狩り前の決意
俺は決意していた。
本気で絶対狩る、と。
先程、兎族のじいさんに借りた金でドイルとナーサのおすすめ焼菓子詰め合わせ贈答用を購入し、その器の木箱を包装してもらった。
はっきり言って強気のお値段過ぎる。
俺の給料の十分の一がぶっ飛んだ。神殿から金を出してもらうからと深く考えてなかったが、高利貸しに借りた今はちょっと寒気がする。
絶対に、絶対にこの狩りで成果をあげる。早いとこ返さないと、ヤバい。
菓子購入後、公園に戻って武器屋に行ってるイズを待つ間も早く返したくてそわそわしてしまう。
あの熊はやる気満々だったけど、その武器屋の友人とやらに無利子で借りられたんじゃないのかとか思い付いて余計に落ち込む。
預り金を紛失したことで自分が思ってた以上に動揺していたようだ。
兎族のじいさんは、休暇中で、犬族地区に旅行に来ていたらしい。
宿で豪華夕食を冥土の土産に食べるンだよ、と笑いながら来週中ならここにいるからさ、と陽気に宿に帰って行った。
そこ、超高級宿で有名な、犬族しか到達し得ない究極を極めた最高級のもてなしが受けられるとこじゃないデスカ……。
滞在中のメイドを選べて、内装も予約時に好みの様式を伝えておけば対応してくれるらしい。
そのメイドも求道精神に則ったメイド道を極めんとするものが集まっているらしい。
この世の楽園が見たいならあそこに行けと呼ばれるとこじゃないデスカ。
休暇中だから、来週までは利子を待つからな?という優しさが怖い。
どんだけ利子がつくのかな。
来週中に返せばいいんだからさ、な?と教えてくれなかったし、食事をしないなら焼き菓子が買えるのはディナー営業が始まる前までだったからとにかく借りたけど。
ヤバい臭いがしすぎてる。ふはは。
泣きそう。
イズ、早く来てくれ……。
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