傷心2
横に船をつけスタリオンを先頭にアリア、アルと順にバルトリカに搭乗する。
「いやあ、いきなり悪いな」
「一応犯罪者の船です。気を引き締めてください」
「うわあ広いなあ!」
マーガレットは三人を来賓室に案内する。
ピースはお茶を入れに行ったようだ。
「色々と聞きたいことがあるからな、協力してくれればすぐ済む」
マーガレットは目線を横に逸らしながら適当に返答する。
「彼らの部屋を見たいなら好きにしてください。私はここで座ってますから、私に聞いたところで知りたいことなんて答えれないですよ。彼らとはもうバラバラなんで」
スタリオンはアルを連れてその場を離れる。
アリアには残り聴取するように命じた。彼女は少し不満そうな顔をした後ピースが持ってきたお茶を飲む。
「あの二人は気が緩んでいるが私は違う。貴様たちのことは共犯者として扱うからそのつもりで」
「分かってますよ」
「あらあら、手厳しいわねえ」
アリアはタブレットを取り出し、話を聞き始める。
これまでの経緯を話しメモを取る。
「十分共犯に値する話ばかりだな」
「まあ今は関わらないので、実は脅されてやらされてたんですよ」
マーガレットが見え透いた嘘をつく、アリアは呆れたようにため息をつく。
そのような発言が不利に働くこともあると注意しながら取り調べをするが時折マーガレットが涙目になりかけるのを確認して不信感を抱く、おそらく彼女は会話の中で色々と思い出して感情のコントロールができていないのだろうとアリアは察する。
厳しいとは言っても人の子、アリアも少しは気遣う。
「ジン・ヴォルフとはどういった関係?」
先ほどの尋問口調と打って変わって少し優しさを含んだ言い方だ。
マーガレットはハッと向き直り、聞き返す。
「はっ、、、えっ?どういったというのは?」
「、、、どうもジンの話をする時に変な反応をするものだから聞いてるのよ」
ピースはお茶を入れに行くといい席を外す。
「今回の話には関係ないでしょう」
マーガレットはしばらく考える。確かに一人の女性として話を聞いてくれているようだが話して良いものか、というのは建前で実は割とすぐに話し始める。
鼻をかみながら涙を流し、愚痴をこぼしながら心配事を語り、お茶を飲みながら煎餅を食べ三十分ほど話し続ける。
話を聞き終わった後、アリアは震えていた。
(つまらない話聞かせてしまって怒らせてしまいましたか)
マーガレットは少し気まずそうにお茶を啜る。
次の瞬間アリアは大きな声で言葉を発する。
「わっっっっかるわあ!」
「、、、えっ?」
アリアは力強くマーガレットの手を握る。
「恋って大変よね。私も絶賛恋愛で困ってるの」
そこには銀河警察の優秀な刑事ではなく完全に一人の女性としてのアリアがいた。




