「実態のない役員」で「社会保険料を下げる」スキームを開発した日本維新の会さん
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
「国民の社会保険料を減らす」とうたってきた維新は「自分たちの国民健康保険料だけを下げるスキームを開発したのか」と批判を浴び、調査に追われている件について見ていこうと思います。
ちなみにこの件は2週間ぐらい前の12月10日の大阪府議会で発覚しましたが、推進していた市議や元区議などが「同姓同名の別人」などと言い逃れをしようとしていたので触れないでいました。
その後の調査で維新の会の地方議員4人が理事として「脱法スキーム」に加担していたことが話題に挙がっています。
更に東京都や札幌市でも同じような維新の会の議員がスキームとして関与している疑惑があり「組織的にやっていた」疑惑があるのです。
年内の公表は難しいそうですが、年明けに維新の会全体でどの程度関与していたのか公表がされるそうです。
そもそも、どうしてそんなことになるんですか?
国民健康保険って加入しないことって出来るんですか?
まず前提知識として、今回問題になっているのは「フリーランス」についてです。
複数会社(雇用)なら「二つ以上事業所勤務」で合算計算され、保険料が増えることになりますが、
フリーランスの副業で事業所得・雑所得を得る分と会社からの役員として報酬を受け取りつつ保険に加入していれば社会保険料は増えません。
今回のケースは最低限の役員報酬を「維新の会の議員が設立した会社」から受け取ることによって保険料を最低限にして、他の所得を事業所得や雑所得にしているのだと思います。
フリーランスの方は「維新の会の議員が設立した会社」に3か月分浮いた保険料の金額と報酬予定額を「協力金」や「会費」の名目で支払うことをリターンとしてその後の保険料を節約するという「ビジネス」に近いことをしているようです。
なんとその会社には600人以上が役員として存在しているそうですからね……。
これによって年収1000万円であっても月数万の保険料+協力金だけで済むので年間数十万円の「節約」が成功するのです。
年金であれば支払っている金額に応じてもらえる金額も増えるので必ずしも得か損かを断言はできませんが、国民健康保険であれば支払う金額によるサービス内容が変わるわけではないので「完全にお得」であると断言できます。
うわぁ……それを維新の会が率先してやっているだなんて……。
ただ、こういった役員報酬を貰うことによる保険料負担減の方法は検索すれば誰でも探すことは出来ますからね。
やっている方はやっている方法であり「脱法」と言うほどのレベルかは分かりません。
ただ、「グレーゾーン」であることは間違いなく、役員の勤務・雇用実態が無いと認められれば、健康保険法上の虚偽届出や詐欺罪に該当する可能性も否定できませんし、保険資格の取り消しもあるでしょう。
仮に保険資格が遡って取り消されますと、その期間に使われた保険証は「無資格受診」扱いになるそうです。
その場合は、医療機関が保険者に残る7割~9割の請求されるようです。
なんというか「違法ではないが不適切」という事案な気がしますね。
以前も維新の会の共同代表の藤田さんの秘書の会社にビラを発注したことが25年11月に問題になっていましたよね……。
議員が高いモラルを要求されるのは、「国民の規範」として存在しているためです。
国民も「違法じゃないならOK」ということでマナー違反を繰り返せば、些細なことでも法律に規定され、様々なことが制約されるようになるでしょう。
ただ、藤田氏の時と違って「実態のない役員の雇用」という違法性が関わっていることから「無資格受診」の可能性もあります。
その上で全国の支部にも関係している可能性もあるために、問題は遥かに根深いと思います。
維新の会に頼まず、ご自身で会社設立をして役員になれば現状の制度では問題にならなかったので、このスキームを頼んだ方々は今密かに震えていると思います。
◇個人事業主は「完全自己責任」
……ちなみに筆者さんも個人事業主の上に節税についてお詳しいみたいですけど、このようなスキームを活用されていたりするんですか?
僕はスキームを活用するほどの収入が無いですよ(笑)。
個人事業主の良いところは生活費などを経費に計上しやすいところです。
会社員であればどうしても給料から生活費を支払うために税金を余計に支払わなくてはいけないです。
お金が残りやすい一方で国民年金だけの上に退職金も無いのでその分積み立てをしなくてはいけないので「完全自己責任」になります。
ですので、「個人事業主はズルい!」ということで余計な課税をすると個人事業主は年金を受け取る額が少ないために高齢者になった際に生活がままならないことになります。
自分で積み立てるしか無いのは過酷そうですね……。
ただ、自分でお金が管理できるのであれば同じ収入の会社員よりは確実に手元に残ると思います。
年金制度よりもNISAなどで自分で運用した方が頼りになると思いますしね。
リスクを背負える覚悟と責任があるからこそリターンが出る可能性もあるという感じですかね。
なるほど……。仮に独立するとするならそれだけの責任を持って運用する覚悟があるかという事ですか……。
◇社会保険料が累進率でないことが最大の問題
維新の会が批判されているもう一つの要因としては「国民の社会保障負担を軽減する」という公約をしていながら、所属している地方議員はその根本を大幅に逃れるスキームを提案しているという事です。
このスキームを現状のまま規制すると僕は困りませんが多くのフリーランスの方が困ることになりますしね。規制するのであればもっと抜本的な解決をしなくてはいけません。
そもそもの話として維新の会の「社会保険料を軽減する」の内容がしょぼすぎるんですよ。維新のプランを全部叶えても月6000円しか保険料は安くならないそうですからね。
年収600万円世帯では月50万のうち月12万弱が保険料で飛びますからね。家賃も含めたら全然貯金できないです。
これが月6千円安くなったところで? と言う感じがしてしまいます。
つまり、フリーランスだけでなく全員が保険料に苦しんでいると言えるのです。
特に累進的な制度にすることで低所得者への支援になることから少子化も改善する見込みがあり、「年収106万の壁」「年収130万の壁」といった問題も同時に解決するのです。
この辺りに「賃上げ税制」や「壁を取り払う税制」など無意味に資金を投入している分や少子化対策の資金をこちらの財源にすれば問題ない気もしますけどね。
それだけ効果があることだと思います。
年収600万だと半数以上が該当しそうなのに、ほとんどが苦しかったらやっていけないですよね……。
維新の会の議員自身が社会保険料が高いと思ってるのであれば、上記のようなやり方で根本的に政治的解決をする必要があると思います。
年金も自己積立制度にするなど抜本的な制度の見直しをしなければいけないです。
今のままでは年金と保険料によって日本人は殺され、未来は閉ざされるでしょう。
悪意のある見方をすれば、「政治家は全員国民の敵」で「狙ってやっている」のだとすれば、ある意味納得できますけどね。
そうではないと信じたいので、これらの改善をする政治家を心の底より望みたいですし、提案を続けたいですね。
ということで、こうした政治や年金問題について個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。




