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犬族支部のやり方

その通りです。財布を落とし、同じく休みだったイズを誘ってこんなことまでつきあわせてんのは俺です。


温厚なイズにしてはトゲのある言葉も仕方ない。

と、小さくなっていると、「どうぞ」と受付の男が手招きして、受付横の戸から体を半分出している。

え?

イズもいない。

恐る恐る入ってみると、イズは椅子に座ってパンを掴んでいた。

椅子、あったんだなあ。


同じ神官のよしみで、賄いを恵んでくれるらしい。

パンは近所に住む、ウルちゃんという女の子が、パンつくりに目覚めたらしく、試作品を作っては提供してくれるそうだ。

防災施設も兼ねているので、そこの古くなった保存穀物粉を区民に安く提供している。


ウルちゃんは、パンと交換することでタダで穀物粉を得ているらしい。賄い扱いにしているという。

女の子の作ったパンと聞くと更に美味しい。犬族、やっぱり凄い。お店を出しても大丈夫なんじゃないかな、という出来だ。

詰め所の賄いは、保存倉庫のものを使うようになっているそうだ。使った分はまた、新たに倉庫にいれる、とのこと。

中央区の神殿でも多少の備蓄はされているけど、ここまで徹底していない。

犬族地区支部長の徹夜ぶりは、目的を見失わないで進む強さ、犬族らしさを感じる。

お茶まで出してもらって、ありがたく頂きながら、そう思った。



乾燥果物まで、詰め所のものを分けてもらえた。水も、持っていた水袋にいれてもらい、ありがたい。

「いや、水は詰め所の仕事内容ですよ。」と犬族神官のガトーは笑う。

「人を守る施設ですからね、最低限の身を守るものは提供するのが仕事です」


詰め所から直接、辺境淵前の防護壁内にいれてもらう。

防護壁は、小さな砦になっていて、壁のなかの空間のなかに、さらに身を守るものがそなえられてある。

……やっぱり徹底している。

ここを出ると辺境淵だ。

本気でやるぞ。



イズと装備を最終確認していると、詰め所に繋がる戸からガトーがまた来た。

「あれ、どうしたんです?」と聞いたら、

「忘れ物です……」とガトーが差し出してくれたのは。

「あ、お菓子」



ああ、イズから警告音が聞こえるよ……

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