異世界恋愛によく出てくる簡単に討伐される魔王に負けた勇者の話
「リタ、帰って来たよ」
「えっケビン」
私は村娘のリタ、元婚約者のケビンが帰って来た・・・
「俺さ。やっぱり気がついたのだ。君がいないとダメなんだ。リタもそうだろう?」
「だって、貴方、婚約破棄をしたじゃない?」
「それさ。それは、ほら、乗り越えるべき二人のイベント?」
おかしい。ケビンは勇者のジョブを持っている。魔王が復活したと同時に村の12歳の少年だったケビンに勇者のジョブを授かった。
王都に招集され5年の訓練の後に魔王討伐に出立したが。
その前に婚約破棄をされた。
私が今まで贈っていたセーターや靴下なども返って来た。
何でも王都ではもっと上等な物が手に入るからいらない。女もねリタもいらないということらしい。
「ねえ。ケビン、魔王討伐失敗したのね」
「二人でどっか旅に出ない?」
その時、騎士様達の声が聞こえた。
「勇者殿!王都に帰り訓練をして下さい」
「全く、負け癖、逃げ癖がついて」
「貴方しか出来ないのですよ」
「や、やだよー」
ケビンは連れて行かれた。
「リタ殿も来られい」
「え、私が・・・いいです。ケビンとは切れています」
「良いから王命だ」
両親との挨拶もそこそこに王都に連れて行かれた。
ケビンは言う。
「や、奴らおかしいのだ。もう、嫌だ!」
「そう・・」
ケビンは孤児だった。私の家で引き取り養育した。
あれは10歳のころ。お花畑でケビンに花の冠を贈られたのだっけ?
意味が分からずに王都についた・・・ら、魔族がいた。
王国の騎士と魔族が仲良く並んでいる。
「時間がない。さっさと訓練をしないか?100人連続試合だ」
と羽の冠をつけている騎士団長っぽいおじ様が言ったわ。
「それが終わったら対魔王の訓練をするネ!」
骸骨のお爺ちゃん?魔王軍っぽい人が対魔王の訓練をすると言う。
「「「魔王を倒さなくてどうする!」」」
魔族と騎士様達の声がハモったわ。
「ヒィ、もう、嫌だ!」
ケビンは昔から苦手な事から逃げる性格だったわ。
「あの、私はここで何をすればいいのですか?」
「おう、平民リタだったな。魔王殿と面会だ」
「はい?」
思わず面食らった。
「さあ、これに乗って」
ドラゴンに乗せられて山を行く。
大きな山の上に湖が出来ていた。
そこに魔王がいるらしい。
あら、湖は黒、いえ、漆黒だわ。
「リタ殿、さあ、これを」
「はい、有難うございます」
防寒着をもらって湖に行くと頭の中に声が響いて来た。
‘‘やあ、僕、魔王なんだな‘‘
「ヒィ、どこにいらっしゃるのですか?」
‘‘湖の中全体さ‘‘
話を聞くと・・・
生物と植物の中間の存在らしい。
‘‘粘菌と言う人もいるだな‘‘
「はあ、そうですか?何故、私を?」
そう、それそれ、君は勇者の元婚約者なんだな。勇者が僕を殺すほどの力がないのは婚約破棄したから何だな。
ほら、勇者は希望と愛を原動力にしているから・・・
また、婚約を結んで愛の力でパワーアップして欲しいんだな
「嫌です・・わ」
頼むよ・・・でないと世界が滅びるよ。
魔王の話はこうだ。
定期的に死なないと増殖を繰り返しこの世界の生命体を全て飲み干してしまう。
勇者の聖魔法が引き金になり。魔王の体は仮死状態になり。それから胞子になって、空を飛び。どこかで復活する?
「じゃあ、魔王が復活するのは・・・」
‘‘そうゆうことなんだな。定期的に死なないと魔族も困るんだな‘‘
「そうですか・・・それでもケビンは私のこと愛していないと思いますよ・・・でも、もっと良い方法がありますよ」
私はケビンの性格を知っている。
「もっと、厳しくすればいいのです。すると逃げ出したいケビンは稽古に励むでしょう・・」
それからケビンは毎日訓練が終わるとぐったり倒れ会話も出来ないくらい疲労がたまっていった。
「時間制限は後5年だ。魔王は10年周期で死なないと無限増殖を繰り返す!」
「ヒィ、後5年も!」
私は御用が済んだから村に帰ってきた。
今の婚約者のジミーに報告する。
「復縁断って来たわ」
「う、嬉しいよ。リタ」
私達は17歳、そろそろ結婚する年だ。
ケビンのことは忘れよう。
「フフフフ、ジミー、早く結婚しよう。後5年で世界が滅びるわ」
「えっ」
世界が滅びるまで精一杯生きよう。
もし、世界が滅びなかったら後悔するわ。
私はすぐにジミーと結婚式を挙げた。
月日は流れ。赤ちゃんを授かり。
ちょうど後1年で世界滅亡の年。
針仕事をしていると。
天の声が聞こえた。
‘‘村娘リタ!勇者のジョブを授けます‘‘
「はっ?」
「お母さん?」
ケビンは魔王討伐を失敗したのかしら。
力がみなぎる。
そうだ。坊やがいる世界を滅ぼしてはならない。
「ジミー!行くわ!私勇者のジョブをもらったの?」
「えっ、うん。村の司祭様も言っていた・・・」
「坊やを頼むわ。母が子育て知っているから聞いてね」
こうして母勇者が誕生した。
息子のために一肌脱ごうと思う。
慣れない翼のついた兜をかぶり丸い盾を持ち。母の愛で戦うわ!
最後までお読み頂き有難うございました。




