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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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脱獄3

9です

起きろと誰かの声が響く、起きたところで何もできないのに。

起きろと再び頭に響く、理解できない知識がただただ流れ込まれて答えも沈んでいく。

声の主はしばらく沈黙し、問い始める。

「君は何を望むのだ」

少年はその問いに答える。

「自由だ。僕は自由が欲しい」

声は続けて問う、

「自由だけ手に入れてどうするのだ」

少年は心の中で食いしばりながら思いを吐露する。

「後は全部自分で掴んでやる」

それを聞き、声は最後に言葉を残す。

「選択を誤るな。運命に従うな。君は選ばれたのではない」


作戦決行日

作戦決行の10分前、マーガレットとジンはあまり言葉を交わさない。昨日の喧嘩が尾を引いているのだろうが、ジンはいつも通り無駄口をたたくし、マーガレットはいつも通り真面目ではある。

オリヴィアはというと地図を見ながら目標地点に向かって戦闘を歩いている。

「最後に確認ですわ。まず穴を開け、次にロープを垂らして目的の人物を確保、その後、東に二キロほどの地点に宇宙船を手配するようにピースに命令をしましたわ」

ジンが口を開く、

「具体的な時間の詳細を頼むぜ。俺様はきっちりやりたい派なんだ」

「破壊するのは12時ちょうどですわ。回収ポイントにつくのは12時20分くらいを考えています」

そんな話をしているうちにポイント地点につく、

「あと三分で作戦の時間だが、爆弾はどこだ?」

オリヴィアがやれやれという顔をする。

「あんなの嘘に決まっていますわ。私の拳で五メートルの壁も地面も壊しますわよ。2分もかかりませんわ」

マーガレットとジンは半信半疑の顔をしながら壁の前で構えるオリヴィアを見つめる。

「ま、まあ壊せるなら何だっていいか。一分前になったからカウントダウン始めるぞ」

ジンは周囲を警戒しながらカウントダウンを始め、マーガレットは盾を召喚し、万が一の場合に備えて構える。

一方、壁の裏側ではあの二人がはしゃいでいた。

「あと一分で作戦の時間っス!マッドは起爆した時にアタシの事しっかり守ってくださいよ」

「分かった!あと少しで自由!」

ナタリアは作った爆弾を壁にくっつける。壁の厚さ五メートルを吹き飛ばす爆弾である。

「装備を置いてくのは悲しいっスけど、また作ればいいんすよ。それより今は外に出ること!!さらばクソ刑務所っス!!!」

ナタリアの言葉の後に爆弾が爆発する。ナタリアを衝撃から守ったマッドは体がえぐられる。爆弾は壁を丸ごと吹き飛ばしはしなかったが、外側の表面にヒビが入るほどの威力であった。()()()()()()()()()()()である。当然、B区画の182番という床が例外的に薄い部屋でそんなことをすれば、床が先に吹き飛ぶのは明らかである。ナタリアはマッドにしがみつき、地下の研究所に落下していく。

外にいたジン達はというと、いきなり壁にひびが入ったので驚きを隠せない。

「オリヴィア⁈あなたの超能力は殴る前からここまでの威力を出せるのですか?」

オリヴィアは慌てて否定する。

「いえ、私の超能力の仕業ではありませんわ」

そう話しながらオリヴィアはジャブを放ち壁の状態を確認する。壁は簡単に崩れ、床が無くなった房が見える。ジンは覗き込み、ロープを垂らす。

「安全なんですかジン」

マーガレットの質問にジンが答える。

「この匂いはタキオンバッテリーで作った爆弾だろう。脱獄しようとして床が抜けたってところだな。本当に地下に空間が広がってるよ。俺様の勘が言ってるねえ。早く降りろって」

ジンが飛び降り、オリヴィアとマーガレットが顔を見合わせた後、続いて飛び降りる。

下に着地するとジンが軽口をたたく。

「先客がいるねえ。予約番号は二番になります!」

「ジン、ふざけている場合ではありませんわ」

「アンタら誰なんスカ?職員にしては早すぎるっス」

起き上がってすぐのナタリアが少しふらつきながら三人と距離を取りながら問いかける。

彼女自身も落下するなど思ってもいなかったのだろう。焦りが額から汗となってにじみ出ている。

「私はマーガレット・ナカムラです。こちらは、、、」

ジンが頭を抱えながら割り込む、

「簡単にこっちの情報教えてんじゃないよ。まずはそっちからだお嬢ちゃん、、、と死体か?それ、死んでんのか?」

ジンは話している最中に、腹に鉄筋が刺さり体がえぐれているマッドに気づく。

オリヴィアは口を押える。

「グロテスクですわ」

ナタリアは横のマッドを見てはっとした顔をして近づく。

「マッド!ふんんんんんんんん!抜けないっス!お兄さん手伝ってほしいっス」

ナタリアはジンに助けを求める。先ほどまで警戒していたとは思えない頼みことである。

ジンはマーガレットとオリヴィアに目配せをする。二人は頷き手伝っても構わないことを態度で示す。

「分かったよ。よっと、それでお前の名前は?そっち掴んでくれ。さん、に、いちで抜くぞ」

合図の後、マッドの身体は鉄筋から引き抜かれる。傷が回復し始める。その間ナタリアがジンの質問に答える。

「アタシはナタリア・シュミットっス。この頼れる大男がマッド・ジェイクになります。マーガレットさんと、、、残り二人はなんて名前っスか?」

「誰が教えるか!お前らのことはまだ信用したってわけじゃ、、、」

「オリヴィアですわ。ただのオリヴィア」

「教えるのねオーケーオーケー」

ジンは少し不満そうな顔をしている。

「この仏頂面の男がジン・ヴォルフです。私のことはマーガレットと、呼び捨てで構いませんよ」

ナタリアは笑顔になって返事する。

「了解っすマーガレット、オリヴィア、ジン」

「ジンさんと呼べ。俺様だけはそう呼べ」

オリヴィアとマーガレットがジトっとした目でジンを見つめる。

読んでくださりありがとうございます

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