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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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喧騒

「そんな馬鹿正直にやる仕事でもなかったろうに、ずっと泣き叫んでてうるさいねぇ」

「ジンッ!マーガレットは今傷ついておられるのですよ!そんな言い方はあんまりではありませんこと」

『メンタルケアサポートを開始できます』

「んなやつほっといて、早く目的地教えてくれよ。自動ナビも使えねぇ」

椅子を回しながらジンは文句を言う。オリヴィアはイライラしながら仕方なく伝える。

「惑星バジリスですわあそこに向かってください。空気読めませんわねまったく」

ジンはコックピットに打ち込んで自動操縦をオンにする。

「ピース周辺の危機管理システム稼働しといてくれ、どうせそうゆうのあんだろ」

『あなたの命令は聞けません』

「緊急事態だ〜」

『脳はスキャンの結果、いたって正常です』

「じゃあ乗組員登録だ。ジン・ヴォルフ、後オリヴィア、ちなみにオリヴィアはオリヴィアだそれ以外は名乗ってくれないぜ」

『登録完了しました。よろしくジン、オリヴィア』

「船長権限を俺様に移せ」

『直接譲渡もしくは死亡時のみ可能です』

「仕事クビなって傷心中だ。死んだも同然だろ」

オリヴィアが飛び上がりゲンコツを決める。

「ジン!いい加減に!しなさいですわ!!」

「いでぇええぇ!」

ジンは頭を抑えて転がりまわる。一方オリヴィアは泣き止んだもののまだ顔をぐしゃぐしゃにしている。

「グスッなんで、、、こんなことに、、、意地張らなければ、、、うぅ、、、」

「マーガレット、もう起きてしまったものを悔やんでも仕方ありませんわ。あなたが望むならあなたの故郷に寄ることもできますわよ」

「故郷はもうない、、、私が種族の最後の生き残りだから、、、」

ジンがハッとして起き上がる。

「グッドバー食うか?」

オリヴィアが再び拳を固める。

「ジン、、、あなたという方は、、、」

「食べます、、、ズビッ」

オリヴィアは顎を外れるくらい口を開いて驚いている。

「やめておきなさいマーガレット、あんな溶けていて体に悪いものなんて」

ジンは凍ったグッドバーを出してくる。

「なぜ凍ってますの?」

「俺様が無意味に椅子を回してた思うなよ。きちんと設備も見てたってわけさ。足元に冷蔵庫があった」

オリヴィアにグッドバーを渡す。

「ありがとうございます、、、」

マーガレットはそのグッドバー剥かずに袋ごと咀嚼して飲み込む、オリヴィアは再び顎が外れるくらい口を開く。

「やっぱりな、赤い髪にそばかす、音速で移動するものに掴まることができる身体能力、正義感の強さ、発達した犬歯、それにあの武器ときた。お前、サイント族の生き残りか。生き残りなんていたかな、、、」

「サイント族!それって数年前まで宇宙評議会の半数を占めていたと言われていた種族ですわよね」

その正義感の強さ、誇りにより惑星間では好印象を持たれることが多かった一族であったサイント族、ある時を境に詳細不明の虐殺が起き、種族は絶滅したとされ宇宙評議会が大きく変化したことで有名なのである。

「私はその生き残りです。あの虐殺の日に別の惑星に逃げることができて、あそこの維持部隊に入ったんです。あそこで種族の仇である男を捕まえるために出世も目指して頑張ってたのに、、、こんな、、、こんな、、、」

ジンがすかさず割り込む

「泣く前に!早く俺様に権限を移し、、いってぇ!」

「まだ話の途中ですわよジン!マーガレット、貴方の気持ちはよく分かりましたわ。帰る場所がないならこのまま一緒に行動しませんこと?復讐相手を探すのも手伝いますわよ」

予想外の提案にマーガレットが驚く、

「いいんですか?」

「俺様は勘弁してほしいぜ依頼以外の仕事なんて追加で、、いっででで」

オリヴィアがジンのほおをつまむ。

「これくらいのことは込み込みで払っていますのよ。いいですわねジン!」

オリヴィアはすっと立ち上がり先までの泣き顔は嘘みたいに凛々しく命令する。

「ピース!周辺のサーチを!安全に目的地まで向かいましょう!」

『了解しました船長』

「俺の船が、、、、」

「同一人物とは思えないくらい元気になりましたわね」

「あー、、、多分だが帰属意識の高い種族なんじゃねぇか」

そんな話をしているとふと気づいたようにマーガレットが振り向く、

「ところでオリヴィア、なぜバジリスなんですか?あそこは巨大な刑務所が有名なだけでそれ以外は何もありませんよ」

バジリスの刑務所は惑星間での移送手続きが簡単なため凶悪犯などはそこに閉じ込められることが多い。

「ある人を探しているのですわ」

「脱獄の手助けはしないですよ」

「刑務所の下に研究所がありますのよ。彼はそこにいます」

ジンは鼻で笑いながら天井を見つめている。

「刑務所の下に研究所だぁ?またきな臭い話になってきたな。もし研究所がなくても報酬はもらうからな」

『到着まで、10時間ほどかかります。ご自由におくつろぎください』

三人は各々部屋を決め、各自就寝や運動などを行い時間をつぶすことにした。


同刻、ある男は反芻する。

三人揃揃った 後は時間の問題だ 運命の歯車は上手く噛み合い始めた 秘密が明かされなければ絆は強まらない だが秘密を明かせば歯車は壊れる 歯車が壊れた瞬間だ その瞬間こそ私がすべてを手に入れる時だ

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