、ミドリムラジオスタートです』


翠『何か言ってよドリムちゃん』


~♪♪♪~


翠『改めましてこんばんは、ミドリムラジオ第四回、パーソナリティの綿来翠です』


舞『同じくドリムです。今は翠さんなんですね』


翠『何の事かなドリムちゃん。私は今も昔も私だよ。


  大昔の翠は翠じゃなかったけど』


舞『頭がこんがらがりそうな言い方ですね』


翠『なにかと無茶振りされるから、ある程度吹っ切れないとやりきれないんだよ。無茶ぶりはもうやめてほしいよ』


舞『切実ですね』


翠『じゃあ。お便り読みます。ラジオネーム「無類のアイドル好き」さんから頂きました』


舞『ありがとうございます』


翠『「僕はアイドルと名の付く人が好きなんです。最近でも、握手会やら、ミニライブやらといろいろなイベントに行ってきました。


  やっぱり可愛い子に会えるとこちらもテンションがあがりますね。それではまたメールします」』


舞『……終わりですか?』


翠『終わりだよ? アイドルいいよね。目の前にもいるけど、いるだけで華やかになるって言うか、心が満たされるというか。


  明日も頑張ろう、来週も頑張ろう、二週間会えない間どうしようって思うもん』


舞『いろいろ言いたいことはあるんですが、メールありがとうございました』


翠『って、冗談はおいておいて』


舞『やっぱり、冗談だったんですね』


翠『「P.s.ドリムちゃんは、いわゆるアイドルとはイメージが違うのですが、なにか理由があるのでしょうか?」


  ドリムちゃんって握手会とかやったことないよね。何でかとかって訊いて大丈夫なのかな?』


舞『なるほど、確かにそうですね。


  一言で言うと、そういう方針じゃないからって事でしょうか。


  プロになったと言いましたが、基本的には今までと変わらないんです。変わる部分も多いんですけどね。


  試行錯誤段階だと思ってもらえれば嬉しいです』


翠『まあ、握手会がなくても、私は握手できるもんね』


舞『一回一万円です』


翠『じゃあ、十万円くらいだしたら、ハグしても良いって事?』


舞『冗談ですよ。そんなマジな目をして変なこと言わないでください』


翠『ドリムちゃんをお嫁さんとしてもらうには、何千万……いや何億くらいに……』


舞『翠さん帰ってきてください!』


~♪♪♪~


翠『私たちに丸投げのコーナー』


舞『コーナー名違いますよ』


翠『でも、間違えてないよ。台本には「好きにしてください」って書いてるもん。


  せめてなにを考えればいいのか、くらい用意すべきだと思うんだ』


舞『コーナー、ですよね』


翠『ドリムちゃんはなにか良いコーナー案ある?』


舞『翠さんに画期的なコーナーを考えてもらうコーナーです』


翠『わお、それは画期的なコーナーが生まれそうなコーナーだね。


  で、後輩ちゃん。つっこみ待ちなの?』


舞『わたしの台本にこう書いてるんです……』


翠『ちょっと見せて』


舞『……はい』


翠『ふむふむ。本当だ。つまり、スタッフ諸君が、不慣れなドリムちゃんを利用したってわけだね。


  なにか釈明はあるかな?


 「ドリムちゃんが可愛かったから、つい」?


