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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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奪還作戦9

オリヴィアはマーガレットに駆け寄り、抱き抱える。

『ナタリア!』

『どうしたんだいはっはっはっ』

『オリヴィアが刺されました』

『はっはっ、、、は?えっ様子はどんな感じっスか』

通信にマッドが割り込んでくる。

『体、貫通、した?』

『しましたわ。私を庇って、、、どうすれば』

『落ち着いて、オリヴィア、脱出ポイントまで、君が、運ぶ、それしか、ない』

オリヴィアの腕時計にマッドから応急処置のやり方とナタリアから地図のポイントが送られてくる。

『今送ったデータ通りにやるしかないっス。幸いその通路を右に曲がると医務室があるはずっス。こっちも手が空いたらすぐ向かうっス』

オリヴィアはマーガレットを抱えて運ぶ。

その間も血はボタボタと滴っている。

医務室の前までなんとか引きずるような形で運んでくる。

「もうすぐですわよ」

「ナタリア、、、置いていってください」

医務室のベッドに寝ころばせるようとしている最中に朦朧とした意識でマーガレットが話しかける。

「すぐに治療しますから意識を保ってくださいまし、それと私はオリヴィアですわよ」

医務室の棚を漁り必要なものを探す。

廊下からは複数の足音が近づいてくるのがわかる。

オリヴィアは超能力により交渉不可能なレベルで相手が殺気立っていることを感じ取り、すぐに扉に簡易的なバリケードを付ける。

「オリヴィア、、、早く逃げて」

か細い声でマーガレットが願う。

オリヴィアの脳がパンクしかける。

必要な処置をし、針で縫いながら次の瞬間を考えている。扉が突破されたらどうすべきか。流石に全ての弾を防ぎながら戦うことはできない。けどそうしなければマーガレットは死んでしまう。

そもそも、今回の戦いに参加しなければマーガレットが傷つくこともなかっただろう。

サイント族の体は頑丈なため、中々針が思うように通らず苦戦しながら自責の念でいっぱいになる。

時折、苦痛の声を上げるマーガレットに謝罪をしながら治療する。

「これで終わりですわ、、、」

縫合が終了しオリヴィアが汗を拭う。

扉の方に目をやると突破寸前の状態だった。

扉が開け放たれる。ゴブリンたちは入り口から一斉掃射を行う。

(これは、、、まずいですわ)

パンクしかけた脳に強制的にさらに精神的圧がかかる。

(命に変えてでも、、、守りますの!!)

彼女の力は精神由来によるものが大きいだろう。

憎しみは時に力を増幅させる。しかし、どうだろうか。何も持たず憎しみだけで死ぬ気の者と守るべき者のために立ち上がる者、どたらの方がこんくらべでは勝つのだろうか。オリヴィアの場合は後者であった。憎しみ持つものは道半ばで倒れることもあるだろうが、何かを守ることを覚悟したものは倒れることを許さない。

オリヴィアは自身の周りに球体の半透明な膜を生み出す。弾丸はその膜に当たると全て地面に落ち始めた。

相手が弾切れになるまでなんとか維持し、撃ってこなくなった瞬間、反撃に出る。

「マジで死ね、、、ですわ」

前方の入り口及び廊下に波動が流れる。

ゴブリンたちの体は破裂し内臓が飛散する。

オリヴィアは自身の力がワンランク上がったことを実感すると同時に体に力が入らなくなりその場にへたり込み寝てしまう。

直前にジンの声が聞こえてくるような気がした。

「おいおいおい、二人担ぐのはめんどくせえよ」

ジンは二人を担いで医務室から出る。

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