どんな彼氏でもかかってこいや!
この話は兄の目線で書いた日常の風景です。
兄はシスコンだけど妹は兄が嫌い。
そんな二人のやりとりなどでクスッとして貰えたら幸いです。
ジリリリリリ…
耳元で目覚ましの音が鳴り響いた。
起きるのがだるくてしばらく鳴らしたままほったらかしておく。
しばらくすると、部屋の外から足音がドタドタと聞こえてきた。
かなりのスピードを出している模様。
「うるっっさいわね!さっさと起きろ!!」
このベリーキュートなラブリーガールは僕の妹、梓。稲穂 梓だ。
きっとツンデレなんだろう。僕に厳しいのだ。
「ん…?あっ、おっはよーあーずさー!」
「早く起きろシスコン!」
「早く起きろ(じゃないと私の愛の朝ご飯が冷めちゃうでしょ)シスコンだって?そんなぁ、照れるなぁ〜」
「…キモいからその顔止めなよ…」
妹のそんな言葉をスルーして起き上がると、僕は梓に抱きついた。
いや、正確には抱きつこうとした。
「あーずさー!」
「うわっ!何してんのよ馬鹿!!」
ビターンと、僕は床に叩き落とされる。
「うぅ…痛い…」
「当たり前でしょ?変態兄貴。さっさと起きなさいよね」
そう言うとさっさと下に降りて行ってしまった。
(もぅ、梓は照れ屋なんだから…)
朝ご飯を食べた僕は学校へ向かっていた。
ちなみに梓は先に行っている。
「置いてかなくても良いのに…」
少し寂しく感じながら僕は学校へ走った。
そんな現在時刻は8時37分、遅刻まであと3分。
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコー…
「セェェェェェェェフ!!!」
遅刻ギリギリで教室に入った僕にクラスメートが挨拶をする。
これでも僕は人気者なのだ!
「おはよー」「おはよう光輝」「おっす」
「はぁ、早く席につけ稲穂。授業始めるぞ」
こうしてまた今日も退屈な時間が過ぎていった。
授業?もちろん聞いていない。
なんか、生徒会がどーのこーの(授業関係ない)って言ってた気がするけどまぁ良いか。
ー 放課後ー
「なぁ、お前やっぱり生徒会長になるん?」
「はぁ?何言ってんの?」
話しかけてきたのは僕の後ろの席の男子、倉川 正志だ。ちなみにリア充だ。
でも、生徒会長かぁ…どうせ毎日暇だしなぁ」
「やれば良いのに生徒会長。似合うと思うぞ」
「そうか?ならやろうかな「それにモテるし」
今なんて言ったこいつ?モテる?
「お前馬鹿か!?俺はモテなくても良いんだよ!」
「はいはい。梓ちゃんね、分かった分かった」
「なら良いけどさ…」
そう、僕は梓がいれば良いのだ。
梓が生徒会長になれと言うのならなるし、委員長になれと言うのならなる。
つまり、僕には彼女なんて必要ないんだ。
強いて言うのなら梓が彼女が良い。
「でもさ、梓ちゃん可愛いし彼氏とかできるんじゃないの?」
「は?狙ってるなら諦めな」
「狙ってない狙ってない。第一俺彼女いるし」
まぁ、梓に彼氏ができたら俺が彼氏をとっちめるからな。
「あれ?でもお前ここにいて良いの?梓ちゃんクラスの男子に呼ばれたらしいよ」
「…は?」
「もしかして…知らなかった?」
「…それ何処だ」
「体育館裏だけどもう遅いかもねっておーい聞いてる?」
僕は鞄を掴むと体育館裏に向かって走った。
「だから、ごめんなさい…」
僕が体育館裏に着くと梓のそんな声が聞こえてきた。
「そうですか…手間取らせてすいません。失礼します」
どうやら振られたらしい男子生徒が去って行ったのを見届けてから僕は出て行った。
「梓!大丈夫?変なことはされてない!?」
「げ!?なんでここにいるのよ!」
「そんなことよりもなんで振ったの?やっぱり僕のことが…」
「んなわけないでしょアホ!」
「じゃあなんで?」
振る理由はないはずだ。
まぁ、付き合ったとしても僕が彼氏にプレッシャーをかけて破局させるけど。
「何でって彼氏がいるからに決まってんでしょ」
「そうだよねー梓は彼氏がいるからファ!?」
はい?聞き間違いかな!?今彼氏がいるからっていった??
「は?どゆこと!?ねぇ!」
「はぁ?一カ月前くらいから付き合ってる彼氏がいるのよ!悪い?」
「それ…だれ…?」
「だれって…なんで私があんたにこんな話しなくちゃいけないのよ!!」
「ウグッ!?」
去り際に僕の腹を殴りつつ梓は走って行った。