  うーん、それなら仕方ない……わけあるかー』


舞『えっと、ごめんなさい』


翠『ドリムちゃんが謝らなくていいんだよ。全部、悪い大人が悪いんだよ。


 「頭痛が痛いコメントですね」って、頭痛が痛くなかったら頭痛じゃないよ。頭痛が痛くなかったら、頭痛くないだよ』


舞『翠さん、落ち着いてください』


翠『ピタッ』


舞『別に固まれとは言っていないんですけど。


  でも、コーナー案思いつきましたよ』


翠『本当に!? ドリムちゃんは天才だね。スタッフとは頭の作りが違うね。


 「だったら、グリンもこっち側」って、確かに思いついてないけど』


舞『ちょっと待ってください、何でグリンが採用されているんですか?』


翠『何でって言われても、結構広まっちゃったからかな。


  お便りでも呼ばれてるし、別の仕事場でも呼ばれるよ。


  ニックネームってこうやって決まるんだなと、実感できた体験だよ』


舞『下手なこと言えなくなりました』


翠『これは本格的に緑色を押していく必要が出てきたね。


  って、事で、ドリムちゃんは、なにを思いついたの?』


舞『あ、はい。えっとですね。リスナーさんにたくさん嘘を送ってもらって、いくつかの真実と並べてどれが嘘か当てる、みたいな。


  嘘と真実を逆にして、一つだけの本当を当てるって形でもいいんですけど……どうでしょうか?』


翠『……』


舞『あの……』


翠『うん、やっぱり困り顔のドリムちゃんは可愛い。


  あ、ドリムちゃん、怒った顔しないで、可愛いけど。可愛いから良いけど。


  どうかなスタッフ諸君。ほら、ピンポーンって好評だよ。


  これは次回の収録が楽しみだね』


舞『このラジオ、効果音ってあったんですね。


  スタッフさんとのやりとりはフリップでしか出来ないと思っていました』


翠『まあ、スタッフとのやりとりが前提って時点で、どうなんだってところあるけどね。


  では、次のコーナーです』


~♪♪♪~


翠『お悩み相談室。このコーナーでは寄せられた悩みに、私たちがお答えします』


舞『実は翠さんが、わたしの事が嫌いなんじゃないかと思うことがあります』


翠『杞憂だよ。ちょっとした意地悪も、愛情の裏返しだよ』


舞『それでは最初のお便りです。ラジオネーム「白と赤」さんから頂きました』


翠『ありがとうございます』


舞『「翠さん初めまして、ドリムさんは初めてじゃないんですが初めまして」』


翠『はい、初めまして』


舞『「相談なのですが、私には変なニックネームがあります。


  由来とかを考えたら、特に理由もなく明美と呼ばれている友達よりはましだと思うのですが、出来ればそのニックネームで呼ばれたくないんです。


  呼ばれたくないから、自己紹介の時には呼ばないでといっているのに、この前は学校でも有名な人に呼ばれたせいで取り返しがつかなくなってしまいました。


  私はどうしたらいいんでしょうか」』


翠『ドリムちゃんの知り合い?』


舞『覚えはないので、ライブで会ったとかだと思います。


  さすがにラジオネームだけで判断できなくて申し訳ないです』


翠『SAKURAさんは一瞬でわかったのにね』


舞『隠す気がない人と比べても仕方ないかと思いますよ』


翠『で、相談だね。ニックネームをどうしたらいいか。


  ドリムちゃんはどう思う?』


舞『別のニックネームを考える、でしょうか。インパクトのある、自分が呼ばれても良いというニックネームを提案したら、そちらにシフトすると思います』


翠『ドリムちゃんは純粋だね。天使だね』


舞『わたしの事はいいので、翠さんの意見をお願いします』


翠『たぶんね、嫌だって言いつつも、白と赤さんは本気では嫌がっていないと思うんだよね』


舞『どうしてですか?』


翠『自己紹介段階で呼ばないで、って言ったら、もうそれは振りでしかないもん。


  たぶんわかった上で言っていたんだと思うんだけど、まさか学校の人気者に呼ばれるとは思っていなかったってところだろうね。


  ニックネーム次第だけど、諦めるしかないんじゃないかな』


舞『ニックネーム次第ってどう言う事ですか?』


翠『その名前でしっくりくるようだったら、救いはないかな。


  結局ニックネームって、呼び易さとかその人に合っているかで定着すると思うから。


  アドバイスとしては、本当に呼ばれたくなかったら、自己紹介で言わないことだね』


舞『答えとして、それはいいんですかね?』


翠『いいんじゃないかな。そこまで本気の悩みなら、ラジオに投稿せずにもっと信頼の置ける人に相談してね』


舞『言っちゃうんですね』


翠『言っちゃうよ。言わないと、本当に本気な悩みが来るよ?


