第十三回
翠『ドリムちゃん、ドリムちゃん』
舞『ミドリムラジオの精さん。どうしたの?』
翠『ドリムちゃんの台本には、この茶番なんて書いてるの?』
舞『「ラジオの精に合わせるように」ってしか書いてないよ。
もしかしてミドリムラジオの精さんのは違うの?』
翠『「そういえば、次の収録は4月1日ですね」ってしか書いてないんだよね。
これってもう職務放棄だよね。訴えたら勝てるよね』
舞『勝てるかどうかはわかりませんが、わざわざ伝えるからには何かあるんですよね』
翠『4月1日、エイプリルフール……嫌な予感しかしないけど、とりあえず今日はいつも通りなんだよね。
ということでミドリムラジオスタートです』
~♪♪♪~
舞『改めましてこんばんは。ミドリムラジオパーソナリティのドリムです』
翠『同じく綿来翠です。さっそくお便りをご紹介します。
ラジオネーム「みみず」さんから頂きました』
舞『ありがとうございます』
翠『「ドリムさん、翠さんこんばんは。気が早いかもしれませんが、もうすぐエイプリルフールですね。
お二人は今までにどんな嘘をついたことがありますか? またはどんな嘘をつかれたことがありますか?
エイプリルフールが春休みのためか、僕にはそういった経験はありません」だそうです』
舞『嘘……ですか。エイプリルフールでも、嘘でもないですが、スタッフさんから騙されることは多いですね』
翠『ごめんねドリムちゃん。私のせいじゃないけど、私がいるからスタッフが悪乗りするんだよね』
舞『そのおかげでアドリブには強くなりましたよ。でも、本当は翠さんがフォローしてくれているからなんですよね。ありがとうございます』
翠『やめて、お礼を言わないで。そんな曇りのない眼で見つめられたら、私が溶けちゃう。
というか、毎回テンション上がって、ただドリムちゃんとの会話を楽しんでいるだけだって言えなくなっちゃう』
舞『言いましたね』
翠『言いましたよ』
舞『わたしとの会話を、毎回楽しんでいてくれたってことですよね。ありがとうございます』
翠『やめて、そんな曇りない眼で……』
舞『天丼ってやつですか?』
翠『天丼ってやつですね。でも、ドリムちゃんとのおしゃべりが楽しいのは本当だよ。
それに、台本が適当だから、スタッフ君たちもその分編集頑張っているわけだしね』
舞『確かに結構言っちゃいけないこと言ってますよね。翠さんが』
翠『なんたって、テンション上がっているからね。
むしろドリムちゃんは言わないよね。何かコツとかあるのかな?』
舞『んーっと、慣れているからじゃないですかね。普段から本名は隠しているわけですから』
翠『私は隠す気ないからなー』
舞『ということで、二通目です。ラジオネーム「赤い砥石」さんから頂きました』
翠『ありがとうございます』
舞『「翠さん、ドリムさん初めまして。赤い砥石と言います。
ミドリムラジオ、毎週楽しみにしています。いつも仲の良いお二人がうらやましいなと思っていたのですが、一つ気になることが出てきました」』
翠『何か何かな?』
舞『「ドリムさんの本名って、翠さんは知っているんですか? 知っているなら普段はどんな風に呼んでいるんですか?」だそうです』
翠『知ってるよ! ……って言ってよかったのかな?』
舞『良いですよ。知っているかどうかくらいなら。一応非公開にはしているので、名前が出たらカットしてもらってますが』
翠『それで、普段なんて呼んでいるかなんだけど、名前かな。○○ちゃんみたいな感じで呼んでるよ。
たまに間違ってドリムちゃんって呼んじゃうけど、ドリムちゃんはアイドルだし外でドリムっていうと目立っちゃうんだよね』
舞『逆に呼ばれないと全然気づかれませんけどね』
翠『そうだね。不思議だね。私ならオーラで一瞬だっていうのにね』
舞『確かに一瞬でしたね。あの時はびっくりしました』
翠『まあ、君たちも早く私のレベルに達するように頑張りたまへ。
その時私はさらに上のレベルに行っているがな』
舞『といったところで、オープニングトークでした』
~♪♪♪~
翠『テーマトークのコーナー』
