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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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最終決戦!見定める運命

「正直、旧友との手合わせは不確定要素もあったんだが君たちとの決着はもう見えている。不毛だと思うがそれでもやるのかい?」

言葉を返す素振りなど一切見せず盾と剣を装備し突っ込む。

「野蛮人が、図になるなよ」

空中に出現させた岩石の拳がマーガレットに向かって突っ込んでくる。

盾で上に打ち上げるが直後に重い衝撃を感じ、体は空中を舞う。

一発目の岩石に隠すように二発目を放っていたのだ。

(こんな初歩的な、、、落ち着け、今はジンもいない。私が勝たなくてどうする)

拳を地面に突き立てて体を起こす。

痛みはあるが立てないことはない。

「相変わらずの耐久力だな」

アルガスはただただ感想を述べる。興味などなく、作業のように戦闘を続ける。

ナタリアはマーガレットの横で立ち上がる手伝いをする。

マーガレットは少しだけ目を丸くしてナタリアを見る。

「ジンさんは死んだっス、、、もういがみ合うのは無しっス」

「そうですね、、、いてて、謝らせてください。これが最後かもしれません」

「そうかもっスね」

二人が肩を並べたのを見てアルガスはジンの身体を浮かし部屋の脇に移動させる。

「私としてもこれ以上旧友を傷つけたくはないのでね」

「そこまでジンを思うなら、何故殺したんですか」

アルガスは鋭い眼差しを二人に送る。

「ジン、、、か」

その言葉すら不愉快なようだ。

「勝手に名前など付けて何がしたい。貴様、、、君たちのせいで旧友は壊れたのだよ。私の最高傑作だったにもかかわらず」

指先で椅子の手すりを叩きながら答える。

「元々は、私を超えるほどの能力を持っていた。どこまでも命令に従順でどこまでも冷徹。別の用事で作ったものだったのだがな。ある害虫に邪魔をされて急遽目的を変更することになった。そこからは私のために働く兵器として運用することにした」

淡々と話す間も攻撃の手は止まらない。ナタリアとマーガレットはお互いにカバーをしながら攻撃をいなし続ける。決定打を出さないのは話を聞かせるためだ。死にゆく二人へのせめてもの慈悲なのだろう。

「しかしイレギュラーが二回起きた。一つ目はローランドの武器を握ったことだ。幸いなことにいまだにシークエンスの変更しか解放していなかった。もう一つが決定的な問題だった。人と関わったことだ。レッドアームによって研究施設から逃げ出し、ジンという名を手に入れそこから経験を積み、もう元に戻ってこないことが分かった瞬間の私の気持ちが分かるか?」

「メンヘラっスか?」

相手を挑発しながら距離を詰め顔を殴ろうとするとナタリアの背後から骨のような腕が現れナタリアの足を掴みそのままマーガレットの方に投げ飛ばされる。

「、、、っぐ、アンタ、いくつの神骸を取り込んだんスか」

「必要なものはほぼ全てだ」

話の腰を折られて苛立ちを感じているのか初めて襲撃したときの重力場で押さえつける技を二人にかける。

「あの時より強めに設定している。無理はしない方がいいぞ」

どこまで話したのか考えている素振りを見せてからアルガスは話を再開する。

「そこからは私は考えた旧友をもう一度取り戻す方法は無いかと、そこで思いついた一族の恥さらしな娘にも使い道はあるとな。彼女を使えば情が芽生えたジンは放っておかない。そして実験体、、、お前たちはテュールと呼んでいたか?その神骸もついでに回収しようと考えていた。ここで問題は起きたのだ」

ため息をつきながら足を組みなおす。

「力の覚醒までは問題ではなかった。しかし、奴の神骸は体を侵食し始めていた。それだけはどうしても避けたくてね。急いで回収した次第という訳だ。色々と省いて話したが理解していただけかな?と言ってももう死んでしまうんだ関係のないことか」