  本当か嘘かわからないけど、好きな人に恋人がいるんですが、どうやって付き合ったらいいですか、みたいなの来たんだよ』


舞『なんて返したんですか?』


翠『そっと、印刷したメールを裏返したよ』


舞『……では、二通目に参りましょう。ラジオネーム「ととのののとと」? さんから頂きました』


翠『それね、ととの ののととって読むんだよ』


舞『やっぱり翠さんの知り合いだったんですね。えっと改めて「ととの ののとと」さんから頂きました。


 「ドリム様、翠、こんばんは」』


翠『何で私だけ呼び捨てなのかな。でも、ドリムちゃんに様をつけたのは評価』


舞『「ととのののととと申します。相談なのですが、最近同僚に良いことがあったらしく、事あるごとに自慢してきます。


  はじめは本人が楽しそうだし、乗ってあげていたのですが、正直鬱陶しいです。むしろうらやましいです。


  私も混ぜてほしいと頼むのですが、時間が合わないと取り合ってくれません。どうやったら、私もドリムちゃんと遊ぶことが出来るでしょうか」とのことです』


翠『無理です』


舞『翠さんの知り合いなんですよね? だったら、わたしは大丈夫ですけど』


翠『ドリムちゃんがそういっても、ととのんにドリムちゃん取られそうだから嫌です。ってことで三通目』


舞『えっと、頑張って翠さんを説得してくださいね』


翠『ラジオネーム「自動販売機の呪い」さんからです』


舞『ありがとうございます』


翠『「初めまして。僕はよく学校の休み時間に自動販売機の飲み物を買いに行きます。


  ですが、嫌われてしまっているらしく、お札を入れても、硬貨を入れても一度は返されてしまいます。


  酷いときには、四度、五度と繰り返して、僕の後ろに列が出来ていて、体中から嫌な汗が流れてとまりません。


  で、相談なんですが、この時期に自動販売機で買うなら、コーンスープとおしるこどちらが良いと思いますか?」


  お便りありがとう。私はコーンスープ派かな。


  私の知っているところだと、コーンスープだけでも何種類かあってそれぞれにお気に入りがあったりするんだよね。


  ドリムちゃんはどっち派?』


舞『わたしは気分次第ですけど、相談ってこれでいいんでしょうか?』


翠『いいんじゃない? どっちにするかを迷っているんだろうから。


  ドリムちゃんは、自動販売機に、どうやったら嫌われなくなるか、って言う問題の解決方法思いつく?』


舞『別の人に頼む、とかでしょうか』


翠『並んでいる人に?』


舞『難しいですかね』


翠『人にもよると思うけど、初対面でいきなり「僕の代わりに自動販売機にお金入れてくれませんか?」って難易度高くない?』


舞『んーっと……実はわたし、おしるこを売っている自動販売機見たことないんですよね』


翠『じゃあ今度連れて行ってあげるよ』


舞『楽しみにしてますね』


翠『つぎにドリムちゃんとの、デートの場所が決まったところで、エンディングに行きましょう』


~♪♪♪~


翠『ミドリムラジオ第四回、お別れのお時間です。


  今回はどうだったかな?』


舞『前回からですけど、身内からのお便りが多い印象ですね』


翠『ドリムちゃんの初めてのラジオだから、って感じだけどね。


  というか、SAKURAさんのインパクトが大きかったというか』


舞『なんだか恥ずかしいですが、楽しかったですよ。


  もっと時間があればもっとお便り読めたのにって、少し残念です』


翠『こればっかりは、宿命だよね。たくさんお便り来ると嬉しいけど、読めない人が増えてくるって』


舞『わたしのスキルアップも大切ですよね。わたしが流暢に話せれば、お便りを一通でも多く読めるようになるかもしれませんし』


翠『もう、ドリムちゃんはまじめなんだから。


  それでは、ミドリムラジオ第四回、これで終わりとさせていただきます。


  お相手は綿来翠と』


舞『ドリムでした。


  また来週お会いしましょう』

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