誰にでも過去はある2
マザーKの中心部にあるセントラルタワーの最上階でナタリアは星空を見ていた。
「やはりここじゃったか」
ローランドとハーネット言った通りの場所にナタリアいた。
「遅かったスね」
「老体に鞭を打ってきたからのお」
ナタリアはローランドをじっと見つめる。
四人はそのまま歩み寄りナタリアの横に座る。
「ピースは連れて来たんスか」
「いや部屋でスリープモードじゃ」
彼女はしばらく黙って星空を見つめ直していた。
「ロビンはアタシを恨んでるんスよ」
声は少し震えていた。
そこから半年前の真実が本人の口から明かされた。
「アタシはある組織の犯罪に自身の技術を組み込まないかと話を持ちかけられたんスよ。もちろん最初は断ったんスよ。けど、どこまでできるのか自分の研究の限界点が気になって気になって仕方なかったんスよ」
ローランドとハーネットの顔が少し暗くなる。
「おぬし、マザーKでの研究物を犯罪に意図的に利用したのか」
ナタリアは立ち上がって、屋上の端に歩き始める。
「はい、その時マザーKから出ることを決めたっス。ただロビンにその話をして誘った時ついて来てくれなかったんスよ。当たり前っスよね、結局アタシが思ってる以上にアイツの信念は強かったんスよ」
ナタリア手すりを両手で強く掴んでいる。肩を震わしているようだ。
「そん時言われたんスよ。絶交だって、勝手に出ていけばいいって、お前が出て行った後はお前の代わりになるAIを作るからどうでもいいって」
ハーネットは口を挟む。
「感情が昂っただけで本気じゃなかったはずよ」
「分かってるっス、そう思ってたんスけど、ピースを見て、ロビンの最後を聞くと、犯罪者に欲に負けて手を貸したアタシを死んでも責めているような気がして来たんスよ」
ナタリアは疲れ切った顔で少し微笑んでいる。涙を我慢しているようだ。
「だから、アタシにはピースのロックは開けられないし、アイツの研究は完成させられないんスよ。とっととこの星からも出ていくっス、どうせ追放ですし」
間を通り過ぎ去ろうとしたナタリアにハーネットは声をかける。
「なら何故ロビンに会いにいく時、あんなに楽しそうにしていたの」
「どうでもいいっスよそんなの、ロビンは死んだんスから」
気持ちを誤魔化して軽く笑いながら話すナタリアの顔にハーネットは拳を叩き込む。
「出て行きたいならそうすればいいです。今のあなたを見たらロビンはガッカリするでしょうけどね」
ハーネットはローランドと共にエレベーターで降りる。
残された二人はナタリアに近づく、
「大丈夫ですかナタリア、腫れてますね。今日は一旦帰りましょう」
「私はピースを回収して参りますわ」
そのまま三人は宇宙船に帰ることにした。




