表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

狩り開始

お菓子は、あらためてガトーに預かってもらった。また帰ったら受けとる予定。

それにしてもイズが俺を見る目がますます厳しい。

「剣を忘れるなよ」とまで言われた。大丈夫です。借りた無影ランタンもあります。水袋も漏れてません。血止めの粉末薬もガトーから借りてるし、さすが犬族。

必要装備はきちんと提供してくれてる。



防護壁を出ると、しばらくは平原が続く。淵までいくと足場が悪いから、夜の、こんな少人数の狩りでは無理だ。

この平原まで、リザードを誘き寄せる。

リザードは、昼と夜とで別の顔を持つ。昼間は動きも多少鈍く、何より形が定まっている。

チマと呼ばれている小動物を主すに餌にしている肉食だが、昼に人を襲うことは、普段なら無い。

夜になると、魔物と呼ばれてしかるべき存在となる。

夜になると形が崩れて、定まらないものになるからだ。そして人を襲う。


ランタン2つを、なるべく戦う空間を保てるように後方かつ、防護壁から離して設置する。

防護壁に近づけすぎると、仕留め損じたら詰め所の仕事を増やすかもしれない。

また、ランタンを離しすぎると無影にならない。

夜のリザードは、一般的なチマみたいな動物とは違い、火を怖がらない。

むしろ、熱のある場所に寄ってくる。熱のある場所に人がいるとわかっているのだと言われている。

このランタンを越えさせず、この場で仕留める。

イズと、ランタンで切り取られた明るい空間で視線をあわせる。

いよいよか。


イズをおいて淵の近くまで、剣を抜いて歩いていく。

ランタンの熱で寄せるには距離がありすぎるからだ。

「油断するなよ!」とイズが叫ぶ。大丈夫だよ。慣れた作業だから。



剣の石を親指でなぞる。

熱のない青い光があたりを浮かび上がらせた。


……揺れる影がそこかしこに見える。単なる炎を使ったランタンては、炎の揺らぎで姿がとらえにくい。

だからこそ、無影ランタンを使う。あるいは、この石を。


この剣はそもそも魔物と呼ばれるものを切るためにある。


チッと、親指を刃に滑らせて血の臭いをさせれば、影が一斉に群がってきた。

さあ、来い!

久しぶりの本気で、俺は笑った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