懺悔2
「後悔も何も、すべて最高傑作の可愛い子供のようなものじゃ」
ジンは知っているのだ、彼の言う最高傑作の数々が大量に人を殺し合わせたことを。
おそらくナタリアが一人生き残った悲惨な戦争は彼自身が開発した物が引き起こした惨状なのだろう。
「ナタリアは知っているのか」
「もうそこまで気づいたか。ナタリアには言っておらんよ。しかし、聡い子じゃからな。とっくの昔に気づておるだろう」
ナタリアが犯罪に手を貸したことを強く責めなかったのは自身にも大きな過ちがあったからなのだろう。
「もう作ってないのか」
「ああ、今は作る資格もないただの老いぼれじゃ」
「そうか、、、」
「作られたものに罪はない」
ジンは黙って話を聞いている。
「子が生まれることに罪はないじゃろう。しかし、親が自己満足のために子供を使うのは罪かもしれんのう」
その言葉はジンの隠している重荷を少しだけ軽くする。
「ジン君、君はただの賞金稼ぎではないな。ワシの武器も相当使い込んだ様じゃな」
「、、、、分かるのか」
「ワシの武器は良くも悪くも使用者の心と繋がりを持つ、あのカタナを相当長く使ってくれたことがよく伝わってくるのじゃよ」
数多くの武器を作っていながら、ジンがかつて使っていたものを言い当てるとはそれほどまでに一つ一つ心を込めて作っていたということだろう。
「あんたの願うようには使わなかった。すまなかった」
「願いなどなかったのじゃよ。ただ知りたかったんじゃ、生み出したものの力を、愚かで度し難い思いじゃが、技術者の性でもある」
ジンはその話を聞き、この人にならと思い言葉を返す。
「つい一年前まで俺様は間違った人生を歩んでいた。ある男のおかげで正しい道に戻れたんだ」
彼の言葉を聞きながらローランドは優しく微笑む。
「そこから一年間、自分探しをしていた。つい最近アイツらと出会って、今はこの時が永遠に続けばいいと思ってる。けどそうもいかない」
「どうしてじゃ」
「過去の清算がまだ終わってないんだ。あいつらと出会ってより感じるようになった」
ローランドはポケットから飴を取り出してジンに渡す。
「人生に正しいも間違いもない、ただ人生があるだけじゃよ。もう少し幸せを望んでもよいのではないかの、ジン君」
幸せを望む、ジンが考えてこなかった事だった。過去をどうやって消すのかそればかり考えていたジンにとってその言葉は中々受け入れられない。過去のことを考えれば自分は決して幸せを望んではいけないと思っていたからだ。
「お互い長生きだが、生き方が違うとここまで差が生まれるもんなんだな。あんたと話してると無知な子供みたいな気分になる」
「ほっほっほっほ、そろそろ戻るとしようかの」




