第一話 異世界転送
三作目。更新速度は遅めです。
俺の名は羽藤吉人、17歳。物作りの好きなガンオタだ。
老け顔で、白髪をまばらに黒に染めた若めのオールド・スネークにそっくりだ。
銃好きの俺は毎日、山奥で射撃訓練をしていた。
俺はガンオタと言っても、大量のエアーガンを所持しているわけじゃない。
数種類のエアーガンを、法律無視で改造するのが趣味なのだ。
そして、その趣味のせいで俺は『ある人』を助けた。その時に友人となり、その伝で俺は
実物を手にした。現在、長距離行軍の訓練中。今現在の装備品は以下の通りだ。
新型対物狙撃砲×1丁
タコ糸3000M分
治療キット
軍用懐中電灯
軍用双眼鏡
爆薬類一式
多機能ゴーグル(ナイトビジョン、サーマル)
レーション5日分
小道具(袋や蝋燭、燐寸など)
対物狙撃砲なんかは手に入らないので一から作り上げた。モデルは外国の人が投稿した動画などだ。
金属製で、実弾発射なんかも耐えられる代物だ。
なんで撃てるかどうか分かる?それは、まあ、色々あって伝があるんだ。
実弾や弾の設計図、もらってるんだよ。
俺が一丁作り上げると、それを元に本職の設計技師が作り直すところを決める。
その注文通りに作り直す。それの繰り返しで俺は一丁の対物狙撃砲を造り出した。
すでに500丁が生産され、紛争地域にて使用されているそうだ。それに関して、俺は何とも思わない。
俺は生み出しただけで、使い方は使う人それぞれなのだ。まあ、それなりに人気があるらしい。
この狙撃砲用に特殊な弾丸を作ったのだが、それの威力はエイブラムス戦車をたった3発で破壊した。
米軍はこの新型の狙撃砲の対応に大慌てしているそうだ。
この銃はM82バレット・ライフルをモデルに作られた砲だ。
当然、設計図が秘匿されているのに、いったいどこから漏れたのか?
そして今までの武器史を塗り替える新型の『空気槍弾』。
この弾丸は弾丸本体に特殊な溝を掘り込み、ライフリング通過時に弾丸が回転することによって
空気が渦を巻き、円錐状、即ち『槍』を生み出すのだ。その空気槍は今まで対物狙撃砲で破れなかった
合金板をいとも簡単にブチ抜いたのだ。秘密は漏れることがなく、発射時の空気摩擦で螺旋は
なくなってしまう。
一発の威力がRPG-7並み。こんな砲と弾を造り出したのはどこのドイツなのか?
米軍の必死の捜索にも、俺はいっさい引っかからなかった。
当たり前だ。平和にボケたこの国に、17歳のガキが新型銃を造り出すと思う奴がいるだろうか。
そんなこんなで、行軍中に崖の側を歩いていると運悪く踏み外してしまった。
そのまま俺の身体は落下した。その時、衝突地点に光の輪が生まれ、俺はそれに吸い込まれた。
目が覚めると、俺は森の中に倒れていた。
(俺は、死んだはずじゃ・・・まさかこれはあれなのか?テンプレか?)
さまざまなことが俺の頭をかけ巡る。並列思考だ。俺がいる場所は木々が深く生い
茂っている。
地面を見ると、一通のメモが落ちていた。
「なになに・・・ハァァァァァ!!!!!!」
『こんにちは。あなたが落ちたので気紛れで死ぬ直前に異世界に転送しました。あなたの持っている
銃に興味が沸いたので、マガジンの弾丸が減らないように細工をしました。ついでに指輪に変換でき、
使用者しか外せないようにしました。翻訳魔法も掛けといたので現地の人々と意志疎通が可能です。
では、アデュー』
とりあえず対物狙撃銃を空に向けて連射してみる。反動がエグい。全部撃ち終わって、マガジンを確認すると、空っぽの筈のマガジンが元通りになっていた。
「・・・・・・とにかくここから脱出だな。情報も収集しなくては」
木の棒を拾うと地面に突き立てた。そのまま倒れていく棒の方向へと俺は歩き始めた。
30分ぐらい歩いていると、ガサガサと草が擦れる音がした。
「なんだ・・・生き物か?」
飛び出てきたのは茶毛の狼みたいな生き物2匹。うーうー言ってこちらを警戒している。
「食料はレーションだけじゃあ、足りないよな」
突然飛びかかってきた狼の頭を蹴り飛ばし、意識を刈り取る。
もう一匹の奴は狙撃砲を撃って首を吹き飛ばした。スプラッターなことになったが気にしない。
意識を刈り取った奴も首を掻き切り、血抜きをした。
4時間がたった。夕方になってきたので、焚火にちょうど良さそうな場所を見つけていたので
そこに戻る。どうやら俺が召喚されたのは体内時間で正午頃だったようだ。
火を焚きながら俺は今日収穫した獣達の処理をする。
初めてだったが、うまく狩りは出来たと思う。
狼×4
牙付きウサギ×6
モコモコ鳥×3
狼は毛皮を丁寧に剥ぐ。肉は食べれそうだったので半分を焼いて保存が効く肉に加工する。
爪が意外にも大きく鋭かったのできれいにとっておく。
牙付きウサギも同じく処理する。
モコモコ鳥は文字通りふわふわの羽毛を持っていたので丁寧に解して集め、袋にいれておく。
ウサギ肉をバッグの中に入っていた鉄串に突き刺し、よく焼く。
俺は軽く仮眠を取って夜の森を過ごした。