舞『このコーナーではあるテーマに沿って、翠さんとわたしで話していきます。
今回のテーマは「エイプリルフール」ってことなんですけど、さっき話しましたよね』
翠『でも、結局話しきれてはなかったと思うな』
舞『ラジオの話になりましたからね。そういえば翠さんは嘘つかれたことあるんですか?』
翠『あるよあるよ。なんだろう、エイプリルフールのたびにどこかで嘘つかれてるんじゃないかな。
中でもひどいのはね。ととのんの家に泊まりに行った時なんだけど、先にお風呂に入ってたととのんが「三キロやせた」って騒ぐから、私もお風呂上りに乗ってみたのね。
これでも、太らないようには頑張っていたから、痩せてたらいいなと思ってたんだけど……増えてたの。五キロも』
舞『五キロはすごいですね。いつと比べてにもよるかとは思いますが』
翠『やっぱり女の子が五キロっていうのは、気絶ものだよね。
で、何とか気絶を耐えた私が、ひどく落ち込んでその場に崩れていたらととのんがやってきて「驚いた? これ弄ってたんだよ。三キロ重くなるようにね」ってね。もう、これだけはびっくりしたし、二度とされたくないね』
舞『……翠さん』
翠『ところで、ドリムちゃんは何かないの?』
舞『結局二キロ』
翠『ないなら次いっちゃおうか』
舞『はい。わかりました。わたしの話ですね。
そうですね。わたし小さいころから、アイドルになりたいというか、歌って踊りたかったんですけど、当時親にどうやったらアイドルになれるのかって訊いたら、「免許を取らないといけないのよ」って返ってきましたね。
加えて「試験は難しいし、受けられるのは14歳までだから今から頑張りましょうね」って感じでしたね』
翠『で、ドリムちゃんはそれを信じたんだ』
舞『まあ、幼かったですからね。やるなら本気でやってほしいという思いもあったみたいです。
でも14歳っていうのは微妙なラインでしたね。本当は16歳ですから』
翠『……ん? アイドルって免許がいるの?』
舞『嘘ですよ。ということで、次のコーナーに移りましょう』
~♪♪♪~
翠『エイプリルフールで何をされるのか予想してみようのコーナー』
舞『いえ、わたしたちがコーナーを考えるコーナーでしたよね?』
翠『だから考えたんだよ。考えたから実行するんだよ』
舞『翠さんとスタッフさんがそれでいいなら、わたしはいいですけど。
次の収録なので、放送的には来週ってことになりますよね』
翠『ここのところ、スケジュールが狂ってるからね。二本撮りだったのが、一回しか撮らなかったり、ゲスト呼んだり。ってことで、エイプリルフール予想なんだけど、嘘じゃない可能性もあるんだよね』
舞『エイプリルフールにかこつけて、関係ない企画をやるってことですか?』
翠『皆かこつけるの大好きだから。ハロウィンとかクリスマスとか』
舞『じゃあ、どんなことがあると思いますか?』
翠『記憶に新しいのは番組の乗っ取りとかかな』
舞『ありましたね。桜ちゃんと十戸倉さんが乗っ取ろうとしたことが。
確かにそんな感じの事ならありそうです。一応嘘番組でしたって落ちはつけられますしね』
翠『私はそれでもいいんだけど、その時は乗っ取るのはドリムちゃんの関係者が良いなー』
舞『わたしの関係者で乗っ取りが出来そうな人が、限られすぎているんですけど……』
翠『ところでドリムちゃん』
舞『どうしたんですか?』
翠『今日ってやけにエイプリルフールを意識させるでしょ?』
舞『確かにそうですね。オープニングトークにさっきのコーナーと、エイプリルフール尽くしです』
翠『だからこそ、来週は何もしないんじゃないかって気がしなくもないんだよ。
放送日はエイプリルフールじゃないから、あくまで私たちをだますことが目的だと思うし』
舞『翠さん、一ついいですか?』
翠『何かなドリムちゃん。膝枕ならいつでもしてあげるよ? むしろさせて?』
舞『膝枕は別にいいんですけど、この会話もれなくスタッフさんに聞かれてますけど大丈夫なんですか?』
翠『ねえ、スタッフ君たち。今までの話は聞かなかったことには……「無理」?
