6.あの過去の別荘へ⑤
ガラガラ、と重い車輪の回る音が嫌でも耳に聞こえる。
カーテンを開けて窓の外を見ると鉛色の空だ。…回りくどい表現はやめよう。光が少々差している曇り空だ。特に特筆すべき発見はない。
――ここまで周りの状況を説明したら分かるだろう。
…そう、現在私は馬車の中にいる。元々持ち物は準備していたため、すぐさま荷物をもって馬車に駆け込むことが出来た。
…何故両親に止められなかったのかって?
(賄賂しか勝たんです。)
もちろん賄賂だ。お金以上に素晴らしいものはない。復唱、賄賂しか勝たん。…確証はない。
「…はぁ。」
なんだか安心してため息が漏れた。
ある異国の地では、ため息をすると幸せが逃げる。なんて言うらしいが、所詮はことわざ。でたらめだろう。信じたら信じたでどうせ馬鹿にされるんだ。…個人の見解だけど。
(個人の見解、ここ重要ですね。)
「…いいえ、こんな暗い思考はやめましょう。」
無意識に暗い思考になっていたのを首をふるふると振って消す。自分のこういうところが嫌いなのだ。もう子供ではない。いい加減に直したいところだ。
「だって、やっと行くことが叶ったのだから…。」
逃すわけにはいかない。この幸が薄い運命の中の、幸運を。
評価とかブクマとか嬉しいですねえ(#^.^#)




