7.不変たる昔日
ちょっと血のことが書かれてますからお気をつけてくださいねえ。
ぴたりと車輪の回る音が止んだ。カーテンを開けると。目にはあの頃のままの別荘と、周りに木々が生い茂っているのが見えた。耳には鳥のさえずりや葉々が風に揺れる音が聞こえてくる。
「…!」
やっと着いた。
…昔に戻ったかと見紛うほどに変わっていない。
「到着いたしました。」
「ありがとうございます。」
本当にありがとう。
馬車から降りてちゃんと別荘を前にすると、涙が出そうになった。
けれど御者もいるし、この涙は後にとっておこう。
涙はぐっとこらえた。けれど、どうしても涙目になってしまうのは許してほしい。
涙目ながら別荘の玄関へと歩み始める。
今は下を見て小花が小花が、なんていつものように嘆いている暇はない。…意識が全て別荘に向けられているからだ。
サクサクと音を立てて芝と小花を踏みながら足早に、それでいて礼儀正しく別荘の玄関へと近づく。
近づくたび、またひとつ思い出がふと蘇ったような気がした。
玄関に着くと、急に鳥のさえずりが止まったような感覚に襲われた。…葉々の揺れる音はそのままなのに。
気にせず中へ入ると、物の配置も変わらずに、お世辞にも綺麗とは言えない惨場だった。
ある場所には血がこびりついており、ある場所には床に刃物が刺さったままであった。
…良くも悪くも、よく昔を思い出させる惨場である。
「……ここは、お母様が殺されたリビングです、ね…」
あの時の記憶が脳裏にありありと蘇ってくる。
見たいような、見たくないような、複雑な感情だ。
長くここにはいたくなくて、血のこびりついた場所と刃物を避けながら母の部屋へと向かう。
ブクマとか評価とか嬉しいですねえ




