長生き、それは繰り返し2
ハーネットが突然立ち上がり必死に訴えかける。
「不正解なんて!ローランド先生に不正解なんてありません!」
ジンも続くように話す。
「前に言ってたじゃねえか。作ったものに間違いなんてないって」
ローランドは静かに、しかし強い眼差しで座るように促した。
「まあ聞くのじゃ、ワシの選んだ方法では不完全だったのじゃよ。人として神になる。このプロセスを踏むには神を超えなければならない。神を超えてこそ確かに神になったと言えるじゃろう。しかし、神はもう存在しないものじゃ、存在しないものを研究方法のプロセスに組み込んだ時点でワシの研究は完成しないことが確定していたのじゃよ。それではワシの作った数多くの子供達が可哀想じゃ」
ジンは納得したように続きを話す。
「だから、あんたは自分の作った武器を外に出したんだな」
「、、、そうじゃ、話を戻すとするか。アルガスは神骸を取り込み神になることを望んだ。やつはおそらく今までに多くの生命体に神骸を埋め込み力を奪っておるわ」
「なんでそんな回りくどいことしてんスか、、、あっ、能力の覚醒、、、」
ナタリアが納得したようだがジンはまだピンと来ていない。
「どういう事だ?」
「ジンさん、例えば槍と剣を二つとも渡されて一ヶ月で両方練習するよりどっちか一つを一ヶ月練習した方が上達するっスよね」
「まあ、そうだな」
「神骸は適応した後、すぐ出てくる副次効果と後天的に出てくる本質的な能力の覚醒っていう二段構えになってるっス」
そこまで言われてジンも気づく、
「そうか、他人に神骸を取り込ませて二段階まで覚醒したら奪い取る。これを多くの生命体で同時に行い効率的に覚醒した神骸を取り入れてたのか」
そこでジンは思い出す。
(じゃあなぜオリヴィアは、、、テュールの侵食に驚いていたんだ?アルガスに知らされていなかった?いやそんなはずはない、、、待てよ、そもそも侵食と覚醒は別物なのか、、、あの時のイレギュラーは侵食?)
ジンはローランドに質問をする。
「テュールの腕は侵食されていた。あれは何だ」
ローランドは一瞬目を大きくするが、いつも通りにすぐ戻る。
「選ばれ司る者じゃな、、、我々は『選司』と呼んだ。まあ、珍しいが全く見ないというわけではない」
小声でナタリアがマッドとジンに笑いながら話しかける。
「きっと戦う戦士とかけてるんスよ。ダジャレとか緊張感ないっスねえ」
ハーネットの脳天チョップでナタリアが鼻水を噴き出す。
「緊張感がないのはあなたよナタリア」
「ズビッ、痛いっス」