なんだよケチ。というか、本当に何かしでかす気なんだね』
舞『結局ここで話しても、スタッフさんのさじ加減ですよね。
翠さんがかってに変えちゃうかもしれないですけど』
翠『ドリムちゃんに変な事させようとしたら、容赦なくボイコットするのでよろしく』
~♪♪♪~
舞『エンディングです』
翠『今日一日なにしゃべっていたんだろうなって気がするね』
舞『毎回そんな感じもしますけど、お便りはたまっていくのでここで読みますね。
ラジオネーム「木登り熊」さんから頂きました』
翠『ありがとうございます』
舞『「ドリムさん、翠さんこんばんは。さっそく質問なんですが、コーナーとコーナーの間に流れる曲ってどんな基準で決めているんですか? あと、なんで曲の説明をしないんですか?」だそうです。
そういえば、○○で△△みたいな感じで曲に入るのが多いですよね』
翠『ミドリムラジオの場合、コーナー間に休憩が入ることあっても、実際に曲を流していないからってのが一番の理由じゃないかな。ついつい話しちゃうから、曲を聴いている時間がないってのが大きいみたい』
舞『だから、わたしたちも放送があるまでは、知らないんですよね。
スタッフさんに聞けばわかるのかもしれないですけど、大体はわたしの曲か、翠さんの曲って感じですよね』
翠『たまに流れない時もあるけどね。しゃべりすぎてて』
舞『生放送とか出来る気がしませんよね』
翠『やるなら拡大版必至って感じかな。ってところでもう一通読みます。
ラジオネーム「KI」さんから頂きました。「お二方ともこんばんわ。今朝起きたら、近くの桜が咲いていました。もう春になるなと心躍るようでしたが、お二人は今年に入って春だなと感じたことはありますか?」だそうです』
舞『春と言えば、卒業式の話をしていたことがありますから、その時に春だなって感じましたね』
翠『確かに卒業式は、春のイベントだもんね。それ以外だと私はまだまだって感じかな。寒いし』
舞『確かに寒いですよね。朝晩はまだまだコートが手放せません』
翠『コートと言えば、お花見の場所取りなんか、桜の下で真冬のコートじゃないと寒いってことがあるよね。ドリムちゃんは場所取りやったことある?』
舞『ないですね。そもそも、あまり花見をしたことないです』
翠『じゃあ、今年は一緒に行こうね。時間がなかったら、収録サボっていけばいいし』
舞『その時はお外で収録っていうのもありなんじゃないですか?』
翠『それもなかなか。ってことでスタッフ君よろしくね。
では、ミドリムラジオそろそろ終了の時間ですが、その前に二つ。各コーナーへのお便りはmidorimu@****.###まで、ラジオネームを忘れずに書いて送ってください。midorimu@****.###です。
もう一つ。ドリムちゃんのカバーアルバムが発売中です。今までのドリムがギュッと詰まった至極の一枚。かわいいだけじゃないドリムがあなたを待っています』
舞『なんでわたしの宣伝を翠さんがCMっぽくやるんですか』
翠『え? だって広めたいから。ドリムちゃんの素晴らしさを広めることが、私の使命だから。
というところで、ミドリムラジオお相手は綿来翠とドリムでした。また来週』
~♪♪♪~