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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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留守番

彼らが作戦を実行している間、テュールは調子が戻り船内を歩いていた。

自室のドアについてる荷物入れに入っていた腕時計をつけながらいじっていた。ナタリアが置いていってくれたのだ。

「今から行ってもなあ、何しようかな」

考えた末に船外に出て木に向かってナイフを投げて暇を潰すことにする。

適当に投げたナイフはなかなか刺さらず、十回ほど投げるとコツが掴めてきたのか徐々に刺さり始める。

木に刺さったナイフを抜くときに誤って手を切ってしまう。

顔をしかめながらナイフを抜き、ケガした手を消毒をしようと船の中に戻ろうとしたところ自身の手を見て気がつく、

「傷が、、、塞がってる?」

急いで船内に戻り頭についた包帯を取り外し鏡を見る。

傷は完全な塞がり綺麗な状態に戻っている。

そんな自身の体を気持ち悪いと思いながらまた船の外に出て切り株に座る。

(実はエタル族の生まれだったりするのかな、いやないないない、ジンがこの前教えてくれた特徴に一致してないし)

一人は中々落ち着かないのかそんなことを考えながらうろうろと周囲を歩いたり、船内外を行き来したりしている。

その時、近くの茂みから音が聞こえてくる。

「、、、ジン?、、、マーガレット?」

流石に早すぎると思い、コートにしまっていたナイフを手に取り構える。戦えるくらいまで回復したが派手なビームや銃を撃てばゲルロアに位置がバレてしまうかもしれない。

穏便に済ませなくては、とテュールは考える。

茂みから出てきたのは小さな動物だった。

安心してナイフをコートにしまう。

神経質になっているのは疲れているからだろうと考え船内に戻ろうとする。

「神経質になっているのは疲れているから」

背後から声がする。振り返るとそこには立っていた。

そう、自分自身が佇んでいたのだ。

「、、、これは」

「幻覚かな?」

テュールの言葉を補填するようにもう一人のテュールが言葉を放ちながら笑う。

(誰だ、新しい敵なのか?どうすればいい)

テュールはいきなりナイフを投げるわけにもいかないので小石を軽く弾く。

その石は相手の身体をすり抜ける。

「確認の仕方が原始的だな」

「君は僕?」

「言い得て妙だな。それに関しては()()()()だな」

もう一人は攻撃的な発言をする。

「僕の影みたいなものでしょ。まあそれにしては随分な言い方だけど」

「俺は影じゃない。殺しを良しとする本来のお前だよ。むしろ俺が光だ。呼び方は、アルマでいい」

話にならないと考え自室で寝ようとするが呼び止められる。

「その腕の力、限界まで使ってみたくねえか」

突然の言葉にテュールは驚く、これ以上に何か力を秘めているという実感がなかったためだ。

「どうゆう意味」

「そのまんまだ、ちょっと腕返せよ。見せてやる」

腕の主導権を奪われる。

目の前のアルマの動きに合わせてテュールの腕が動く。

テュールの命令を聞かなくなる。

「どうなってるのこれ」

「腕は俺のもんだよ。俺が貸してただけだ。まあ、この俺ですら分裂した人格ではあるんだがな。ちょっと待ってろ、、、この腕は、、、こうやって、、使えるんだよ」

腕から体に向かって閃光がほとばしる。

その場でテュールは魂を抜かれたように立ち尽くしていた。


「ここは?」

周りはただ広い草原が続いていた。

「時空間で作り出した虚空だ。次元の狭間と似ているがあっちは元々ある場所に対して、ここは存在そのものが刹那的だ。重要性もそれ相応だ。つまりこの空間ではいくらでも腕の能力を酷使して吹き飛ばしたって構わない。まあ安心しろここで死んでも向こうで寝込むくらいだ」

「なんでそこまでしてくれるの」

「来るべき時に備えてだ。お前がよわっちいままだと俺も飲み込まれちまう」

「それって、、、」

テュールが聞こうとした瞬間、頭をアルマが投げたナイフが貫き、テュールはその場に倒れこむ。

「まずはどんな時も隙を見せるな」

次の瞬間、テュールは寝転がった状態で目を覚ます。

「うわ、今の何!今、死んだ気がする」

「ここじゃ実践的な訓練ができる」

しばらく必死に訓練を続けている。体感時間で三時間たったころに休憩を挟む。

アルマの圧倒的な力の使い方にテュールは成す術もない。

「なんでそんなに強いの」

「お前が弱すぎんだよ」

テュールは疑問に思ったことを聞く、

「現実世界の話なんだけど、傷がすぐ塞がって治るんだけどこれも腕の力?どこまでの傷だったら耐えられる?」

「腕が生きてりゃ再生されるさ、基本的にはな、、、、あーこれそこそこ重要だから話しとくか」

テュールが不思議そうにアルマを眺める。

自分と瓜二つの存在を眺めるっていうのはちょっと変な気分だなと考えつつ言葉を待つ。

「これからの旅はお前の好きにさせてやるよ。だけどこれだけは忘れるな。お前の心臓は()()()()。肩より横が全部なくなっても元には戻るが、腕を分離された瞬間はどれだけ体の状態が良くてもゲームオーバーだ」

「基本的に残機無限なんだね」

アルマは呆れながら立ち上がる。

「お前はマザーKを出てからあのゲーム機で遊びすぎだ。よし訓練の続きをやるぞ」

「えっまだ?」

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