脱獄
7話目です
バジリスの最大刑務所ゲヘナプリズンここには宇宙の極悪人たちが大量に収容されている。
B区画の182番の房の中で二人が会話している。
「うーんこれでいけるはずなんスけどね」
顔をしかめながら、フォークとナイフで配線をいじっている少女がいる。名前はナタリア・シュミット、
「爆弾!爆弾!楽しみだ!」
一際ガタイが大きい髪がボサボサの大男が大きなが声を出した。こちらの名前はマッド・ジェイク、
「マッド!うるさいっス!見つかったらどうするんスか」
「ごめんナタリー、オレ、静かにする!」
「計算上はもう少し威力がないとダメっすからねぇ、材料調達しながら、明後日くらいにはオーバーパワーの爆弾が完成するッス」
二人は作っている爆弾の上に部屋の物を置いて隠す。意外にも、このゲヘナプリズンでは男女で房が分けられておらず、犯罪の重さで分けられている。
「やっとここから出れるっスねぇ」
「出たら飯!いっぱい!食う!」
「いいっスねぇ、アタシはまた色んなものをいじりたいなぁ」
二人ともニコニコしながら就寝する。要素外の出来事が起こること一切知らずに
10時間後 マーガレットの宇宙船内
『後10分でバジリスに着陸します』
各々部屋から出てきて、顔を合わせる。
「んーよく寝てたぜぇ、快眠快眠」
「この船内、図書館もありますわよ。縮小拡張の技術って素晴らしいですわね」
「一体何十人を入院させられるんですかね。どうやら病人や怪我人のためだけではありませんね」
「とりあえずパジャマから着替えろよエリア長、あんたくつろぎすぎだろ」
マーガレットが顔真っ赤にして部屋に引っ込む、
『準備ができましたらコックピットに集まってください』
先にオリヴィアとジンが二人でコックピットに向かう、
「作戦はあるのかオリヴィア」
「まだ熟考中ですわ。貴方は何かいい意見ありませんの?」
「そもそも研究所の詳細聞いてねえんだけど」
「色々と大変だったので言う暇がありませんでしたわ。マーガレットが来たら二人に話しますわ」
遅れてマーガレットが入ってくる。
「すみませんオリヴィア、遅れました」
「一応俺様もいるんだけど」
文句を言うジンを無視して話を始めるオリヴィア、だいぶ扱いに慣れてきているように見える。
「まず、ターゲットについて把握できていることは刑務所の地下にある研究施設にあるということですわ。ここまではお二方も知っていますわね」
マーガレットとジンは頷く、
「ここからが具体的な話になりますからよく聞いてくださいまし、刑務所から研究所までは厚さが約5メートルに渡りますわ。しかし、唯一それが非常に薄い部分がありますわ。それがB区画の182番になります。この房は外側に面していますので、敷地内に入ってその房の隣から少し掘れば研究室に侵入できるはずです。ロープを垂らせば戻る時も苦労せずに済むはずですわ」
「少し掘るってのはどんくらいで何使って掘るんだ?」
「現状では私の拳ですわね」
ジンが深いため息をつく、マーガレットはデリカシーのない発言をすることを察知し、先回りして口を開く、
「なかなかアグレッシブな作戦ですねオリヴィア、もし拳が通じなかったらどうするつもりなんですか?」
「その時は爆弾しかありませんわ。こちらの案を採用すると警報がなってしまうことだけが問題ですわね。その場合でもついてこれますか?マーガレット」
「俺様もいるんだけどなぁー」
「マーガレットは正義感が強いでしょう。貴方には拒否権はそもそもありませんのよ」
マーガレットは少し黙った後で口を開く、
「正直警報が鳴るようなことはあまりやりたくありません。しかし、地下に研究施設があるのが事実で、囚われている人がいるのも事実なら違法です。助けないわけにはいきません」
ジンが少し渋い顔をしてから口を開く、
「正義を掲げて行動するつもりか」
「いけませんか?正しいことを理由に動くのは」
「揺らいだらどうするんだ。正義ってのは一方の見方でしかないんだぞ」
オリヴィアが不穏な空気を察して口を挟む、
「どうなさいましたのジン、今はそんなことは、、」
「もしこいつが作戦途中で正しくないことだと思ったら?協力しなくなったら?どうする?正義なんてものを頭から掲げて動く奴はエゴイストなんだよ」
誇りと正義を持つサイント族のマーガレットも黙ってはいれない、
「なににせよ、正義は少なくとも私にありますよ。賞金稼ぎをしていたあなたよりは」
「ほら出たよ。自分の信じてたことは間違い無くて、それ以外は間違ってるってのか?他人の生き方を否定して人生までも間違いだって言いたいのか?」
マーガレットとジンの間に空気が揺れ動くほどの殺気が流れる。オリヴィアが再び口を開く、
「お二方!!いい加減にしてくださるかしら!!とりあえずジン、今から下見に行きますわよ。マーガレットは船内で待機していてください」
ジンは引っ張られるようにコックピットから出るとそこは外だった。
『先ほどは脳波を読んで黙っていました。感情というものは理解できませんので、しかし今のは理解できました。なぜコックピットを出たら外かということですね。それは量子システムを使った簡易型のワームホールのようなものです。外を明確にイメージした脳波を感知した場合は扉の先をワームホールで外に繋げることができます。それではお気をつけていってらっしゃい』
ジンは無言のまま歩く、オリヴィアは少し気まずそうに無理に笑いながら口を開く、
「中々お節介なロボットですわね」
「、、、、、そうだな」
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