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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
5/135

予想外の搭乗者と電子の友人

5話目です

船内に投げ入れられたマーガレットはしばらく歩き、見つけた船内の案内に従いコックピットを目指す。さすがに音速の飛行機にしがみついたのは良くなかったのか腕を軽く抑えながら歩いている。軍の治安維持部隊のエリア長ではあるが、彼女自身は左遷された側の人間であった。特に能力が無かったわけではなく、彼女の正義感の強さが上層部の方針とたびたび衝突していたのである。

「はぁ、こうやって一々追いかけ続けるから私はダメなんですかね、、、」

ぼやきながら歩いているうちに腕の痛みが和らぎ始めたのか歩く速度も少しづつ早くなる。どちらにしろコックピットに行き、あの二人に会わなくてはならない。

そもそも通信機器は使えるのだろうか、どう報告すればいいのだろうかという疑問がマーガレットの頭を駆け巡る。そんなことを考えるとコックピットに続く扉が見えてくる。この先に二人がいることを覚悟してマーガレットは扉に手をかけ、少し開くと中からは騒がしい声が聞こえて来た。

「そろそろ文句を言うのはやめてくださるかしら。貴方が選んだ宇宙船なんですからだれも責めれないですわよ」

「んなこたぁわかってんだよ。ただどんよりして独り言を言ってるだけだろうが、、、はぁ、、、医療用、、、武装なし、、、ロマンがねぇなぁ」

「独り言でも耳障りですわ。ところで行き先はもう入力しましたの?」

「まぁだぁだよぉ〜、そんな気分にならないんでね。正直今の気分は最悪だぜ。パン頼んだら米が出て来たみたいな気分だ。」

「同じ主食なのですから問題はありませんわよね」

マーガレットは会話のタイミングが分からなかったので話を中断するように飛び出し声を出す。

「あの!!あなたたちを逮捕します!!」

ジンとオリヴィアは臨戦態勢をとる。

「でたな怪力女エリア長!執着しすぎなんだよ。たかだか酒場の喧嘩で、俺様モテちまって辛いぜ」

「ジン、ふざけてる場合ではありませんわよ」

二人の攻撃的な態度を見てマーガレットも両腕のリングをぶつける。すると、二つのリングからそれぞれ盾と剣が召喚される。

「げっ、量子リングかよ。ん?その武器どっかで見たことあるな」

「今降伏するなら傷つけることはありません!それに穏便に済ましたいのはお互い様ではありませんか?何よりここは操縦室ですし」

『ソノ通リデスヨ 船内デノ戦闘ハ禁止サレテイマス』

「聞き分けはいいですね。酒場でもそれくらい聞き分けよければこんなところまで来ずに済んだのですが、、、、?」

しばらく沈黙が続き、

「「「ん?」」」

全員が機械の声がした方を向く

『ドウカシマシタカ』

そこには、一つのモニターがあり、どうやら喋ったのはそのモニターらしい。

「このロボットもあなた達の仲間ですか?」

「ロボットって、、、どっちかというとこいつは自動応答システムじゃねえか?」

『私ハ自立型AIサポートノ「ピース」デス 能力ハ自動操縦、身体検査、確率ノ計算ナドガアリマス』

「先ほどそちらのエリア長さんを回収なさったのも貴方ですわね」

『音速ヲ超エ宇宙二突入スル準備ヲシテイタノデ危険ト判断シ船内二回収シマシタ』

三人はもう戦闘するという気は薄れ、各々が疑問を解消するようになる。

「通信システムは使えますか?上司に報告しなくてはいけなくて」

『タダイマ復旧中デス 言語能力モ調整中デス シバラクオ待チクダサイ』

「エリア長さんを船内に入れてからここに着くまで随分と遅かったようですけど、気絶でもなさっておられたのですか?」

「私はエリア長という名前ではありません。マーガレット・ナカムラです」

『言語能力調整完了 マーガレットは気絶しておりません。操縦室への到着が遅く感じたのは、おそらくこの船が彼女の量子リングと同じように船の内部構造に量子エネルギーによる縮小拡張が施されてるからでしょう』

ピースの言語調整が完了すると、抑揚と流暢さが大きく増して会話できるようになった。

「そんな高性能な医療用の宇宙船さんが、なんであんな星の廃棄場にあったんだよ」

『私の設計者が自動ナビゲーションでこの星まで飛ばしたことがログから確認できます。通信システム復旧完了しました』

復旧完了の報告を聞き、マーガレットはすぐさま命令する。

「すぐに先ほどの星に、、、この無線機にリンクさせてつないでください」

「バカやめろ!ストップだ今の命令は無効にしろ」

ジンの願いむなしくピースは返答する。

『この船に最初に登録されたのはマーガレットだけです。必然的にマーガレットが船長になります』

「最初にエンジンかけたのは俺様だぞ!登録なしでも乗れるようにするのか?」

『医療用の宇宙船です。緊急時は必要とあればそうするでしょう』

ジンは真面目に話すピースにイラっとした顔で

「あれが緊急時だってのか?」

『あなた方の脳波から大きな焦りや驚きが感知されましたので』

「俺様がビビったっていいてえのか?あ?」

プルプル震えながら銃を抜こうとするジンに対し、

『無線機とのリンクが完了しました』

「こちらナカムラです。問題の二人組を追いかけて今宇宙に出てしまっています。至急戻りますが、先に報告を、と思いまして」

『あーナカムラ君か、実はだね。さっき君クビになったよ』

「は?」

マーガレットの頭が追い付かない。

『いやぁほら、君犯人捕まえまくるじゃない。犯罪の大小に関わらず、それでこの星に収容できないから他の星の収容施設に送るじゃない。それを上があんまりよく思ってなくってさ、今回の追跡でこの惑星を飛び出したタイミングで上からクビにしろって感じでね。まぁ最後までの働いた分は給料払われるし、制服も返さなくていいよ。なんなら好きにしていいよ。今回の上の決定なかなかひどいからね。僕ら的には何だっていんだけどさ 頑張ってね。通信終了~』

マーガレットの目にウルウルと涙が浮かんでいる。

「か゛ん゛は゛って゛た゛た゛け゛な゛の゛に゛ーーーーーー!!!」

船内に泣き声が響き渡る。

読んでくださりありがとうございます。

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