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長生き、それは繰り返し3

ジンはローランドの方に向き直り問い掛ける。

「テュールはあの神骸に選ばれたってことか?」

ローランドは考えるようにしばらく沈黙する。

「現状では何とも言えんのお」

その言葉に含みはない。本当に分からないのだろうとジンは感じ取る。

各々が考えているとハーネットは手を挙げ質問する。

「みんなは気にしてないようだけど、ローランド先生は話通りなら二千歳近くになってるってことですか?」

ローランドは上半身の服のボタンを外し老体を露わにする。

胸から赤く光る根のようなものが周りに拡がっている。その痛々しさにハーネットとナタリアは顔を伏せる。ローランドは笑いながら自虐の言葉を吐く。

「呪いじゃ。アルガスと袂を分かつ時に文字通り殺し合いをした、その時ワシは一度死んだんじゃよ。しかし神骸の残骸が奇跡的にワシの体を蘇生してな、本来であれば永遠の命とも言えるエネルギーなんじゃが不完全な取り込み方をしたせいで見て分かる通り肉体はゆっくりとだが老いておる」

アルガスとは研究の手法だけではなく殺し合いをするほどの離別をしたのかとジンは考える。

「奴は手段を選ばなかったんじゃ、ワシも人のことは言えんが生命を利用するほどのことはしとらん」

「そこまで揉めるほどの理由があったならあんたが生き残ってることを知れば殺しに来そうなものなのにどうしてこない?」

その疑問にマッドが答える。

「多分、こんなところで、戦い、たくない」

他の三人が視線をローランドからマッドに移す。

「神となり、導き手に、なっても、人がいないと、意味がない。けど、ここで、戦えば、記録も、何もかも、宇宙に知れ渡る。そうなれば、誰も、アルガスに従わない。奴自身が、それを、望まない」

人がいなくては神とは言えない。神もまた孤独では成立しないのである。逆らう人間を殺すことはできるが、殺し尽くしてしまうと何をもって神とするのか。アルガスはそれを避けたくて公の場で攻撃を仕掛けないのだろう。

「結局は立場に固執してるってことっスね」

全員がしばらく黙る。

各々が得た情報を整理しているのだろう。

整理の最中にジンはアルガスの発言を思い出す。

「爺さん、アルガスは俺のことを旧友と呼んだ。アレはどういうことだ?」

ナタリアがすぐにジンの体やこれまでのことについて話しハーネットとローランドが理解できるようにする。

その話を聞いて二人は驚いたように目を開きジンを見つめる。その二人は別々の理由で驚いていた。

ハーネットはローランドのみならずジンまでも一千年近く生きていることに驚いていた。かたやローランドは目の前の男をアルガスが旧友と呼んでいたことに驚いている。なぜならジンを生み出すことにアルガスが関わっていたことを証明する発言に他ならないからだ。神骸を埋め込んだ武器を扱う人間兵器、そのあり方はアルガスよりもローランドの研究方法に即している。

ローランドは呟きながら納得している。

「なるほど、結局はヤツも二つをぶつけることにしたのじゃな。旧友、、、どうやらジン君を兵器として利用していたのはアルガスだったようじゃな」

ナタリアが手を挙げる。

「そろそろマジの本題っス、アルガスの追跡の仕方についてっス」

ハーネットはメガネをクイッと上げながら真剣な顔で話す。

「カチコミね」

ローランドはホッホッホッと笑い声を上げながら話し始める。

「ちょうど良いものがあるんじゃよ」

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