12.人形令息の仔細
シェーゼの回想ですねえ
『あら?このお人形さんは…?お母さまに聞いてみましょ!』
そう言って俺を抱きかかえた(地味に引きずられているが)少女の名を、セレスティというらしい。
名前を知るのは簡単だった。少女の母親らしき者がそう呼んでいたからだ。
あのセレスティという少女ははっきり言って変だった。
人形の俺を人間かのように扱い、人間かのように愛情を伝えてきた。
変な少女だろう?人形にそこまで尽くすなんて。
人形に尽くすセレスティを不安そうな目で見つめているのはいつもセレスティの母親だった。
彼女には少なくとも俺が誰かは気付かれているだろう。…はぁ、これは俺の至らぬ点だった。失敗したな。取り敢えずあまり接近しないよう十分心がけよう。
…そんなことを考えても上手くはいかないものだ。
あいにくセレスティが母親との茶会で席を外したタイミングで話しかけられてしまった。
『…不躾ながら、お名前はシェーゼ・ルブラン様でしょうか?』
やはり知っていたか。面倒事が増えたな。…そんな確信を持っているような顔をされたら返事をするしかなくなってしまうだろう。
『…ああ。』
『何故ここに?』
そう来ることは知っていた。答えはもちろん考えておいた。
それは―――
『…媚びを売る者たちに呆れたからだ。』
ただそれだけだ。
―――本当に、それだけだ。
評価、ブクマしてくれたら嬉しいですね、シェーゼ?「…。」




