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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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不安と不穏2

男たちは宇宙船の発進準備をしているようだ。慌ただしいのか色々な音が鳴っている。オリヴィアが身体を揺らしたところで誰も気にしないのか意外にもあっさりと顔の袋を外すことはできた。

(次は縛られた腕ですわね)

超能力を使って腕の紐をカットする。

すぐにポケットの中を探ると自身の通信機が出てくる。

(この人達抜けてますわね。これでジンに)

その瞬間通信機からけたたましくアラーム音が鳴る。

オリヴィアはまずいと思うが時すでに遅し男の一人がこちらに向かってきた。

「おい、目を覚ましたぞ」

男はライフルを構えオリヴィアに向ける。

オリヴィアの思考を読み取る能力は相手の撃つタイミングが分かる。しかしこの距離で相手の発砲タイミングが分かろうと避けることは不可能に近い、

「せっかくの商品だから傷はつけたくなかったんだがな」

二人目の男がくる。

「あいつは飛行船を発進させるそうだ」

「なら俺たちだけか。売る前に俺たちで楽しむとするか?」

「出たよ加虐趣味」

オリヴィアは恐怖で動けなくなる。一撃を入れれば顎を砕くことなど容易いが銃を突きつけられていることより彼らのこれからしようとしていることに恐怖で動けない。

その時、宇宙船が空中に浮かび上がる。

「この星から出ちまえばこっちのもんだ」

オリヴィアの髪を引っ張りながら二人の男が気味悪く笑っていると船体が突然傾く。


「ジンそろそろ着くの?」

「こっちで間違いないはずだ」

二人が第二パーキングエリアに着きしばらく走ってC-36に向かっていると一台の宇宙船が浮かび上がった。

「Y座標がズレた。あの宇宙船だが、クソッもう発進するぞ」

「任せて、デュアルアンカー」

テュールが手元に大きな射出を召喚する。

弾丸は二本の鎖で繋がったアンカーのようだ。

一本目を宇宙船の片翼に打ち込み二本目を地面に打ち込む。

「これで、足止めはできたよ」

負荷がきたのか鼻血を出しながらその場に座り込むテュールを横目にジンは鎖に乗って走っていく。

宇宙船の上になり操縦室に向かって円状に六発ブラスターを撃ち込む。そこを踏み抜いて作った穴にジンは入る。

「お前なにもんだ!」

「保護者だよ」

操縦していた男の肩をブラスターで撃ち抜く。

男は呻き声を上げる。ジンは撃ち抜かれた男の体を片手で掴んで席から引き摺り下ろす。

「席変われ、このタイプの宇宙船は久しぶりに操縦するぜ」

宇宙船の高度を下げ再びパーキングエリアに着陸する。

ジンがコックピットの窓を割って外に出ると動きを止める。

「武器を置きなヒーローさんよお」

一人の男はジンにライフルを向け、もう一人はオリヴィアの腹に腕を回し頭に銃を突きつけている。

ジンは静かにブラスターを置く。

「お前のことは知ってるぞ。神速のジンなんて通り名があるいかすかねえ野郎だな」

「あー見たことあると思ったらあいつか。お得意の『後出しの先手』って芸も人質が取られてると使えねえな」

「ゲスどもが」

「おっと、口の利き方には気をつけろよ。いつでもこいつの頭をズドン!できるんだからな」

オリヴィアがビクッと体を震わす。

「ジン、ごめんなさい」

「謝んな、ガキは年上に頼ればいいんだよ」

男は二人の会話を聞いてさらに嫌な笑みを出す。

「いーいこと思いついた。この女をお前の目の前で殺す。高値が付くはずだって商品が無くなるのは痛手だがお前の顔が歪む姿はこの先いくら払っても見れないだろうからなあ」

「殺した瞬間俺たちが殺されんじゃねえのかそんなの嫌だぜ」

「バカかお前、その瞬間こいつの額に鉛玉ぶち込めばいいんだよ」

男たちの悪趣味極まりない会話にジンは内心焦る。

(まずいな。いくら早く動けるからって流石に頭に突きつけられた銃の弾丸には勝てない)

ジンは自身の状況が詰んでいることに気づく、この状況で一番マシなのは、自信が弾丸を交わす努力をして生き残るくらいだ。どう動こうとオリヴィアは死ぬ。

「ジン、今回の旅はとても楽しかったですわ」

オリヴィアが震えた声でジンに話しかける。

「なんとかするから今は何も話すな」

「聞いてくださいまし、私は家族に恵まれませんでした。けどこの旅で新しい家族が出来たと感じましたわ、、、ジン、貴方の事は本当の兄のように感じました。それから、、、」

ジンはやめてくれと思う。自分はそんなに出来た人間ではないのだから。

オリヴィアがまだ話そうとした時、男が無慈悲にも引き金に指をかける。

次の瞬間第二パーキングエリアに乾いた発砲音が二つ響き渡る。

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