海!水着!肉!1
ジンはいち早くエントランスでみんなを待っている。
結局眠りについたもののあまり寝れなかったせいだ。
「この体はこういう時に疲労がたまらないから楽だよな」
「何がですか?」
びっくりして横を見るとサナリアが立っていた。横にはポーが立っている。
「あっいや、あんまり寝れなくてもちゃんと疲れ取れてるなあって、ベッドがいいのかなって話だ」
「ふふっジンって面白いですね」
「そうか?ところで他の二人はどうしたんだ、ってこっちは俺しかきてないから言えないよな」
「いえ、問題ありませんよ。ネルはもう少し時間がかからとのことで、カスミは、その」
言葉を濁すサナリアにジンは思い切って問い掛ける。
「いないのか?」
「、、、はい、昨日の夜散歩に行ったきり戻ってこなくて」
「ネルが悪い」
「ポー!そんなことを言ってはダメ」
ポーは少しほっぺを膨らまして怒っている。
ジンはしゃがんでポーに話しかける。
「ポー、家族は好きか?」
「、、、うん」
「だったら大事にしないといけないぞ。近いからこそ簡単に傷つけすぎてしまうことはあるんだから」
(絶賛マーガレットを傷つけ中の俺が言うのもなんだが、、、)
「お待たせっス!」
声のする方を見るとカスミとマーガレットを除いた他のメンバーが向かってきている。
「ジン、マーガレットは、どこ?」
「いや、昨日の夜外に出たっきりなんだよな」
「また喧嘩しましたの?」
そんな話をしていると入り口からマーガレットとカスミの二人が入ってくる。
「すみません、昨日の夜にカスミさんと会いまして」
「うちと色々話してたねん」
そう話す二人はすでに準備万端なようだ。
「いつの間に」
「良い水着を見つけたのでそちらを購入しました」
「そやねん!ええやろ」
自慢げに見せるカスミはすでにテンションが上がっている。
「では向かいますか」
「いいけどよ、あんたらは顔隠さなくていいのか?」
「海では周りの人間の顔なんてあまり見ないから大丈夫なの」
サナリアはそういって笑いながら外に向かっていく。
そういうものかと納得して歩き始めて早々、ジンはマーガレットに話しかける。
「昨日はすまなかった。あれは本心じゃないんだ」
「分かってますよ、安心して下さい」
拍子抜けな返答にジンはびっくりする。
「怒ってないのか?」
「怒ってて欲しいんですか?いつまでも起こるほど子供じゃありません」
そういって歩き出す。
「、、、どうなってんだ?」
一方でネルもカスミに近づく、
「ねえ、カスミ」
「なんや?」
昨日のことが嘘のようにカスミは自然な様子で不思議そうに返答する。
「昨日の夜はマジごめん、あーし酷いこと言ったし」
「そんなことかいな、気にせんでええで。うちも昨日は気い張りすぎたから」
そういってカスミも歩きはじめる。
ジンは横に残ったネルと目が合う。
「なんでずっと帽子被ってんだ?」
「関係ないし、マジうざ」
「ひどい言いようだな」
「ねえ、テュールの好きなものって何」
いきなりの質問に驚くがすぐに答える。
「マンドラゴラの丸焼きだ。あいつが初めて食べた料理だ」
「へえ、、、」
「好きなのか?」
「は?そんなんじゃないし、おっさんには関係ないし」
「言っとくが、テュールの保護者は俺だ。いわば父親代わりだからな。その意味は分かるよな」
「、、、ジンさん」
「素直かよ」
「あーしの事を理解してくれてるから」
ネルが昨日のことをジンに話しながらテュールの良いところを挙げていく。
二人も歩きはじめ全員の後を追う。
照らす太陽、広がる海、この惑星の天候は完全に管理されているため快晴が続く最高のリゾート地となっている。
「海ですわーーーー!」
オリヴィアは大はしゃぎで海に走っていく。
「怪我すんなよ!」
