奪還作戦10
「何回目だろ死んだの」
「1563回目だ。もう少し真面目にやれ」
「アルマが強すぎるんだよ。君は結局何者なの?」
「、、、お前の腕だ」
テュールはある程度予想していたのかそこまで驚かない。
「お前の心臓部の人格だよ。言ったろ、俺は光だって」
「殺しをよしとするとも言ったよね」
「、、、ああ」
「僕は殺したいわけじゃない」
「だろうな。お前は俺なしじゃ生きられない弱い存在だ。殺しってタマじゃないだろう」
「じゃあ本来の僕ってどうゆう意味さ。僕は君とは違うんだろ?」
その言葉聞きながらアルマは訓練だ、と立ち上がり戦闘の中で話を進める。
「俺はお前が必要だ。お前の体がなけりゃ俺は腕の力を使えない。お前は俺がその体に接続した際に体側に生まれた人格だ。お前は腕がないと生命活動は停止する」
テュールはアルマの動きを真似てだいぶ動けるようになっている。
しかし、追いつくたびにアルマはその先を見せ続ける。
「おっと今のいい線いってたな、、、本来のというのは少し語弊があったかもな。よっと」
アルマの放った弾丸がテュールの頭を撃ち抜く。
「、、、はっ!やっぱたんまたんま、話すならまた座ろうよ」
「甘えんな」
続けざまに頭を撃ち抜く。
「、、、ふう、これ中々吐きそうになる」
「それで話を戻すが、俺とお前の精神はがっつり絡み合ってる。俺たちはいまや切っても切れない二人で一人なんだよ」
テュールはアルマの太刀筋を読みながら、盾を召喚して応戦する。
「じゃあ、あのパーキングエリアで人を殺したときに感じた高揚は、、、アルマなの?」
「まあ、そうだな。高揚感というかあの時俺はよくやったなと感心してたんだよ。仲間を二人を守ったんだからな」
突然、アルマは戦闘をやめる。テュールが不思議そうに見つめると、アルマが空を見て何かを察する。
「お仲間が来たぞ、、、大変そうだ」
ぼそっと呟くように発する。
「えっ、じゃあ一旦終わり?」
「ああ」
「次はいつになるの」
アルマは腕を軽く振る。アルマの腕から体に向かって回路のようなものが青く光る。
召喚できるキャパが上がったことを感覚で捉える。
「これで多少はアップグレードしたはずだ。慎重に使えよ」
「ねえ、次はいつなの」
「そうだな、、、またお前に限界が来た時だ」
アルマが指を鳴らす。次の瞬間周りは虚空ではなく元の森に戻ってきている。
ずっと立ったままだったのかと思いながら船内に戻ろうとしたとき後ろから声が聞こえてくる。
「テュール君!!離陸の準備を頼む!!」
振り向くとボディを担いだマッドとナタリアが走って近づいてきている。
「ナタ、、、ダイマナイト、どうしたの」
「良いから急ぐんだ!!余裕がなくなってきている」
テュールは急いで離陸準備をする。
起動方法はジンとマーガレットに教えられていたので、操縦室のボタンをいくつかいじる。
「マッド運転お願い、後ジンはどこなの?」
マッドは操縦席に座り、質問には遅れて入ってきたナタリアが答える。
「先に行って準備をしとけって言われたっス」
ナタリアは頭の部分だけ強化スーツを外している。
テュールは急いで搭乗口に行き、ドアを開けて外を確認する。
ジンの姿は一切見えない。
「十分待って、来ないなら、行け、言われてる」
その頃、ジンは森の中を走っていた。二人の人間を両肩に抱えて。
「ジン、、、、置いて行ってください。オリヴィアだけでも」
「黙ってろ」
ジンはぶっきらぼうに言い放つ。
船内で機器の干渉が起きたためにお互いの位置を把握できず少し遅れたことをジンは自身のミスととらえている。
「オリヴィアが修行つけて欲しいと頼んだらしいな」
「、、、はい」
朦朧としながらだが会話はできている。
「つけてやれよ。こいつの力は強力だ。きちんと使いこなすなら良い先生が必要だ」
「、、、生きて帰れたら考えます」
「生きて帰れるに決まってんだろ。バカ言うな」
ジンはゴブリンの射撃を必要最低限の動きで躱しながらバルトリカに向かう。
ゴブリン兵がゲルロアの船から一定の距離離れると追ってこなくなる。
「船で追ってくるつもりか、、、まあ、こっちにはEMPがあるがな」
そんなことをつぶやいた瞬間、真横を何かが通過し爆風が巻き起こる。
三人はその場に投げ出される。
「、、、がっ、、、ああ、、、んだよこれ」
ジンが周りを見ると横の木々がきれいになくなり大地がむき出しになっていた。
ゲルロアの船についているビーム砲を放ったようだ。
「銀河法違反、、、だろ、、、クソ、、、軍の特権か」
身体を奮い立たせて、倒れている二人を担ぎ足を引きずるようにバルトリカを目指す。
木陰に隠れながら相手の感知網から身を隠す。
(時間がかかりすぎる。クソ、約束の十分経っちまう)
ゆっくりとだが着実に歩みを進める。
バルトリカ内にて、テュールは大声を出している。
「もうちょっと待とうよ」
「もう十五分っス、、、、行かないとアタシ達が死ぬっスよ」
二人とも苦汁を呑んだような顔で話している。
「置いてけないよ」
その後ろに女性が立っている。
「あらあら、どうしたの?二人とも」
二人は心臓が止まるほど驚きながら振り向き女性を見て不思議そうな顔をする。
「もう、忘れちゃったの?ピースよ、ピース」




