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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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レッドアーム2

その言葉が理解できず俺はしばらく口を開けたままだった。

「俺はジン・ヴォルフだ」

笑いながらレッドアームが答える。

「元はお前がレッドアームなんだよ。義賊の方はそれを見て名乗ったに過ぎない。お前はレッドアーム計画の実験体だったんだよ。それなのに肝心の俺様自体が盗み出されちまったもんだから急遽その体を別のものに使ったそれが兵器としての運用だ」

自身の真実を話されて困惑する。

ここ最近で一番の衝撃だった。

「テュールの腕を握って覚醒させたろ?あの起動能力は本来なら俺様と接続した際に使うはずだったんだよ。たまたまお前が一番にやって起動させたから誰も不思議に思わなかったがな」

だったらなんだ?俺はレッドアームの器として作られてただけなのか?

「受け入れるか真実を、お前の消したい過去をこれからも受け入れれるか?」

俺はベンチから立ち上がる。

「今の俺に資格はない、だろ?人を殺してない頃ならまだ可能性はあったかもしれないが」

レッドアームはため息をつく。

「逆だバカ、過去のお前となら死んでも接続したくなかったぜ。感情もない、自由もない、アルガスに利用されるだけ、、、だけどな今のお前なら選んでやる。今までの過去があって経験があるからこそお前は選ばれる。お前は何よりも正しく生きたいと思っただろ。それはお前の尺度でいい、お前の好き嫌いでいい、それに俺様たちは賛同するからよ。思う存分に暴れてこい」

何を言ってるんだ?

「俺はもう死んだろ、どこで暴れるんだよ」

「まだ分かんねえのか?たくよおとりあえず手を掴め、死んだかも知れないが俺様たちと話ができてるそれが意味することは分かるだろ」

手を掴むと眩い光が溢れ出す。

「また会おうぜ、来世でよ」

光が俺の視界を包み込む。

次の瞬間俺は最上階で壁に座り込んでいた。

天井は剥がれて血の跡が飛び散っている。

剥がれた天井の先にはバカでかい化け物が飛んでいる。

急いで自分の失った腕を見る。

そこには衣服ごと切られた跡があるが腕は綺麗についたままだ。

そういうことか、、、だったらまだくたばるわけにはいかない。

立ち上がり呟く、

「これが完全適合、選司か」

カタナを握り直しレッドアームの力を解放する。

全身に赤い模様が浮かび上がり、体から蒸気が立ち昇る。

空を舞うのであれば落とすまでだ。

異形と化したアルガスを飛び越えるように俺は跳躍し上から拳を叩き込む。その一撃の火花は稲妻のように辺りを照らす。そのまま最上階の高さからアルガスは下に叩きつけられる。

「があああああ!旧友!なにがしたいいいいい!」

その巨体は街を覆うほどの大きさであった。

不思議なことに俺は何一つ恐れていなかった。

「なぜだ!なぜ恐れない!なぜ死んでいない!」

「選ばれたみたいだ」

その一言でアルガスは察する。

それがひどく悔しいのか口から涎を垂らしながら咆哮する。

「おいおい、叫ぶなよ、、、旧世界の神々が総じてお前だけには神になって欲しくないって思っただけだろ?」

「黙れ黙れ!貴様ごときが!この私に」

「喋ってないでこいよ。先に打たせてやる」

アルガスは残り少ない活動リソースを俺を殺すためだけに使ってくるはずだ。なんせ、数多の神骸に選ばれなかった自分と違い選司になった俺を、やつのプライドが絶対に許すはずがない。

そんなことを考えていた次の瞬間アルガスの巨体から鋭い鞭のような触手とビームが飛んでくる。

今の体ならタキオンも最高出力で使える。

肉体も冴えてる。レッドアームの肉体強化、限界まで使わせてもらうぞ。

「これ多分ナタリアが居たら笑うダジャレのはずなんだけどな、『後出しの千手』」

先に打ち出された攻撃を全て刀で落とし相手に突っ込んで切り刻んでいく。

「でけえ体だからか、どこに振っても切れるなあ!」

アルガスは含みのある声で話しかけてきた。

「そこまで接近して無事で済むと思うなよ!お前の仲間ごと全て飛ばしてやる!一つの神骸に選ばれたところで!この私には!勝てないのだ!」

やつの体が光り始めるがその光はすぐに収まる。

まだ理解できていないアルガスは無様な顔を晒す。

「あー説明いる?まあ一応しとくか、足の靭帯切られたら上手く歩けないだろ?肩の関節外されたら腕が上がらない、それと一緒だ。お前の体を外したり切ったり殴ったりして自爆できないようにした」

我ながら淡々と説明したと思う。

少し前までの俺なら理解できなかっただろうが今の俺はそれが直感的に分かる。

もう一度肉体の限界を発動させる。

おそらくこれを放った後は数日力は使えなくなる。

「最後に言い残すことあるか?」

「お前は旧友ではない!!お前は、、、何者だあああ

あ」

その問いに誇りをもって答えカタナを振るう。

「俺はジン・レッドアームだ」

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