ジンが声かける横をポーも走り抜けていく。
「うみ!」
ジンの顔はいつになく険しい、いやジンだけではないマッド、ピース、ナタリアの顔をも少し険しい。
「サナリア、ネル、カスミ、ちょっといいか」
「どないしたんや兄さん?」
「ジン、、、さん、あーしテュールと遊ぶんだけど」
「話があるといってるのだから、行くわよ」
ジンが人気のない場所に全員を連れていく。
「一つ話しておきたいことがある」
「改まってなんや、時間が惜しいねんけど」
ジンは石段に腰を当ててテュールに命令する。
「テュール、オリヴィアのグローブを召喚bしてくれ」
「えっ、、、えっと」
「どうした出せないのか?」
テュールは答えない。ジンは少しの間を置いてテュールの首を掴み体を持ち上げる。
「出せ、出さないと首をへし折るぞ」
「何をしてるんですかジン!」
マーガレットは慌ててジンに近づこうとするが、それをピースとマッドが押さえつける。
「ちょっ、仲間じゃなかったの?」
ネルは焦るが何もできない。
気づけばナタリアはスーツを腕だけ展開しブラスターをカスミのこめかみに押し付けている。
サナリアは少し殺気を放ちながら話す。
「説明して、いきなりこんな態度は理解できないわ」
「黙って見ててくれ」
「マジヤバイ状況で黙ってろってやばいっしょ」
テュールの腕が動いた瞬間、ジンはレッドアームの力を解放する。
テュールの首の骨を行動する前にへし折る。
ナタリアはジンに小型のナイフを投げ、ジンはそれで心臓を貫く。
「今のは神骸の活動を停止させるものだ」
「誰に話してるねん、自分頭おかしなったんか?」
「お前らの上司だよ。アポ取ったほうが良かったか?」
次の瞬間首を掴まれていたテュールの身体がモザイクのように崩れ落ちていく。
全員が目を見開く、とどめを刺したジンすらも、
「マジかよ」
「どうなってるんスか」
全員がそちらに意識がいきかけるがすぐにサナリアが声を出す。
「お前らの上司ということは、、、まさかカスミも⁈」
「姉さん!なに迷っとるねん、テュールくんはそうかもしれんけどウチは本物やで」
「だったら先にマーガレットの頭から吹き飛ばす」
「は?兄さんやっぱ頭おかしなったんちゃうか?」
ジンがマーガレットをジロッと睨む、
「マーガレットはあそこまで素直じゃないしもっと頑固だ」
「ジン、私ですよ?マーガレットです。あなたの恋人の」
「確かにお前はマーガレットよりも俺に話を合わせるし、俺の望んだ回答もくれる」
「だったら、私が、、、」
「そうじゃないのがマーガレットの魅力なんだよ」
ジンの拳は加速してマーガレットの顔を殴り飛ばす。
吹き飛ばされたマーガレットはまだ動く、
「痛いですよ。ジン、やめてください!」
一瞬その場にいた全員がジンの顔を見るがマッド以外即座に顔を逸らす。あのピースですら顔を逸らした。
ジンの顔はドス黒い憎悪に侵されていた。
全員が瞬きをするより早くマーガレットの首は百八十度回転する。
次の瞬間マーガレットの体も偽物のテュールと同じように崩れ落ちる。
「カスミ、、、じゃなかったな。お前が何者か知らないけどな。早く仲間の居場所を言わないなら即刻ここで殺すぞ」
「無茶苦茶や姉さん、助け、、、それはあかんわ」
カスミ、いや確定しただろう。偽物のカスミは諦めたような声をだす。
ジン達一行がサナリアに目を向けるとサナリアの目は赤く光っている。
「私の妹を騙る獣よ、この力を偽りであろうと妹に使わせた罪、貴様の力を示して償え」
「キャラぶれすごいっスね」
「だからあーしたちは誰もサナ姉を怒らせないの、、、」
返答はするもののその声は震えている。いまだに目の前のカスミが偽物か確証が持てないのだろう。
「ネル安心して、事象看破でこの子は偽物であることが確定したわ」




