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レッドアームファミリー/俺たち無法者、なぜか正義の味方やってます  作者:
第一章 知ってる景色と知らない心
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賞金稼ぎ見習い

「俺様たちは先に出てるぜ」

テュールとジンは朝ごはんも食べずに早々に出て行く。

「なんか嬉しそうだったっスねジンさん。弟でも出来た気分なんスかね」

「教えれるのが嬉しいだけですよ。面倒くさがってるように見えて、この旅を楽しんでるみたいですしね」

「けどジンはお兄様って感じがする時はありますわよね」

オリヴィアの発言にマーガレットとナタリアが目を丸くして見つめる。

今、オリヴィアは生活の中でジンに兄っぽさ、父性や母性ではなくいうならば兄性を感じていたと暴露したようなものである。オリヴィアは耳を赤らめて慌てて否定する。

「あ、あれですわよ。重い荷物持ってくれたり、ご飯をよそってくれたり、笑かして来たりするのが優しいって意味ですわよ」

「「へぇ〜」」

二人はニヤニヤしながらオリヴィアの言い訳を聞いている。二人すでに出ているにも関わらず船内は朝から騒がしさは収まるところを知らないようだ。

マッドはそんな横で少し複雑そうな顔をしながらテュールとジンの歩いていった先を見ている。

(多くの言語と歴史を知っていても、明日のことすら分からないとは皮肉なもんだな)

マッドは心の中でこの度の行く末を案じている。

「ナタリー、俺も、もう行く」

三人はマッドの言葉を聞いて自分たちも出ることにする。

『私のこと忘れてますよ』

抽出したピースをナタリアが慌てて取りに帰る。


一方、テュールとジンは既に街の中まで移動していた。

「どこで見つけるの賞金首」

「大体星の中央管理局で掲示板に書かれてたりする」

「一応脱獄に加担したよね。そんな公の場所行って大丈夫なの?」

「安心しろ。お前はIDまだ作ってねえし、俺様は前科なし、オリヴィアとマーガレットもだ。ナタリアとマッドは人を殺して入れられてた訳じゃない。おそらく少数で追ってくるくらいだろうな。まぁ運が悪くても銀河警察五人とかじゃないか。俺様たちみたいな無害な犯罪者に対してわざわざ指名手配なんてのはやってられないからな」

テュールはフンフンと話を聞いている。

ジンはそんな話をしながら掲示板のタブレットをいじる。

「ねえこの街ってアメリカみたいだね。空飛ぶ車とか技術的にズレはあるけどベースは似てる。」

「アメリカ?何だそりゃ」

「オリヴィアの地元は中世のヨーロッパって感じだったのに」

「ちょ、ちょっと待て、お前何を言ってるんだ」

ジンは焦りを隠せず聞き返す。

「えっ国の見た目の話だけど」

ジンは愕然としながら話す。

「国なんてものは遥か昔に失われてるし、今は国じゃなくて星の時代だ。それに、俺様の記憶が正しければお前が今言った名前は聞いたことがない」

「えーそんなことないはずだよ。ほらこれ見てよ。これはアメリカの銃だよ。『M92F』」

するとテュールの手には銃が出現した。

「バカ!こんなとこでそんなもん出すな」

ジンは慌ててテュールに抱きついて誤魔化す。

「ジン、急に抱き付かないでくれ。苦しい」

「んなこと言ってないでさっさと片付けろ」

「出したものをまた元の場所に戻すのは簡単なようで難しいんだよ」

「分かった、分かったよ。今回は持ち歩いてもいいが、人目のつく場所での召喚はこれっきりにしろ。いいな」

ジンが周りを見渡すと警備員が不審そうに見つめている。笑顔で誤魔化しその場から立ち去る。

「ねえねえ、ジン」

「なんだよ」

「あの警備員こっち見てたよ」

「そうだな」

「カップルと間違われたのかな」

「何でだよ」

「今日僕スカートだから」

「、、、そういやそうだな。もう一つルール追加だ。賞金稼ぎの時はスカート禁止だ」

テュールは少し不満そうな顔をする。

ジンは先に立って歩きながら考える。

さっきのテュールの発言から考えるにあの腕からくる知識や能力で引き出しているものはおそらく並行世界のものだと考えられる。そう考えるしかない。つまり、仮に並行世界が無限なら能力は無尽蔵ということになる。それこそ、銀河のパワーバランスを土台からひっくり返しかねない。ジンは改めて自身の言葉ひとつで彼の性格に影響を与えると世界をひっくり返しかねない事に冷や汗をかく。

「どうしたもんかねえ」

「何がさ」

「んや、何でもない。とりあえずこいつを追跡するぞ」

ジンはテュールにホログラムで男の顔を見せる。

「そいつが悪いやつ?」

「誰かから見ればな」

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