アルガスは爪を弄りながら立ち上がり二人の方に向き直る。

「何をしようとしていたかは知らないが無意味なことに変わりはない」

そう話しながらマーガレットに目をやると違和感を感じる。

「貴様、、、なぜ笑っている」

「何故でしょうね」

重力場に逆らいながら立ち上がり、盾と剣を頭の上で掲げる。

「これはあなたも知らないサイント族の秘密です」

剣の先に盾を装着し窓際にかざし恒星のエネルギーを吸収する。

マーガレットは攻撃をいなし、時に喰らいながら着実に窓に近づいていたのだ。

剣は黄金に輝き、そのエネルギーは盾に凝縮される。

「これは伝統の一振り、、、私の一族を滅ぼした仇!ここで討ち取ります!はああああああ!」

剣を振り下ろし盾そのものを撃ち出す。窓際で放ったその一撃は壁を削りながら相手に向かって飛んでいく。

「なるほど、、、これは確かに」

アルガスがその一撃を見ながら呟く。

()()()()

その後輪を正面から片手で受け止めようとする。アルガスの片腕は回転する盾によるすさまじい摩擦で血を吹き出しながらすさまじい音を立てる。

しかし数秒すればそれも収まる。

「、、、そんな」

「ふむ、頭だな、頭に直撃すれば可能性は少しあったかもしれないな。それにしても神骸を取り入れた体に傷をつけるとは、、、やはり君は殺さなくてはいけないようだ」

アルガスが一歩前に出ると後ろで瓦礫を踏む音がする。

振り返ろうとした瞬間、何かが突きつけられる。

「遅い」

ナタリアの強化スーツの手のひらからブラストビームが斜め下から上半身及び頭に向けて最大出力で放出される。

そのビームは最上階に位置する部屋の天井を丸ごと吹き飛ばし青空が見えるようになる。

今の一撃で生き残れる生命体は存在しない。

しかし、相手は神もどきである。

「、、、正義のヒーローを名乗る割には卑怯ではないか?」

煙の煙の中から上半身を露にしたアルガスが出てくる。

その体は普通の人間とは思えないほどびっしりを根のようなものが張っており誰が見ても異常なのは一目瞭然であった。

「どうやって重力場を克服した?」

アルガスはシンプルな疑問を口にする。

「未来予知で分かるはずっスよね」

「たまには会話をするのも悪くないだろう、、、なるほど逆位相か。科学者なら修正して二度目は喰らわない、、、大事ではあるが私の前では無意味だな」

アルガスはナタリアの腕をつかむ。ナタリアは瞬時に掴まれていない方の拳で殴るが意味はない。

アルガスは掴んだ腕をへし折る。部屋に悲痛な叫び声が響き渡る。アルガスはつまらなさそうに彼女を投げ捨て今度はマーガレットに歩み寄る。

盾を腕につけ彼女の頭を掴み盾で顔を何度も殴る。

誇り高きサイント族に代々伝わるもので殴られる、これほど屈辱的なことはないだろう。

「最後に謝罪の言葉くらいなら聞いてやってもいいぞ」

口の中は切れ頭から血はだらだらと流れている。

マーガレットはアルガスを見上げて震えた口から言葉発する。

「どれだけ力を手に入れても、無意味に人を傷つける。ジンの時もそう、ナタリアの時も、、、あなたは力に酔いしれて暴れてる赤ちゃんに過ぎない。年齢が二千歳に近い赤ちゃん、、、あなたは神になることはできない。だって赤ちゃんなんですもの」

そういってアルガスの顔に血を吐きつける。

アルガスは黙ったままだ。しかし、激怒していることは一目瞭然だ。

最後の一撃をマーガレットの顔に打ち込もうとした瞬間、その盾を同じ盾で止める者がいた。

その光景を目に焼き付けながらナタリアもマーガレットも口元を緩めながら気絶する。

「ごめんね待たしちゃった。色々あったけど僕は復活できたよ」

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